14 / 28
14話
しおりを挟む新婚生活が順調に進んでいると思った矢先、レオンのもとに一通の手紙が届いた。それは王都からのもので、彼の元婚約者であるソフィアが村に来るという知らせだった。
不穏な空気の訪れ
レオン:
「…なんで今さらソフィアが?」
レオンは手紙を握りしめ、眉をひそめた。婚約は破棄していたはずなのに、彼女が今になって現れる理由がわからない。
アイリス:
「どうしたの?」
レオンの表情の変化に気づいたアイリスが声をかける。彼女は不安そうな顔をしながら、レオンの手紙に目を落とした。
レオン:
「王都の元婚約者が来るらしい…。ただの挨拶…じゃないかもしれない。」
アイリスは一瞬黙った後、穏やかに微笑んだ。
アイリス:
「大丈夫よ。私はレオンを信じてるから。」
その言葉にレオンは胸を打たれ、アイリスの手を強く握り返した。
元婚約者、ソフィアの登場
翌日、村に現れたソフィアは美しいドレスをまとい、堂々とした態度でレオンに近づいた。
ソフィア:
「久しぶりね、レオン。お元気そうで何よりだわ。」
レオン:
「久しぶりだな、ソフィア。どうして今さらここに?」
ソフィアは優雅な笑みを浮かべながら、まるで懐かしい友人に会うように接してくる。
ソフィア:
「ただ挨拶に来ただけよ。あなたの結婚の噂を聞いて、会いに来たくなったの。」
アイリス:
「そうですか、わざわざありがとうございます。」
アイリスは表情を崩さず、礼儀正しく応じる。だが、その目には決して隙を見せない強さがあった。
レオン(心の声):
「さすがアイリス…。俺が動揺してる間に、彼女はもう戦闘モードか。」
ソフィアの本音
夕方、ソフィアはレオンと二人きりになれる時間を狙って話しかけた。
ソフィア:
「正直に言うわ。私はまだあなたのことを忘れられないの。」
レオンはその言葉に驚き、何も言えなくなる。
ソフィア:
「でも、それは私のわがままだとわかってる。だから、最後にあなたにこう言わせてほしい。」
ソフィアは一瞬間を置いて、目を伏せながらつぶやいた。
ソフィア:
「幸せになってね、レオン。」
アイリスの決意
その後、ソフィアは静かに村を去った。夜、レオンとアイリスは二人で食卓を囲んでいたが、レオンはどこかぼんやりとしている。
アイリス:
「何を考えてるの?」
レオン:
「…俺は、あの時ソフィアをもっと早く見限るべきだったんだろうな。」
アイリスは優しくレオンの手を握り、目をじっと見つめた。
アイリス:
「過去はもう関係ないわ。大事なのは、今私たちが一緒にいるってこと。」
レオンはその言葉に救われ、ようやく微笑む。
レオン:
「ありがとう、アイリス。俺は絶対に君を幸せにする。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
学院内でいきなり婚約破棄されました
マルローネ
恋愛
王立貴族学院に通っていた伯爵令嬢のメアリは婚約者であり侯爵令息、さらに生徒会長のオルスタに婚約破棄を言い渡されてしまう。しかも学院内のクラスの中で……。
慰謝料も支払わず、さらに共同で事業を行っていたのだがその利益も不当に奪われる結果に。
メアリは婚約破棄はともかく、それ以外のことには納得行かず幼馴染の伯爵令息レヴィンと共に反論することに。
急速に二人の仲も進展していくが……?
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる