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第二話
しおりを挟むまさしは森の入り口で立ち止まり、じっと手元を見つめた。神から授けられたスキル「3Dプリント」。それを使えば、物を作り出すことができる。このスキルがどれほどの力を持っているのか、まだ理解しきれていないが、まずは実験をしてみる必要があった。
「まずは簡単に、何か作ってみよう。」
まさしは周囲を見渡し、近くに転がっていた小さな石を手に取った。「これで試してみるか。」
彼は手を広げ、手のひらを石にかざしてみる。すると、まるで手のひらから力が伝わるかのように、空気が震える感覚が広がった。そして、目の前の石がゆっくりと変化し、細長い槍のような形に変わっていった。
「おお…!」
出来上がった槍を手に取ってみる。先端は鋭く尖っており、形も整っている。しかし、まさしはすぐにその槍を詳しく確認し、つぶやいた。
「ふむ…これが俺のスキルの作成物か。」
槍は見た目は悪くないが、材質や作りが少し荒い感じがする。自分が作り出したものではあるものの、まだスキルの初期段階で作られたものだという感じがする。
「これ、たぶんランクEかFくらいかな?」まさしは槍を軽く振りながら、手元のスキルに関する知識を思い出した。確か、スキルには「ランク」が設定されているという話だった。
「スキルが低いと、作れる物のランクも低いんだろうな。たぶん、これが最初に作れる最低ランクのものだろう。」
まさしは槍を見つめながら考える。彼が知っている「ランク」の概念は、一般的にはSランクが最高級のもので、Fランクが最も粗悪なものだ。以下のようなランクが存在するらしい。
• SSランク: 完璧な品質で、特殊な効果を持つ。作り手のスキルが極限に達している状態。
• Sランク: 非常に高品質で、普通の物では作れないような、特別な素材や技術が必要なレベル。
• Aランク: 高品質な物で、優れた性能を持つ。十分に実用的で、どんな場面でも通用するレベル。
• Bランク: 平凡な品質で、特に目立つ特徴はない。十分に使えるが、他に比べて劣っている部分がある。
• Cランク: 一般的な品質。どこにでもあるような普通の道具といった感じ。
• Dランク: 作りが甘いが、まだ使用には耐えられる。材料の無駄があることが多い。
• Eランク: 使い物にならないことはないが、粗末で弱い。長時間の使用には耐えられない。
• Fランク: 最低ランクで、ほとんど使えない。まさに作り直しが必要な代物。
「この槍、たぶんEランクかな…。耐久性は大丈夫そうだけど、やっぱり細部が荒い。」まさしは槍を振りながら感触を確かめ、決定的に納得した様子で槍を地面に置いた。
次に、まさしは少し大きなものを作りたくなった。試しに、木の板を作ってみることにした。「これなら、少しでも上級のランクが出るかもしれない。」
再び手をかざし、周囲の空気を感じながら木の板を作り始める。数秒後、彼の前に整った木の板が現れた。それはしっかりとした質感で、槍よりもずっと滑らかでしっかりとした作りをしている。
「おお、こっちはBランクくらいか?」まさしは板を触りながら満足げに頷いた。明らかに槍よりも作りが良く、使い勝手も良さそうだ。
「これなら、家の材料にも使えるかもしれないな。」彼は木の板を持ちながら、次の試練に向けて気持ちを整えた。
「よし、ここで気づいたのは、スキルレベルが上がることで、作れるもののランクも上がるってことだな。いずれ、SSランクの武器や道具も作れるようになるんだろう。」
自分のスキルの可能性に少しワクワクしながら、まさしは次のステップに進む決意を固めた。「でも、まずはスライムを倒さないと話にならない。さあ、行こう!」
まさしは槍と木の板を手に、森の奥へと足を踏み出した。次に待ち受けるスライムとの戦いに、少しの不安を感じつつも、準備万端で進んでいった。
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