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幕間
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両親に手を引かれながら帰る幼い美琴はそのまま教会を振り返った。
「おとうさん、おかあさん、みんなでなにしてたの? 」
父は娘の頭に手を置くと視線を合わせにしゃがみこんだ。
「神様に祈りを捧げていたんだよ」
「いのりをささげていた ってなぁに? 」
「信仰を示していたんだ」
難しい言葉が次々出るものだから美琴の眉は寄っていた。
くすくす笑いながら今度は母親が降りてくる。
「美琴、神様へのたくさんの大きな大好きを差し上げていたのです」
「じゃぁ みことはおとうさんをおかあさんに いのりをささげていた をするね! 」
夫婦は微笑み合うと二人で娘を抱きしめた。
「美琴、覚えておきなさい。神様への愛は誰も奪う事が出来ない。だから手放してはいけないよ」
「神様を愛している限り私達は決して裏切られる事はありません、必ず救いの御手を示して下さいます」
「おとうさんとおかあさんがそういうんならそうする!みこと、かみさまだいすきだし! 」
父が娘の頭を優しく撫でる。
「信仰は時に試される事がある、何かを奪われてしまう事もある。でもね美琴、何もかも奪われて何一つ残らず失ってしまう事があっても、それでも最後まで持ち続けるのが信仰だ。信仰を続ける限り辛い事があってもきっとお救い下さる。神様は決してお前を見捨てたりなどしないよ」
「かみさまはやさしいのね! 」
「慈悲深いお方ですよ」
美琴は教会に一歩近づいて両手を口に添えて大きく息を吸い込んだ。
「かーみーさーまー!みことはー!かみさまがー!だいすきですー! 」
教会から帰る所だった多くの信者達が美琴に微笑みかけ中には十字を切る者もいた。
母は美琴に頬をつけ、父は優しく背を撫でてくれた。
信仰とは祝福、人と人とを繋ぐ素敵なものなのだと幼い少女は思った。
「おとうさん、おかあさん、みんなでなにしてたの? 」
父は娘の頭に手を置くと視線を合わせにしゃがみこんだ。
「神様に祈りを捧げていたんだよ」
「いのりをささげていた ってなぁに? 」
「信仰を示していたんだ」
難しい言葉が次々出るものだから美琴の眉は寄っていた。
くすくす笑いながら今度は母親が降りてくる。
「美琴、神様へのたくさんの大きな大好きを差し上げていたのです」
「じゃぁ みことはおとうさんをおかあさんに いのりをささげていた をするね! 」
夫婦は微笑み合うと二人で娘を抱きしめた。
「美琴、覚えておきなさい。神様への愛は誰も奪う事が出来ない。だから手放してはいけないよ」
「神様を愛している限り私達は決して裏切られる事はありません、必ず救いの御手を示して下さいます」
「おとうさんとおかあさんがそういうんならそうする!みこと、かみさまだいすきだし! 」
父が娘の頭を優しく撫でる。
「信仰は時に試される事がある、何かを奪われてしまう事もある。でもね美琴、何もかも奪われて何一つ残らず失ってしまう事があっても、それでも最後まで持ち続けるのが信仰だ。信仰を続ける限り辛い事があってもきっとお救い下さる。神様は決してお前を見捨てたりなどしないよ」
「かみさまはやさしいのね! 」
「慈悲深いお方ですよ」
美琴は教会に一歩近づいて両手を口に添えて大きく息を吸い込んだ。
「かーみーさーまー!みことはー!かみさまがー!だいすきですー! 」
教会から帰る所だった多くの信者達が美琴に微笑みかけ中には十字を切る者もいた。
母は美琴に頬をつけ、父は優しく背を撫でてくれた。
信仰とは祝福、人と人とを繋ぐ素敵なものなのだと幼い少女は思った。
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