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25.新しい門出

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「えぇ、間違いなく1ヶ月でしたわ。」


「えっ?ちょっと待って??1ヶ月…?確かゲイト様と私が会い始めたのって、奥様に見つかってから2ヶ月は経ってたような…??」


「あ、そうでしたね。間違えました。発覚して1ヶ月後に会っていたのは娼婦のメラニアの方でしたわね。」


「な!!なんでそんな事までセレーナが知っているんだ!!」


「貰ったお金が足りないってわざわざ店にまで徴収に来ましたもの。大丈夫ですよ、きちんと謝罪して払っておきましたから。あ、他にも……ミルキーにマリアに…。」


「ちょっとーー!!ゲイト様ーー!!どういう事よーー!!私の事愛してるって!私だけって言ったんじゃ無いのーー!?」


「わー!違うんだ!セレーナ!ダリア!これは違うんだー!!」


「それではさようなら!きっともう二度と会う事はありませんが!」

喧嘩を始めるゲイトとダリアを尻目に、颯爽と馬車を出したのだった。

喧嘩する2人を見たら、なんだか愉快で思わず馬車の中で笑ってしまうのだった。





その足で役場へ向かう。


離婚届と親子の絶縁状を提出し、滞りなく受理された。
この国では血判状は法的に強い力を持つ。もう覆る事は無いだろう。

そしてもう一枚準備しておいた書類を鞄から出す。

「お義父様、お義母様。これも出したいと思うのですが、どう思いますか?」

「ん?こ、これは…!!セレーナ!もちろんだ!!ほら!お前も!」

両親が急いでペンを取りサインする。

義両親と私を養子縁組をする書類だ。

「ありがとうございます。これで書類上でも私達は親子になりましたね。お父様、お母様、これからもよろしくお願い致しますね。」

「あぁ。勿論だ、セレーナ…。本当にありがとう…。」

両親が涙を流して私の手を握りながら言ったのだった。


「さあ!これから忙しくなりますね!お父様、お母様も協力お願いしますね!新たな門出を祝って先程のお金で、美味しい食事を頂きにいきましょう!!」


「セレーナ殿。それにはもちろん私も誘って頂けるんだよね?」


「まぁ!リブライ様!勿論ですわ!街1番の美味しいお店にお連れ致します!」

「ふふ、それは楽しみだ。それではご馳走になろうかな?」

伯爵家の御令息を平民の店に連れて行くのは少しばかり気が引けたが、リブライ様はきっとそのような事は気にしないだろう。きっと今日は無礼講だ。



そうして、リブライ様と両親と、従業員全員で新たな門出を祝うのだった。











あと、2話で完結です。
お付き合いください。
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