キック・THE・ボール

しゅうごろう

文字の大きさ
上 下
4 / 5

絶望

しおりを挟む
「ボビー、ヘイッ」

「パァーン」

「As it is shot!(そのままシュート!)」

「スパァーン!!」

「that's great!(素晴らしい!)」

「ピッピッピー」
試合終了のホイッスル。

「日本初の世界一!異例なことです!」

「シャーーーーー!」 

「えっえっえー」
突然ボビーが猪のように突進してきた。
「ドンッ!」
夢だったのだ。 
サッカーがしたくてしょうがなくなってきた。
身体がうずうずしてきた。

「ピッピッピッピッ」
いつものように朝練をこなす。
基礎的なことだか俺らは着実に上手くなっていた。
もう冬になりつつある。そう冬にはデカイ大会が一つある。その名も「Jカップ」。
今日はトーナメントの抽選がある。
俺は楽しみで仕方がなかった。
でも不安な気持ちがあった。
南栄高校当たれば負けるだろうと思っていた。
連携が上手くとれないのだ。
そんなことを考えてるうちにいつの間にか放課後になっていた。

みんなに提案をした。 
「連携が上手くとれないから連携の練習も取り入れていこう」
しかし、慶一朗が思わぬ一言。
「そんなん必要ねーよ 俺が何とかするから」
元々慶一朗はこのような自己中心的な性格なのだ。少し天狗になっていた。
せめてMFだけでも連携がとれるようにしとこうと思い五十畑と休日練習したのだ。でも一向に上手くならない。いわゆるスランプというやつ。

 「全然違うよ」

「違うのはお前だろ」
段々と雰囲気も悪くなってきた。
さらに仲も悪くなってしまった。
翌日には一言も喋らずに終わった。
このままJカップに臨むと思うとゾッとする。
早く仲直りをしなくてはいけない。
自分から歩み追って話しかけても無視されるこのざま。
もう怒った。とうとう翔大も自己中心的なプレーをするようになってしまった。
サッカー部のみんなに陰口を言われるようになったその震源地は五十畑だった。

北栄高校サッカー部は絶望に陥りつつある。
2回戦に勝ちあがることができるのか。
しおりを挟む

処理中です...