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7話 季節外れの転校生

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 高校2年の秋、下の学年に季節外れの転校生が来ると噂になっていた。
 なんでもイギリス帰りの帰国子女だとか。
 すんごいイケメンだ、秀才だと興奮するクラスメイトを横目に英語の宿題と向き合う。

 宿題をやっている私は塩対応なのにこんなに言ってくるってことは本当にイケメンなんだなぁと思いつつ、ペンを走らせ、問題を解いていく。


 …カリカリカリ
 今日はやけにペンの音が響くなぁと思ってから気付いた。
 休み時間にしては静か過ぎる。

 不審に思い顔を上げると、先ほどまで騒いでいたクラスメイトが目を見開いて、教室のドアを凝視している。

 視線しせん辿たどると、なるほど、日常ではお目にかかれないほどの顔の整った青年がつやのある黒髪を生ぬるい風になびかせて立っていた。
 身長は教室のドアと同じぐらいとかなり高いか。
 スっと通った鼻筋を初め、それぞれ顔のパーツが整っている。特に済んだ青色の瞳がきれいだ。こちらをじっと見ていた。
 とてつもない美丈夫びじょうぶだが、誰かの知り合いか?というかめちゃくちゃこっち見てくるが、こんな人を私は知らないぞ?

 そう思いつつ首を傾げると、それを頷きと取ったのか、青年がいきなり笑顔になり、こちらへ歩いてきた。
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