13 / 29
13.急展開(ニケ視点)
しおりを挟むーーーニケ視点
マーガレットの子どもが産まれて3ヶ月、気が触れて引きこもっていたと思ったら、急展開があった。
なんと、産まれた子どもが聖女だと言い張っているらしいのだ。
聖女の額には、産まれた時から十字の印があるはずだ。
産まれた時にはそのような物があったとは報告されていない。
隣りで心配そうなフィオナに話す。
「あの女の子どもだが、聖女だというのは、俄には信じ難い。子どもを隠すようにしてあまり人に見せようとしないようだし、そもそもあの女から聖女が産まれる訳が無い。それに、聖女だったのなら産まれてすぐに報告があるだろう。」
「そうですわね…。」
「大方、産まれた子どもがゴードンに似ていなかったから、聖女だと嘘をつき、聖女ならば髪の色や目の色が両親と違っていても不思議では無いと言いたいのでは無いだろうか…。ゴードンも聖女を産んだとなればあの女を追い出す訳にはいかないからな…。」
「しかし、そんな聖女様を謳った嘘なんてついたら…。大逆罪ではありませんか。」
「そうだ…。さすがの愚兄でもその事には気付くと信じたいが…!!サンダーム侯爵家の嫡男が、我が子を聖女と偽ったなんて事になれば、侯爵家はタダでは済まないだろう…。ゴードンはどうでも良いが父が心配だ。とりあえず、私はすぐに侯爵家へ向かい、あの女を問い詰める。ゴードンが間違ってもあの女を信じて、子どもが聖女だと外に吹聴していなければ良いのだが…!!」
「そうですね…。私も共に参ります。」
「フィオナ。心配してくれてありがとう。しかし、フィオナはここにいてくれ。私はあの2人にフィオナを会わせたくない…。」
産まれた子が聖女と嘘をつくような女がフィオナに何をするかわからない。
そして、心無しかフィオナの体調が悪いように感じる。
「分かりました…。それならばお気をつけて…。」
侯爵家へ馬ですぐに向かう。
屋敷へ入ると、困惑した様子の使用人が声をかけてくる。
「ニケ様…!!大変な事になっております…!!マーガレット様が産まれた子どもを聖女だと言い、気にいらない者や、逆らった者を後々に酷い目に遭わしてやるなんて怒鳴ったりしているんです…!!私たち、もう耐えられません…!!」
「そのような権限があの女にあるわけないだろう!?」
「そうなのですが…。万が一お子様が聖女様だったら…。そう思うと強く出られず…。旦那様も体調が優れなくて…。」
「なんだと…!?ゴードンは何をしているんだ!」
あの女は嘘をついている上に、この侯爵家の使用人に感謝するどころか、蔑ろにしているらしい…。断じて許される事では無い。
そこに、ゴードンが現れた。
「おや?ニケでは無いか。」
「ゴードン…!!お前、この状況はどういう事だ…!!」
「おやおや?そのような口を聞いて良いのかな?」
「なんだと…!?どういう事だ…!?」
「聖女様の父親に向かってそのような口を聞いて良いのかって言っているんだよ…!!」
ニヤニヤしながらゴードンが言う。
「ゴードン…!お前…!まさか、産まれた子どもが本当に聖女だと信じているのか…!?そもそも髪の色と目の色を見たか…!?お前の子どもでは無いのが一目瞭然だろう!!」
「なんだと!?お前、聖女を侮辱するのか…!!兄弟だと思い今まで大目に見ていたが、こればかりは許さんぞ!」
(昔から愚兄だとは思っていたが…!!ここまでだとは…!!)
「それならば、産まれた子どもを見せてみろ…!!」
「あらぁ!?ニケ様じゃないですかぁ!?そんなにこの子が見たいのですかぁ!?」
子どもを抱いたマーガレットがやってきた。
45
お気に入りに追加
5,408
あなたにおすすめの小説
婚約破棄から聖女~今さら戻れと言われても後の祭りです
青の雀
恋愛
第1話
婚約破棄された伯爵令嬢は、領地に帰り聖女の力を発揮する。聖女を嫁に欲しい破棄した侯爵、王家が縁談を申し込むも拒否される。地団太を踏むも後の祭りです。
【完結】裏切ったあなたを許さない
紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。
そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。
それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。
そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる