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君の名は sideアンドレア
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市場にキラービー出現
そんな一報が入った。遠征帰りの我が王国騎士団第三騎士団が一番近かったため、現場である市場に急いで向かった。冒険者ギルドも近いのだが、彼の大半は依頼を受けギルドを立った後だった。
「急げ!人的被害が出る前に最小限に抑えるぞ!」
「「はっ!」」
市場に着くと逃げ惑う人々、苦戦しながらも必死に闘う低ランク冒険者と見られる者たち。
避難誘導をするギルド職員でごった返していた。
「かかれ!安全かつ速やかにな!」
「「はっ!」」
「それと2、3匹は残しておけ。追跡して巣を叩く」
現れた蜂はおよそ100匹。現れる群れとしては数が多い。近くにデカい巣があるのか?
向かってくる蜂を燃やす。
蜂の動きを追いながら市場を進むと、少年がぼんやり突っ立っている。
何をやっているんだ!?もしかして動けないのか?
「早く逃げろ!!!!」
少年の眼前の蜂を始末する。
「何をぼーっとしてる!?早く避難しろ!」
「ぁ、あ…」
恐怖で我を失ってるのか!?このままでは蜂の餌食だ。
死ぬよりはいいだろう、と肩に担ぐ。
「殲滅はするなよ!追跡して巣を見つけるんだ!」
指示を飛ばし、少年をギルドに送り届けた。
ギルド入り口で降ろすと、こちらを見て眼を見開いた。正気には戻ったらしい。良かった。
「あ、ありがとうございます」
「キラービーを見るのは初めてか?」
「…はい。びっくりしすぎて…」
「まぁ騎士団が来たから心配はいらない。ギルドに避難していなさい」
「はい。本当にありがとうございました」
「じゃあな」
少年と別れ、残りの蜂を叩くべく喧騒に沸く市場に急いで戻った。
粗方、蜂を殲滅し残した数匹を部下に追跡させる。
近ければこのまま巣を叩く。
報告が上がるまで市場の様子を見回った。
怪我人はギルドへ運び、瓦礫の撤去なんかを手伝う。
二刻ほどで部下数人が何かを持って戻ってきた。
「団長ーー!只今戻りましたー!」
「おう、ご苦労。それで巣は?」
「思ったよりも数が残ってなくてついでに潰してきました!コレ戦利品ッス!」
嬉しそうに部下の1人が何やら差し出す。
「プロポリスっす!栄養価も値段も高いっすよ!」
「これは立派だな」
あまりにも得意げな顔に笑ってしまう。
「団長、これどうします?」
「そうだな。半分は騎士団に持って帰るか。残りはギルドに持って行け。そうすれば市民にも渡るだろう」
「了解!」
キラービー殲滅終了の報告もしたので、ギルドからゾロゾロと人々が出てくる。怪我人は出てしまったが死人はいないとの事で重畳だ。
ふと、先程の少年が目に入る。彼よりも少し背の高い少年と歩いている。兄弟か?よく似ている。
市場を見渡しながら2人とも、辛そうな顔をしていた。
そして足早に去って行った。
…軽かったな。少年を抱き上げた感触を思い出す。
声をかけて名前くらい聞けばよかった…。
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お読みくださりありがとうございます。
そんな一報が入った。遠征帰りの我が王国騎士団第三騎士団が一番近かったため、現場である市場に急いで向かった。冒険者ギルドも近いのだが、彼の大半は依頼を受けギルドを立った後だった。
「急げ!人的被害が出る前に最小限に抑えるぞ!」
「「はっ!」」
市場に着くと逃げ惑う人々、苦戦しながらも必死に闘う低ランク冒険者と見られる者たち。
避難誘導をするギルド職員でごった返していた。
「かかれ!安全かつ速やかにな!」
「「はっ!」」
「それと2、3匹は残しておけ。追跡して巣を叩く」
現れた蜂はおよそ100匹。現れる群れとしては数が多い。近くにデカい巣があるのか?
向かってくる蜂を燃やす。
蜂の動きを追いながら市場を進むと、少年がぼんやり突っ立っている。
何をやっているんだ!?もしかして動けないのか?
「早く逃げろ!!!!」
少年の眼前の蜂を始末する。
「何をぼーっとしてる!?早く避難しろ!」
「ぁ、あ…」
恐怖で我を失ってるのか!?このままでは蜂の餌食だ。
死ぬよりはいいだろう、と肩に担ぐ。
「殲滅はするなよ!追跡して巣を見つけるんだ!」
指示を飛ばし、少年をギルドに送り届けた。
ギルド入り口で降ろすと、こちらを見て眼を見開いた。正気には戻ったらしい。良かった。
「あ、ありがとうございます」
「キラービーを見るのは初めてか?」
「…はい。びっくりしすぎて…」
「まぁ騎士団が来たから心配はいらない。ギルドに避難していなさい」
「はい。本当にありがとうございました」
「じゃあな」
少年と別れ、残りの蜂を叩くべく喧騒に沸く市場に急いで戻った。
粗方、蜂を殲滅し残した数匹を部下に追跡させる。
近ければこのまま巣を叩く。
報告が上がるまで市場の様子を見回った。
怪我人はギルドへ運び、瓦礫の撤去なんかを手伝う。
二刻ほどで部下数人が何かを持って戻ってきた。
「団長ーー!只今戻りましたー!」
「おう、ご苦労。それで巣は?」
「思ったよりも数が残ってなくてついでに潰してきました!コレ戦利品ッス!」
嬉しそうに部下の1人が何やら差し出す。
「プロポリスっす!栄養価も値段も高いっすよ!」
「これは立派だな」
あまりにも得意げな顔に笑ってしまう。
「団長、これどうします?」
「そうだな。半分は騎士団に持って帰るか。残りはギルドに持って行け。そうすれば市民にも渡るだろう」
「了解!」
キラービー殲滅終了の報告もしたので、ギルドからゾロゾロと人々が出てくる。怪我人は出てしまったが死人はいないとの事で重畳だ。
ふと、先程の少年が目に入る。彼よりも少し背の高い少年と歩いている。兄弟か?よく似ている。
市場を見渡しながら2人とも、辛そうな顔をしていた。
そして足早に去って行った。
…軽かったな。少年を抱き上げた感触を思い出す。
声をかけて名前くらい聞けばよかった…。
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お読みくださりありがとうございます。
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