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14話

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新婚生活が順調に進んでいると思った矢先、レオンのもとに一通の手紙が届いた。それは王都からのもので、彼の元婚約者であるソフィアが村に来るという知らせだった。

不穏な空気の訪れ

レオン:
「…なんで今さらソフィアが?」

レオンは手紙を握りしめ、眉をひそめた。婚約は破棄していたはずなのに、彼女が今になって現れる理由がわからない。

アイリス:
「どうしたの?」

レオンの表情の変化に気づいたアイリスが声をかける。彼女は不安そうな顔をしながら、レオンの手紙に目を落とした。

レオン:
「王都の元婚約者が来るらしい…。ただの挨拶…じゃないかもしれない。」

アイリスは一瞬黙った後、穏やかに微笑んだ。

アイリス:
「大丈夫よ。私はレオンを信じてるから。」

その言葉にレオンは胸を打たれ、アイリスの手を強く握り返した。

元婚約者、ソフィアの登場

翌日、村に現れたソフィアは美しいドレスをまとい、堂々とした態度でレオンに近づいた。

ソフィア:
「久しぶりね、レオン。お元気そうで何よりだわ。」

レオン:
「久しぶりだな、ソフィア。どうして今さらここに?」

ソフィアは優雅な笑みを浮かべながら、まるで懐かしい友人に会うように接してくる。

ソフィア:
「ただ挨拶に来ただけよ。あなたの結婚の噂を聞いて、会いに来たくなったの。」

アイリス:
「そうですか、わざわざありがとうございます。」

アイリスは表情を崩さず、礼儀正しく応じる。だが、その目には決して隙を見せない強さがあった。

レオン(心の声):
「さすがアイリス…。俺が動揺してる間に、彼女はもう戦闘モードか。」

ソフィアの本音

夕方、ソフィアはレオンと二人きりになれる時間を狙って話しかけた。

ソフィア:
「正直に言うわ。私はまだあなたのことを忘れられないの。」

レオンはその言葉に驚き、何も言えなくなる。

ソフィア:
「でも、それは私のわがままだとわかってる。だから、最後にあなたにこう言わせてほしい。」

ソフィアは一瞬間を置いて、目を伏せながらつぶやいた。

ソフィア:
「幸せになってね、レオン。」

アイリスの決意

その後、ソフィアは静かに村を去った。夜、レオンとアイリスは二人で食卓を囲んでいたが、レオンはどこかぼんやりとしている。

アイリス:
「何を考えてるの?」

レオン:
「…俺は、あの時ソフィアをもっと早く見限るべきだったんだろうな。」

アイリスは優しくレオンの手を握り、目をじっと見つめた。

アイリス:
「過去はもう関係ないわ。大事なのは、今私たちが一緒にいるってこと。」

レオンはその言葉に救われ、ようやく微笑む。

レオン:
「ありがとう、アイリス。俺は絶対に君を幸せにする。」

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