キック・THE・ボール

しゅうごろう

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練習試合

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ーー練習試合当日

「あー練習試合だあ。こわいなー」
「緊張するな、あんだけ練習したんだから大丈夫!」
みんなからの緊張のオーラが凄く伝わってくる。
いよいよスタメン発表。
GK・・・平木 蓮
右SB・・・倉田 駿 左SB・・・中村 涼平
右CB・・・松島 幸太郎 左CB・・・佐藤 記一
MF・・・鈴木 翔大、相川 亮司
FW・・・町田 慶一朗、井田 誠、五十畑 光一、赤坂 徹の4-2-4に決まった。

思わず俺は、「やったー」徹叫んでしまった。
恥ずかしくて倒れそうになった。

「勝つ準備はいいかーー 絶対勝つぞー」

「おーー」
迫力ある円陣。いよいよ始まる。

「ピッ」
キックオフのホイッスル。

「スパァーン」
慶一朗がゴールを決めた!
しかし、そのゴールは松島からのロングパスでオフサイドにより点は入らなかった。

松島は責任を感じその後機敏に動くことができなくなった。松島はあまりメンタルが強くないのだ。

「切り替え!切り替え!まだ時間はあるよ」
キャプテンの俺は松島を慰めた。

平木のスーパーセーブにより前半は0-0で終わった。
 突然のことだった。

「僕を下げてください。これ以上上手くプレーできる自信がありません。」

松島が言い出した。
監督は唐突のことにパニックになった。
しかし勝つには下げるしかない。
上手くプレーできない奴を出しても意味がない。
松島を下げて加藤 武蔵が出ることになった。

 「ピッ」
後半戦の始まりのホイッスル。

パスが段々繋がるようなった。俺らは気持ちが一つになった。一致団結したのだ。
しかし、ゴールには届かなかった。

ーー後半75分
相手チームの反撃が始まり相手のシュートも増えてきた。
倉田のカットによりゴールは防がれた。だか、コーナーキックがある。
相手チームは意味不なことを言い出した。
「1-1-3」
俺はあまり気にしなかった。
 相手のキックは直接中に蹴るのではなく、低飛行でボランチにパスをし、シュートを撃つ作戦だった。俺らはまんまとその作戦に引っかかった。
ボランチなど誰もマークについていなかった。
さらに誰も見ていなかった。

「スパァーン」
ゴールを突き抜けるように入った。
入った瞬間俺は頭が真っ白になった。
何が何だかわからなくなった。
絶望に陥る。

しかし、慶一朗は諦めていなかった。
既に90分を過ぎていた。
アディショナルタイムは4分。

慶一朗は風のようにドリブルで切り抜けていきゴールを決めた!と思いきやキーパーにパンチングで弾かれた。ボールは俺のところにきた。

俺は最後の力を振り絞ってドリブルで切り抜けシュートを撃った。
なんと......相手のミスによりゴールしてしまった。

「やったー さすがキャプテンやったー」
勝ってもいないのに胴上げされた。

PKに持ち込まれた。
慶一朗、俺、井田、五十畑、相川の順で蹴る。
全員落ち着いて決めた。だか、相手も一本も外さなかった。
最後の一本、平木に掛かっている。

「バァーン」
誰もが入ったと思った。だがその音はポストに当たった音だった。もう誰もがダメだ負けたと諦めていた。
嬉しすぎて固まってしまった。
この勝利は北栄高校の歴史に残るほどすごいことなのだ。

「まずは西栄高校を制覇したぞー」

「次は南高制覇だー」

疲れが吹き飛んだ。
この練習試合を活かしさらに強くなることをまた決意した。

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