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第1章 ダンジョン編

俺のクラン設立

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俺たち10人はリビングに全員集まっている。

「俺と楓はクランを抜けるけど、お前らはどうする?」

「丸山さん、俺たちを見捨てるのですか?」

「そんなつもりは無い。ついて来てくれるなら俺から頭を下げたいくらいだ」

「俺たち全員、丸山さんについて行きますよ」

「魔石が買い取り開始されるまで何か月かは、収入無くなるけど問題ないか?」

「問題ありません。半年なら収入ゼロでも大丈夫です。こんな日が来ると信じて貯めていました。」

全員少ない収入から貯金をしていて100万円近くは持っているらしい。

次の日、朝一番で10名でギルドに向かった。

いつも窓口を対応してくれているお姉さんの窓口で

「クランの離脱と、新規クラン設立をお願いします」

担当者は慌てて「少しお待ちください」と言って奥に入ってしまった。

しばらく待っていると、奥にある応接間に案内された。

中にはギルド長、副ギルド長と見たことのない紳士がソファーに座っている。

「お邪魔します」

部屋に入ると、紳士だけが立って俺たちにお辞儀した。

ギルド長と副ギルド長は機嫌が悪そうだ。

長椅子に俺と楓とクラフター組のリーダーの藤田が座って、残りの7人は俺たちの後ろに立った。

「お前ら、今まで世話になった4人を捨てて独立する気か?」

「お世話になったって、俺らが世話してたんですよ」

「動画の利益はお前らが貰っていたんだろ」

「半分あいつらで半分が俺たち10人で折半。一人当たり15万弱でしたね」

「あいつらが、半分取ってたのか?」

「はい、俺たちは豪遊しているあいつらを見ながら、今までギリギリの生活してましたよ。」

そこで、二人のギルド長は頭を抱えた。

「ギルド長、俺と楓のコンビがあいつらよりずっと強いことを知ってますよね」

「・・・・・・」何も答えない。

「俺たちは、この日が来るまでどれだけ耐えていたか知ってますか?」

「・・・・・・」何も答えない。

「手続きを進めてくれませんか?」

「ちょっと待ってくれ」

「待ちません」そう言って俺は席を立った。

「熱くならないで、冷静に話しませんか?」紳士が話しかけてきた。

「悪かった」俺は席に着いた。

紳士が名刺を出して挨拶をした。

「株式会社葉山の取締役をやってる葉山雄三と申します。」

「社長?」

「いえいえ、取締役平『ヒラトリ』と言う奴です。会社でいうと上から6番目くらいです。」

「俺たちに、なんか用ですか?スポンサーになってくれるのなら、大喜びで受けますよ」

「それが、取締役会議で了承を得たのは、4人込みでスポンサーになることです。」

「それなら、残念ですね。川端重工にでも売り込んできます。」

「それは少し待ってくれんか?今、臨時で取締役会議をしておってな。結果を少し待ってくだされ。
私の方からは、残りの4人をスポンサーするより、君たち10人のスポンサーになる方が有益だと伝えてある」

「それはありがとうございます。スポンサーになってくれたら、手持ちの魔石や素材提出しますよ」

「それは、4人の分もあるんじゃないのか!」

ギルド長が顔を赤くして怒鳴った。

「あいつらには、何度もドロップ品を拾ってくれと頼んだが一度も拾ってくれなかった。あいつらのドロップ品は一切手を付けていない」

「どれくらい持ってますか?」

「俺たちが借りている一軒家の大半がドロップ品で埋もれてるよ。40階層以上魔石だけでも万はある」

「わかりました。私は少し席を外させていただきます」

そういって紳士は応接間から出ていった。

ギルド長達は俺を睨んでいるが俺は涼しい顔をしていた。

しばらくすると、手に紙の束をもって紳士が戻ってきた。

席に座ると、以下の条件を出してきた。

・俺と楓のスポンサー料は年間1億ずつ。
・クラフターは8人は葉山に所属を変えること年収は1500万円以上を保証する。
・必要な装備品は葉山が提供する。
・俺と楓が手に入れた素材は全て葉山に提供すること。
・手持ちの素材は価値が上がることを想定した金額で買い取る。
・クランにメンバーが追加された場合は、1名につき
 30層以上で300万円、
 40層以上で1000万円、
 50層以上で5000万円
 60層以上で1億円
 をスポンサー料を追加する。
・クランメンバーは背中に大きな葉山のロゴマークを付ける。

簡単にまとめるとこんな内容だった。

「これからクラフターは企業で取り合いになる。藤田君たちは葉山の技術陣の顔として頑張ってもらいたい」

思っていなかった無いように俺は藤田の顔を見つめると、目がキラキラ輝いている。他のクラフター陣をみても目がキラキラ状態である。

彼らにとっても、これ以上は無いと思える契約内容だったようだ。

「装備は今までと同じように藤田と相談しながら作ってもいいのか?」

「それはこちらからも、お願いしたいところだ」

「みんなー、この条件でいいか?」

「問題ないです」

全員首を縦に振っている。

「あの4人も入れてやってはもらえないか?」

ギルド長はシツコク聞いて来た。

「嫌です。手続き進めてください」と、あっさりと答えた。

こうして、十文字クランが正式に認可された。
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