26 / 28
26話
しおりを挟む王都へ到着したレオンたちは、広大な城壁と華やかな街並みに目を奪われることなく、まっすぐ貴族会の集会所へ向かった。周囲には、貴族らしき人々が行き交い、こちらに冷ややかな視線を向けている。
エドワード:
「まるで歓迎されてないな。」
レオン:
「予想通りだ。だが、俺はここで怯むつもりはない。」
一行が集会所に足を踏み入れると、重厚な扉の向こうに、冷たい視線を放つ貴族たちが待ち構えていた。
レオンが席に着くと同時に、一人の貴族が声を上げる。
貴族A:
「レオン卿、貴方の村での振る舞いについて、我々は甚だ疑問を抱いております。平民を勝手に保護し、税を納めず、自らの勢力を築いていると聞きましたが?」
レオン:
「疑問を抱くのは勝手だ。しかし、村の平和と安全を守ることが罪だと言うのか?」
その一言に、会場がざわつく。
貴族B:
「平和だと?貴方の村は、明らかに我々貴族会の統治権を侵害している!」
レオン:
「統治権?それは名ばかりだ。俺たちの村が襲われたとき、貴族会は何もしなかった。それどころか、助けを求める手紙を無視したのではなかったか?」
レオンの指摘に、一部の貴族が目をそらす。しかし、一人の女性が冷静に口を開いた。
クラリッサ:
「レオン卿、随分と大胆な発言ですね。ですが、貴方が守っているのは村ではなく、ただの自己満足なのでは?」
クラリッサとの対峙
クラリッサの言葉に、レオンは彼女を鋭く睨んだ。
レオン:
「クラリッサ卿、君がこの場にいるということは、今回の件の背後に何か意図があるのだろう?」
クラリッサ:
「意図?ただ貴方の振る舞いを正すためにここにいるだけですわ。」
彼女の涼しげな笑みが、場をさらに緊張させる。
エドワード(小声で):
「こいつ、完全に裏で糸を引いてるな。」
レオン(小声で):
「わかってる。だが、証拠がなければ攻められない。」
村の危機、届いた知らせ
その夜、集会の議論を終えたレオンたちは宿に戻った。しかし、そこで一通の急報が届く。村に留まっていたルーファスからの手紙だ。
ルーファスの手紙:
「レオン、村に危険が迫っている。貴族たちが傭兵を雇い、村を取り囲もうとしているらしい。アイリスたちは俺たちで守るが、急いで戻ってきてくれ。」
レオンの顔が険しくなる。
レオン:
「やはり動き出したか…。アイリスが危険だ。」
エドワード:
「おい、ここを放り出して村に戻る気か?それじゃ奴らの思うツボだぞ。」
レオンは少し考え、静かに答えた。
レオン:
「俺たちの村を守るために戦う。それが今の俺の全てだ。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく
おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。
そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。
夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。
そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。
全4話です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる