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1.突然の離婚宣言
しおりを挟む「聖女どころか子ども産めない女は出て行け!マーガレットに子どもが出来たのだ!きっとお腹の子が聖女に違いない!だからお前とは離婚する!!」
隣の令嬢を抱き寄せて声高々に言い放つのは、侯爵家の
ゴードン・サンダーム。
ゴードンは記憶違いで無ければ私の夫であったはずなのだが…。
そして隣でゴードンに腕を絡ませてニヤニヤしてこちらを見ている品の無い令嬢はウォール男爵家のマーガレット令嬢だ。
私は1年前にサンダーム侯爵家に嫁いだフィオナ・サンダーム。
元伯爵令嬢だった。
1年前に結婚した私達の間には子どもはできなかった。
1年間で子どもが出来なかった私に対して"子どもが産めない女"と言うのだ。
何とも失礼で腹立たしい。
この国では、治癒能力を持つ聖女と呼ばれる存在が3人いる。
不思議な事に、1人聖女が死んでしまうと、大体3年以内に次の聖女が産まれるのだ。
1ヶ月前に、1人の聖女が死んだ。
聖女が産まれたら、その聖女と両親は手厚く扱われる。
特に公爵家や侯爵家は王族に取り入りたい為、この聖女を喉から手が出るほど欲していた。
前聖女が死んでから、国中が自分が聖女を産むのだと躍起になっていた。
聖女は産まれてすぐ分かる。額に十字の印が刻まれているからだ。
その聖女を産んで欲しい気持ちは分かる。
しかし…。
浮気相手を隣に侍らかし、
馬鹿にするような目で私を見下し、
声高々に
「浮気相手に子どもができたからお前は出て行け」
なんて言う事は決して許す事ができない。
「……。マーガレット様に子どもができたのですね…?それは…ゴードン様の子どもですか?」
「何だと!?当たり前だろ!?マーガレットは私しか男を知らないんだ!」
「そ、そうですわっ!うぅ、やっぱりフィオナ様は怒ってらっしゃるんですわっ!私がゴードン様を奪ってしまったから…!!ごめんなさいっっ!ゴードン様が私に夢中になってしまってごめんなさいっ!」
その顔はニヤけている。
「……。分かりました。それでは離婚しましょう。ゴードン様の有責なので、慰謝料は頂きますがそれくらい許されますわね?」
「金金とがめつい奴め!良いだろう!いくらでも持っていけ!私には聖女が産まれるのだからな!!それくらい安いもんだ!そのかわりすぐ出ていけよ。」
「わかりました。それでは失礼致します。」
お腹の子が聖女になるという謎の自信を持っているゴードン。
でも…。
その浮気相手のお腹にいる子どもって、
誰の子ですか???
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