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終幕:賭けの結果
賭けの結果
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教室の中でジャスティンは生徒達に囲まれていた。
「よう、良い子のジャスティン、サンタさんは来てくれたかい? 」
「ロックフェラーよりでかいツリーってどこにあるんだよ」
ジャスティンは彼等に向かって悪かったなぁと答えた。
「あれは俺へのプレゼントだったからお前達には見えなかったんだよ」
「なんだよそれ!認めろよ! 」
一人が詰め寄った。
それを止めたのはマックだった。
「よせよ、賭けはジャスティンの勝ちだ」
周りがどよめく。
「おいおいマック、お前までどうしちまったんだよ。まさかサンタが来たなんて言うのか? 」
マックの横からネオがそっと耳打ちする。
「マック、あれは幻覚だったらしいぜ?賭けはマックの勝ちだよ」
「お前はそう思うのか?ネオ」
すごむでもなくただ素直な表情でマックはネオに言った。
ネオは当たり前のように首を振っている自分に驚いた。
だがすぐ慌てて付け加える。
「けどどう考えてもあれはまともじゃないよ」
「ああ、その通りだ」
マックも頷いた。
そしてジャスティンに進み出る。
「これはお前のだジャスティン。俺の元に届いたサンタを語る偽物が届けたプレゼントだ。勝ったのはお前だ。俺も人から聞いたら信じないし、今でもアレがなんだったのかわからない。けどな、これだけは言える。あそこにツリーがあった事よりも、今ない方が俺には不自然なんだ。まともじゃなかろうがなんだろうが、そんなことは問題じゃない。俺は居ると思う。いや、思うじゃない。居るよ。サンタは」
「マック」
ニネットが遠くでそう漏らした。
「ああいうのはさ、多分本当に体験した奴じゃないとわからないんだと思う。サンタに会うってのはそう言う事なんだ」
ジャスティンは突き出された未開封のゲームのセットを見つめながらしばらく黙っていた。
「お前が受け取らないと俺が男として成り立たないんだよ」
「そうだな」
ジャスティンはマックと目を合わせてそう言うと両手でそれを受け取った。
「けどなマック、うちはでっかいテレビもないし、こう言うの結構電気代食うんだろ?お前んちに置かせてくれないか?その代わりいつでも好きなだけ使っていいからさ。たまにお前んちに行った時に相手してくれよ」
思ってもみなかった申し出にマックは目をぱちくりした。
「図々しいか? 」
そう言いながらジャスティンは受け取ったものを相手に差し出す。
「いや……」
マックはかぶりを振って受け取り返した。
「ああ、それで良いならそれで良い。なら、いつでも来てくれ」
「ああ。」
ジャスティンは微笑んだ。
「ってわけでニネット、お前のおままごとセットも要らないからな」
マックの言葉に顔を真っ赤にしてニネットは違うものと言った。
「大体サンタさんは欲しいものじゃなくて必要なものを届けてくれるんだからっ! 」
「なぁんだ、参考書でも届いたのか―…」
ネオの言葉にジャスティンが笑った。
「ジャスティン、笑う事ないでしょ?私は味方をしてあげていたのよ? 」
「悪かったよ。今度ままごとでも人形遊びでも相手するから」
「馬鹿にして! 」
小さく膨れて背を向けるニネットにジャスティンは囲いをこじ開けて寄って行った。
「そうじゃないよ。感謝しているって言ったのさ。本当だよ」
するとニネットはくるりと振り返って微笑んだ。
「ならよろしい」
12月25日以降、ジャスティンの日々は少しだけ変わった。
母親とかわす言葉が増え、視線が合うようになった。
いくらか自分に自信が持て、人に少しだけ優しくなれた。
他にも色々小さな何かが変わった気がするがこまごました事はジャスティンにはわからなかった。
ただ言える事は、ジャスティンは間違いなくサンタクロースから贈り物を受け取ったと胸を張れる事である。
「よう、良い子のジャスティン、サンタさんは来てくれたかい? 」
「ロックフェラーよりでかいツリーってどこにあるんだよ」
ジャスティンは彼等に向かって悪かったなぁと答えた。
「あれは俺へのプレゼントだったからお前達には見えなかったんだよ」
「なんだよそれ!認めろよ! 」
一人が詰め寄った。
それを止めたのはマックだった。
「よせよ、賭けはジャスティンの勝ちだ」
周りがどよめく。
「おいおいマック、お前までどうしちまったんだよ。まさかサンタが来たなんて言うのか? 」
マックの横からネオがそっと耳打ちする。
「マック、あれは幻覚だったらしいぜ?賭けはマックの勝ちだよ」
「お前はそう思うのか?ネオ」
すごむでもなくただ素直な表情でマックはネオに言った。
ネオは当たり前のように首を振っている自分に驚いた。
だがすぐ慌てて付け加える。
「けどどう考えてもあれはまともじゃないよ」
「ああ、その通りだ」
マックも頷いた。
そしてジャスティンに進み出る。
「これはお前のだジャスティン。俺の元に届いたサンタを語る偽物が届けたプレゼントだ。勝ったのはお前だ。俺も人から聞いたら信じないし、今でもアレがなんだったのかわからない。けどな、これだけは言える。あそこにツリーがあった事よりも、今ない方が俺には不自然なんだ。まともじゃなかろうがなんだろうが、そんなことは問題じゃない。俺は居ると思う。いや、思うじゃない。居るよ。サンタは」
「マック」
ニネットが遠くでそう漏らした。
「ああいうのはさ、多分本当に体験した奴じゃないとわからないんだと思う。サンタに会うってのはそう言う事なんだ」
ジャスティンは突き出された未開封のゲームのセットを見つめながらしばらく黙っていた。
「お前が受け取らないと俺が男として成り立たないんだよ」
「そうだな」
ジャスティンはマックと目を合わせてそう言うと両手でそれを受け取った。
「けどなマック、うちはでっかいテレビもないし、こう言うの結構電気代食うんだろ?お前んちに置かせてくれないか?その代わりいつでも好きなだけ使っていいからさ。たまにお前んちに行った時に相手してくれよ」
思ってもみなかった申し出にマックは目をぱちくりした。
「図々しいか? 」
そう言いながらジャスティンは受け取ったものを相手に差し出す。
「いや……」
マックはかぶりを振って受け取り返した。
「ああ、それで良いならそれで良い。なら、いつでも来てくれ」
「ああ。」
ジャスティンは微笑んだ。
「ってわけでニネット、お前のおままごとセットも要らないからな」
マックの言葉に顔を真っ赤にしてニネットは違うものと言った。
「大体サンタさんは欲しいものじゃなくて必要なものを届けてくれるんだからっ! 」
「なぁんだ、参考書でも届いたのか―…」
ネオの言葉にジャスティンが笑った。
「ジャスティン、笑う事ないでしょ?私は味方をしてあげていたのよ? 」
「悪かったよ。今度ままごとでも人形遊びでも相手するから」
「馬鹿にして! 」
小さく膨れて背を向けるニネットにジャスティンは囲いをこじ開けて寄って行った。
「そうじゃないよ。感謝しているって言ったのさ。本当だよ」
するとニネットはくるりと振り返って微笑んだ。
「ならよろしい」
12月25日以降、ジャスティンの日々は少しだけ変わった。
母親とかわす言葉が増え、視線が合うようになった。
いくらか自分に自信が持て、人に少しだけ優しくなれた。
他にも色々小さな何かが変わった気がするがこまごました事はジャスティンにはわからなかった。
ただ言える事は、ジャスティンは間違いなくサンタクロースから贈り物を受け取ったと胸を張れる事である。
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