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24.そして知れ渡る
しおりを挟む「この離婚届は私が役場へ出してきますから。」
そう言って馬車に乗り込もうとするとゲイトが我に帰り叫ぶ。
「ま、待て!いや、待ってくれ!セレーナは今からどこへ行くんだ!?住む所なんて無いだろう!?父上や母上も!!」
「大丈夫ですよ。リブライ様が仮住まいを用意してくださったので…。そもそも、私の行く先をゲイト様に教える理由はありません。」
「お、俺も連れてってくれ!!お願いだ!!」
連れて行くわけが無いだろう…。
店前で大騒ぎするので、人だかりが出来てきてしまった。
その中から、焦った声が聞こえた。
「ダ!!ダリア!!お前なんでこんな所にいるんだ!?」
サイラス工房の夫妻だ。少しドレスアップしている。高級料理店の帰りだろう。
「げっ!父さん母さん!!」
「あら、サイラス工房のご主人と奥様。残念ですがたった今をもちまして私と両親はローランド商会を辞めたのです。今までお世話になりました。」
お辞儀をする。
「セレーナ様とご主人達が…!?どういう事ですか!?」
たくさんの人が見ている中で話しても良いのかしら…。でも、騒いだのはゲイトだし、仕方ないわよね…?
「実は…。ゲイト様が私と結婚している時からダリア様とは仲良くして頂いていたようで…。これからは、2人でローランド商会を盛り上げてくれるようなのです。」
「結婚している時から仲良く…!?お前っ!!それはもしかして!!不倫していたというのか!?しかもいつもお世話になっているセレーナ様のご主人と!!」
どんどん顔が青ざめて行く。
「セレーナ様!!申し訳ございません!!いつもお世話になっていながら…!こんな仕打ち…!!」
ダリアの父と母が地面に頭を擦り付け謝罪する。
「ちょ、こんなら街中で父さんやめてよ!ま、まぁ、そうかもしれないけど…。でも大丈夫よっ!これから私ローランド商会で頑張るかっっって!!いったああああい!!!」
ダリアが最後まで話す前に、ダリアの父がダリアに拳骨を落とす。そしてそのまま頭を掴み、地面に頭をを打ち付け、土下座させた。
「痛い痛い痛い!やめてよこのクソ親父!!」
「謝れ!!謝っても済むことでは無いが謝るんだ!!」
すると、見物人がヒソヒソと話し始める。
「ねぇ…。あの人が新しくゲイト様の奥さんになる人だってぇ…。なんて品の無い方なんでしょう…。」
「セレーナ様が出て行って、ゲイト様とあの不倫女がローランド商会を担うだって…?ローランド商会も終わったなぁ~。」
「ゲイト様が仕事している所見た事あるか…?よく遊楽街や賭け事場にいるよな…。」
このあたりの人ならば、ゲイトがどんな人間かは有名だ…。ただでさえ評判は良くないのに、偶然このような痴話話が知れ渡ってしまったのだから、ローランド商会は今後更に厳しい状態になるだろう。
「ご主人、奥様、顔を上げてください。もう、気にしていませんからお気になさらず…。」
「…ほらっ!セレーナ様も…こう…言ってるし…。手を離してよっ…!しかもっうちの取引先はローランド商会だけじゃ…ないでしょっ…?」
「馬鹿野郎!ローランド商会から発注が増えて、他の取引先は断ったんだよ!!」
「えっ!?そうなの!?まぁ、でもこれから私頑張るから!」
「お前とゲイト様には無理だ…。終わった…。先代から受け継いだ工房が…。ダリア!!お前とはもう絶縁だ!!」
サイラス工房の2人は余りにも気の毒なので、落ち着いたらツテを使い、新たな販売先を紹介しても良いだろう。まあ、紹介しなくともサイラス工房なら何とかなるだろう。仕事の腕は確かなのだから。
「それでは、もう行きますね。大丈夫ですよ、浮気が発覚して1ヶ月で会ってしまうくらい愛し合っている2人なのですから…。」
『ギクッ』
ゲイトが冷や汗をダラダラかき始めた。
「え?1ヶ月…??」
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