(完結)2度目の浮気は許しません。

ちゃむふー

文字の大きさ
上 下
24 / 27

24.そして知れ渡る

しおりを挟む


「この離婚届は私が役場へ出してきますから。」

そう言って馬車に乗り込もうとするとゲイトが我に帰り叫ぶ。

「ま、待て!いや、待ってくれ!セレーナは今からどこへ行くんだ!?住む所なんて無いだろう!?父上や母上も!!」

「大丈夫ですよ。リブライ様が仮住まいを用意してくださったので…。そもそも、私の行く先をゲイト様に教える理由はありません。」

「お、俺も連れてってくれ!!お願いだ!!」

連れて行くわけが無いだろう…。
店前で大騒ぎするので、人だかりが出来てきてしまった。
その中から、焦った声が聞こえた。


「ダ!!ダリア!!お前なんでこんな所にいるんだ!?」

サイラス工房の夫妻だ。少しドレスアップしている。高級料理店の帰りだろう。


「げっ!父さん母さん!!」

「あら、サイラス工房のご主人と奥様。残念ですがたった今をもちまして私と両親はローランド商会を辞めたのです。今までお世話になりました。」

お辞儀をする。

「セレーナ様とご主人達が…!?どういう事ですか!?」

たくさんの人が見ている中で話しても良いのかしら…。でも、騒いだのはゲイトだし、仕方ないわよね…?


「実は…。ゲイト様が私と結婚している時からダリア様とは仲良くして頂いていたようで…。これからは、2人でローランド商会を盛り上げてくれるようなのです。」


「結婚している時から仲良く…!?お前っ!!それはもしかして!!不倫していたというのか!?しかもいつもお世話になっているセレーナ様のご主人と!!」

どんどん顔が青ざめて行く。

「セレーナ様!!申し訳ございません!!いつもお世話になっていながら…!こんな仕打ち…!!」

ダリアの父と母が地面に頭を擦り付け謝罪する。

「ちょ、こんなら街中で父さんやめてよ!ま、まぁ、そうかもしれないけど…。でも大丈夫よっ!これから私ローランド商会で頑張るかっっって!!いったああああい!!!」

ダリアが最後まで話す前に、ダリアの父がダリアに拳骨を落とす。そしてそのまま頭を掴み、地面に頭をを打ち付け、土下座させた。

「痛い痛い痛い!やめてよこのクソ親父!!」

「謝れ!!謝っても済むことでは無いが謝るんだ!!」

すると、見物人がヒソヒソと話し始める。

「ねぇ…。あの人が新しくゲイト様の奥さんになる人だってぇ…。なんて品の無い方なんでしょう…。」
「セレーナ様が出て行って、ゲイト様とあの不倫女がローランド商会を担うだって…?ローランド商会も終わったなぁ~。」
「ゲイト様が仕事している所見た事あるか…?よく遊楽街や賭け事場にいるよな…。」


このあたりの人ならば、ゲイトがどんな人間かは有名だ…。ただでさえ評判は良くないのに、このような痴話話が知れ渡ってしまったのだから、ローランド商会は今後更に厳しい状態になるだろう。


「ご主人、奥様、顔を上げてください。もう、気にしていませんからお気になさらず…。」


「…ほらっ!セレーナ様も…こう…言ってるし…。手を離してよっ…!しかもっうちの取引先はローランド商会だけじゃ…ないでしょっ…?」


「馬鹿野郎!ローランド商会から発注が増えて、他の取引先は断ったんだよ!!」

「えっ!?そうなの!?まぁ、でもこれから私頑張るから!」

「お前とゲイト様には無理だ…。終わった…。先代から受け継いだ工房が…。ダリア!!お前とはもう絶縁だ!!」


サイラス工房の2人は余りにも気の毒なので、落ち着いたらツテを使い、新たな販売先を紹介しても良いだろう。まあ、紹介しなくともサイラス工房なら何とかなるだろう。仕事の腕は確かなのだから。



「それでは、もう行きますね。大丈夫ですよ、浮気が発覚して1で会ってしまうくらい愛し合っている2人なのですから…。」

『ギクッ』

ゲイトが冷や汗をダラダラかき始めた。


「え?1ヶ月…??」






しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

誰も残らなかった物語

悠十
恋愛
 アリシアはこの国の王太子の婚約者である。  しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。  そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。  アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。 「嗚呼、可哀そうに……」  彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。  その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

処理中です...