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お出かけ②

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「最初どこ行く?」
 門をくぐると、地図を見ている文香がいいました。今日も相変わらず美人です
 園内は、愉快な音楽と子供たちの笑い声に溢れています。
 そういえば、久しぶりに乗ってみたいところがありました。
「コーヒーカッ――」
「わたしジェットコースターが良い。」
 私の提案は、勢いよく手を挙げた奏にかき消されてしまいました。えっ?ジェットコースター…?
「僕も賛成だな。早めに行っておかないと混みそうだし。今回の改装工事で恐怖度が倍増したんだってさ。」
 ノリノリで喋る翼と反比例するように、私の顔から血の気が引いて行くのを感じます。
「そうね。母さんも乗りたい。」
 私に味方は居ないようです。(そもそも伝えていないですけどね…。)
 「パパどうしたのー?早く行こうよ。」
 私は決心しました。どの道逃げ場はないでしょう。
 「みなさんこんにちは。発車の前に、安全確認をします。ベルトを限界まで引っ張って、手を離しておいてください。」
 係員さんの声がだんだん遠くなります。ここで記憶は途切れました。
 
 「――パ、パパ!大丈夫?」
 次に目を開けたとき、私は柵の外のベンチに座っていました。隣には、呆れ返ったような表情の奏がいます。
「翼がおぶってくれたんだよ。あの子も背は小さいけど、力はついたんだね。手伝おうとしたら『ねーちゃん達に力仕事なんかさせられないよ。大丈夫だから。』なんて、一丁前に言っちゃってるの。パパも絶叫系が苦手だったら言ってくれたらいいのに。あ、あとね――」
 彼女はペラペラと話していて、割り込む隙を与えません。こういったところは、彼女の母親に似ている気がします。
「あ、あのさ、文香達は?」
「ママはコーヒーカップに並んでる。待ち時間十五分だってさ。翼はお手洗い。」
 それに頷くと、私は訊いてみることにしました。
 「ねえ、サプライズって何?」
 奏は大きく深呼吸をすると――
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