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第39話 麻沙美先輩のお家で③
しおりを挟む「さて、今日二人に来てもらったのは先程の屈辱プレイへの報復……もとい、私へのご機嫌取りのためだ」
そう言って、ソファに座った麻沙美先輩が大胆に脚を組み替える。
ショートパンツを穿いているため、別に何かが見えてしまうワケではないのだが、それでも僕にとっては少々刺激的だ。
それにしても屈辱プレイって……。さっきのは別にそんな意図は無かったし、プレイでもなんでもなかったのだけど……
「ご機嫌取りとは言いますが、麻沙美先輩、実はもう怒っていませんよね?」
「そんなことないぞ? 私にあんな顔させたのは君達が初めてだからね。そりゃもう、どうしてやろうかと頭であれこれプランを考えているところさ」
一体何を考えているやら。麻沙美先輩のことだから、きっとしょうもないことに違いない。
……しかし、やはり先程の麻沙美先輩の顔はしっかりと記録しておくべきだったな。
画像としても貴重だし、それがあれば暫くこういったことに対する抑止効果になっただろう。
「……藤馬君、また何か良からぬことを考えているだろう? わかるんだぞ私には」
またしても、僕のよこしまな考えが読み取られてしまう。
僕ってそんなにわかりやすいのだろうか……
「べ、別に変なことは考えてませんよ。ただ、さっきの麻沙美先輩は可愛かったなぁと……」
「考えているじゃないか! あぁ! もう! さっきの私をしばいてやりたい!」
麻沙美先輩が顔を押さえてジタバタと藻掻いている。
それにびっくりしたようで、ジョネスが部屋から出て行ってしまった。
「ふふ……、あの反応……、余程不覚だったのでしょうね……」
(伊万里先輩、凄く悪い顔してる……)
伊万里先輩は、いつもの清楚で朗らかなイメージからは考えられない程悪そうな笑顔を浮かべている。
やはり普段からやり込められていることもあり、色々と溜めこんでいたのかもしれない。
「くそぅ……。やはり二人にはこの屈辱感を晴らしてもらわなければ気が済まない。覚悟していろぉ……」
そう言って、麻沙美先輩は何やら収納ケースをガサゴソし始める。
どうやら私物箱のようだが、何故こんなリビングに置いてあるのだろうか……
「クック……、やはり多人数といえば、定番のコレだろう」
「コレって……、なんです?」
床の上に放られたビニールシートのようなものを広げてみるが、その正体には思い至らない。
何やらカラフルな丸が書いてあるが……
「これは、ツイスターゲームだよ」
「っ!?」
ま、まさか、これが伝説の……!?
「な、なんでそんなモノがあるんですか!」
「そんなの、私が楽しむために決まっているだろう?」
「いや、そうなんでしょうけど……」
ツイスターゲームとは、ルーレットで示された手足を、シートの上に示された赤・青・黄・緑の丸印の上に置いて行き、できるだけ倒れない様にするゲームである。
このゲームは主に二人以上でプレイされるのだが、異性同士で行うと接触が多いので、非常に性的要素が強くなっている。
そのため、漫画やゲームなどのフィクション作品では良く登場するのだが、実物には滅多にお目にかかれない代物であった。
「こんなモノ、本当に売ってるんですね……」
「ハッハッハ! 需要があるからこその供給だよ! 世の中には、私のような人間が他にもたくさんいるってことさ!」
あまり考えたくないことだが、売られているということは、そういうことなのかもしれない……
「さてさて、藤馬君は知っているようだけど、伊万里はツイスターゲームのことは知っているのかな?」
「いえ、詳しくは……」
「では説明しよう。まず、プレイヤーはこのルーレットに指示された手足を、対応した色の丸印に置いていく。この時、手のひらや足の裏以外の部位はシートに触れてはならない。触れてしまったり、手足が置けなくなったら負け。これが基本的なルールだ。どうだ簡単だろう?」
「……なんとなく意図がわかりました。成程、麻沙美先輩らしい遊びですね」
「ふっふっふ、そうだろう?」
別に伊万里先輩は褒めてなんかいないのに、麻沙美先輩は何故か自慢げである。
それにしてもコレは……、少々マズいな……
「最初は私が審判をやろう。さあ二人は靴下を脱いで!」
「待ってください! こういうのは、普通ジャンケンで決めるのでは!?」
「どの道全員やるんだ。いつやっても同じだろう?」
「マ、マジですか……」
「じゃなきゃ不公平だろう?」
こんなゲームに公平も不公平も無いと思うけど……
そんなこんなで、僕達はツイスターゲームをプレイすることになったのであった。
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