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20話
しおりを挟む交易が軌道に乗り始め、村に活気が満ち溢れる中、王都から新たな使者が訪れる。彼は丁寧な笑顔の裏に、鋭い何かを隠していた。
不気味な使者との対面
村の広場に到着したのは、王都の財務官であるバルド。身なりはきらびやかだが、その目は冷徹そのもの。レオンとアイリスは、エドワードとルーファスを伴い、彼の出迎えに立った。
バルド:
「レオン様、初めてお目にかかります。王都の財務官バルドと申します。この度は交易の好調をお喜び申し上げます。」
レオンは一見穏やかに応じたが、心の中では警戒を強めていた。
レオン:
「歓迎する。わざわざ王都からご足労いただいて恐縮だ。」
バルド:
「いえいえ、これも我々の関係をさらに深めるためです。実は新しい提案がありまして…」
王都の”助言”と新たな要求
バルドはにこやかな顔を崩さずに言った。
バルド:
「王都の貴族会議からの助言として、この村の防衛を強化するために、我々から”管理官”を派遣したいと考えています。」
その言葉を聞いた瞬間、アイリスの表情が変わる。
アイリス:
「管理官?それはつまり、この村を王都の監視下に置くという意味かしら?」
バルドは肩をすくめ、笑みを浮かべる。
バルド:
「誤解しないでください。ただの協力です。村の発展を見守るための、いわば”サポート”ですよ。」
レオン:
「俺たちはサポートなど必要としていない。この村は自分たちの手で守る。」
バルドの目が一瞬だけ細くなる。その瞬間、レオンは彼の裏にある意図を悟った――これは圧力だ。王都は村を完全に支配下に置こうとしている。
アイリスの反撃
その場の空気が張り詰める中、アイリスが前に出た。
アイリス:
「王都が私たちの力を試すつもりなら、それも結構。でも、私たちに指図するなら覚悟なさい。」
バルドは意外そうな顔をしながらも、余裕の笑みを浮かべた。
バルド:
「ふふ…強いお方だ。これは予想外でした。」
会議後の作戦会議
バルドが去った後、レオンたちは急ぎ村の仲間を集めて対策を練った。
ルーファス:
「こいつら、本気で村を奪うつもりだな。」
エドワード:
「監視官なんて冗談じゃねえ。そいつが来たら何もかも好きにされるぞ。」
レオンは深く息を吐き、決断した。
レオン:
「俺たちでこの村を守るしかない。王都に屈するつもりはない。」
アイリス:
「何があっても私たちで乗り越えましょう。あなたには私がいるんだから。」
レオンはアイリスの言葉に励まされ、決意を新たにする。
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