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8.望まぬ再会

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見ると、そこには元夫の浮気相手のマーガレットがいた。

お腹はかなり大きく、もういつ産まれてもおかしくない頃だろう。



「ニケ様~お久しぶりですっ!もぉ、全然マーガレットに会いに来てくれないんだからぁっ!」

ニケ様はマーガレットを汚い物を見るような目で見る。


「ってあれぇ??そこにいるのはフィオナ様じゃないですかぁっ!?ゴードン様を取り返しに来たんですかぁ??くすくす!」


「フィオナ、行こう。」

「はい。」

何か言っているが無視をして出て行こうとする。


「え、行くってどこにですかぁ?なんでニケ様も行くの?ちょっと待ってくださいっ!」

ニケ様の腕をマーガレットが掴もうとする。が、ニケ様は避けて、マーガレットの腕は宙を掴む。


「気安く触れようとするな。私はフィオナと結婚したのだ。気持ちが悪い。話しかけて来るな。」


「えっ…?嘘でしょ?なんでニケ様がフィオナと…!?どんな手を使ったのよ!!ニケ様っっ!私次は貴方の子ども産むからっ!その女は子どもが産めないのよ!」

すると、ニケ様がこの上なく冷たい目でマーガレットを睨みつける。

「黙れ。これ以上無礼な事を言うと私は何をするかわからない。腹に子がいなければ殴りつけている所だ!フィオナの目の前から去れ!!」


「ひっ…!あ、お腹いたたたた。」

お腹を抱えて痛がり始めるマーガレット。

「お産が始まったのではないでしょうか!?誰か!!」

急いで使用人を呼ぶ。
ゴードンも慌ててやってくる。


「マーガレット!大丈夫か!?ん?ニケと…フィオナか!?フィオナ!マーガレットに何したんだ!」


「何もしておりませんわ。それよりもマーガレット様を支えてあげてくださいな。貴方の子どもなのでしょう…?」


「くっ!後で聞くからな!!」

マーガレットが運ばれていく。



「フィオナ、別宅へ行こう。」

「良いのですか?」

「良いさ。医者ももうじき来るだろう。」


ニケ様がそう言うならばと、侯爵家を後にして別宅へ向かう。

別宅へ向かうと、エリアナが出迎えてくれた。

「フィオナ様…!大変でございましたね…!でも、こうしてまたお側でお仕えする事ができ、嬉しく思っております…!」

「エリアナ。ありがとう。私もよ…。これからもよろしくね。」


「はいっ!お2人共、長旅でお疲れでしょう?温かい飲み物を入れますね!」


「ありがとう。部屋へ持ってきてくれ。」

「かしこまりました。」


廊下を歩いて部屋へ向かう。飾ってある花や、インテリアがとても私好みだ。
きっとニケ様がエリアナと相談しながら用意してくれたのだろう。
その心遣いがとても嬉しい。


部屋について温かいお茶を飲みながら、2人で一息つく。
親しくなって日は浅いが、ずっと昔から一緒に過ごしているように心地が良い。


「さぁ、そろそろ寝ようか。」


「はい。」


「フィオナ…。その、今日は疲れているだろうから、別室で寝ようか。」


「私は一緒でも…。」


「一緒に寝れば、その、我慢は出来ないと思うのだが…。」


「かまいません。夫婦ですもの。」


「フィオナ…。」


そう言ってニケ様が私を抱き抱え、ベッドに運び、優しく置き頭を撫でる。

自分から言った癖に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。


「その、ニケ様…。私…。結婚してたとは言え、夜の営みは初めてなのです…。」



「えっ?なんだって…??」
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