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一年後の結末 2
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いつものレイニーズは相も変わらず寂れている。
何ら変わらない店内は相変わらず半人半獣のデミが切り盛りしている。
潰れないのが不思議なレベルだ。
コップに残っていたコーラを飲み干し席を立つ。
ショウからは先程来れない旨がメールで送られてきた。
しょうがなく一人で食事を済ませたところだ。
店を出ると雨が降っている。日はもう十分傾いていた。
傘はないが、小雨だ。バスに乗るほうが億劫に感じて僕は徒歩を選択する。
姉が失踪してからもうじきに一年が経つ。
僕には夢見として正式な辞令が降り。姉のその後については何も知らない。
事件の数カ月後に押収された彼女の私物の一部が返ってきた。
それ以上のことを誰も教えてくれず。それ以外のことは何も知らない。
まるで彼女など最初からいなかったかのように、世界は変わらない。
そんなどうでもいいことを思いながら歩いていると、もう我が家はすぐそこだ。
角を曲がれば「ただいま」のいらない部屋がまっているはずだった。
「っえ?」
その先の光景に僕の脳みそがフリーズする。
誰もいないはずの家の二階の部屋に明かりが灯っている。あそこは姉の部屋だ。
懐かしい光景に鼓動がたかまり、僕は思わず駆け出していた。
***
玄関の鍵は開いていた。僕は靴を脱ぎ捨てて脇目も振らず二階に向かう。
階段を慌ただしく登ると、光が漏れる扉を思いっきり開ける。
「姉さん!帰って…」
期待いっぱいに叫んだ僕の瞳に写ったのは戸惑いだった。
「…⁉」
そこにいたそれが驚いて振り返る。
振り返る瞳は赤。子供のような背丈に、毛に覆われた体。
それを覆い隠すように深くかぶったフードからはかすかな獣臭が漂ってくる。
「…なにを…してるんだ?」
絞り出した声からは怒気が漏れる。期待した帰還者の代わりに居座る侵入者に向けて
「ここは姉さんの部屋だぞ!」
しかし、デミは恐れる様子もなく。僕をゆっくりと舐め回すように見る。
何を考えてるかわからないその表情に緊張が走る。僕は腰を落とし身構えた。
「……、G2-d031の弟か」
「えっ?」
ばかみたいな声が出た。なにから驚けばいいかわからない。
「…しゃべった…?」
「そりゃあ喋るさ、君たちが僕たちをどう見てるかは知らないけどね」
それの声は堂々として、
ともすれば知性にさえ満ちていにるように感じる。
「喋れるのか?」
もう一度同じ言葉を、おそるおそるそれに向かって飛ばす。
「僕らにだって言葉はある。君たちの言葉をしゃべれる人間は限られてるがね」
「そ、それはどうでいいんだ。ここは僕らの家だ。わかってるのか
デミ風情が不法侵入なんて…」
「うるさいやつだ」
デミは言い放つとため息混じりに続ける。
「許可はでている。この時間に君が帰ってきたのは予想外だったがな」
「嘘を…」
「確かめてみればいいさ、君たちの敬愛する彼女に」
自信満々の言葉にともすれば飲まれそうになる。
「吠え面をかくなよ。嘘ならすぐに当局に引き渡す」
僕はそう言いながら即座に内なる彼女と感性をすり合わせた。
「⁉」
驚愕が僕の表情に浮かんで、それは意地悪げに笑う。
「なぁっ?僕は客だ。茶でもだしてくれよ。君が聞きたいことを教えてあげよう」
僕はその言葉に従うしかなかった。
何ら変わらない店内は相変わらず半人半獣のデミが切り盛りしている。
潰れないのが不思議なレベルだ。
コップに残っていたコーラを飲み干し席を立つ。
ショウからは先程来れない旨がメールで送られてきた。
しょうがなく一人で食事を済ませたところだ。
店を出ると雨が降っている。日はもう十分傾いていた。
傘はないが、小雨だ。バスに乗るほうが億劫に感じて僕は徒歩を選択する。
姉が失踪してからもうじきに一年が経つ。
僕には夢見として正式な辞令が降り。姉のその後については何も知らない。
事件の数カ月後に押収された彼女の私物の一部が返ってきた。
それ以上のことを誰も教えてくれず。それ以外のことは何も知らない。
まるで彼女など最初からいなかったかのように、世界は変わらない。
そんなどうでもいいことを思いながら歩いていると、もう我が家はすぐそこだ。
角を曲がれば「ただいま」のいらない部屋がまっているはずだった。
「っえ?」
その先の光景に僕の脳みそがフリーズする。
誰もいないはずの家の二階の部屋に明かりが灯っている。あそこは姉の部屋だ。
懐かしい光景に鼓動がたかまり、僕は思わず駆け出していた。
***
玄関の鍵は開いていた。僕は靴を脱ぎ捨てて脇目も振らず二階に向かう。
階段を慌ただしく登ると、光が漏れる扉を思いっきり開ける。
「姉さん!帰って…」
期待いっぱいに叫んだ僕の瞳に写ったのは戸惑いだった。
「…⁉」
そこにいたそれが驚いて振り返る。
振り返る瞳は赤。子供のような背丈に、毛に覆われた体。
それを覆い隠すように深くかぶったフードからはかすかな獣臭が漂ってくる。
「…なにを…してるんだ?」
絞り出した声からは怒気が漏れる。期待した帰還者の代わりに居座る侵入者に向けて
「ここは姉さんの部屋だぞ!」
しかし、デミは恐れる様子もなく。僕をゆっくりと舐め回すように見る。
何を考えてるかわからないその表情に緊張が走る。僕は腰を落とし身構えた。
「……、G2-d031の弟か」
「えっ?」
ばかみたいな声が出た。なにから驚けばいいかわからない。
「…しゃべった…?」
「そりゃあ喋るさ、君たちが僕たちをどう見てるかは知らないけどね」
それの声は堂々として、
ともすれば知性にさえ満ちていにるように感じる。
「喋れるのか?」
もう一度同じ言葉を、おそるおそるそれに向かって飛ばす。
「僕らにだって言葉はある。君たちの言葉をしゃべれる人間は限られてるがね」
「そ、それはどうでいいんだ。ここは僕らの家だ。わかってるのか
デミ風情が不法侵入なんて…」
「うるさいやつだ」
デミは言い放つとため息混じりに続ける。
「許可はでている。この時間に君が帰ってきたのは予想外だったがな」
「嘘を…」
「確かめてみればいいさ、君たちの敬愛する彼女に」
自信満々の言葉にともすれば飲まれそうになる。
「吠え面をかくなよ。嘘ならすぐに当局に引き渡す」
僕はそう言いながら即座に内なる彼女と感性をすり合わせた。
「⁉」
驚愕が僕の表情に浮かんで、それは意地悪げに笑う。
「なぁっ?僕は客だ。茶でもだしてくれよ。君が聞きたいことを教えてあげよう」
僕はその言葉に従うしかなかった。
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