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13.破滅へのカウントダウン3(ゲイト視点)

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飲み過ぎたのか、苛立ちからなのか、頭がガンガンしてベッドから立ち上がる事ができない…。


(くそっ!!セレーナのやつ、自分もあんな男と浮気しておいて俺ばかり責めやがって…!!!)


水を飲み、口を袖で拭う。

(しかも…セレーナのやつあの男と幸せそうな顔して微笑み合っていやがった…!!俺にはあんな顔した事があったか…!?)


馬車の音がする。
あの男は帰ったようだ。


ガチャ


部屋の扉が開く。

無機質な目をしたセレーナが入ってきた。


(アイツにはそんな目をしていなかっただろう!?)

「セレーナ!!お前は俺を責めたくせに自分も浮気していたのか!!」

セレーナを睨み付け問いかける。

しかしセレーナの表情は変わらない。


「何度も言いますが、リブライ様とはそのような関係ではありません。仕事です。商談相手です。あぁ、ゲイト様は取引相手にも手を出されていましたね。しかし私は…。ゲイト様とは違うのです。」


「なっ!!お前はまだ根に持っているのか!?謝っただろうが!それともなんだ?お前は俺がまだ浮気していると言いたいのか!?また疑うのか!?」


「そのような事は言っていません。なぜそんなムキになるのですか?まだ…浮気しているのですか?」

この冷たい目に全て見透かされているような気分になる。
バレていないはずだ…。
仕事を抜けている事も、俺が店の金を抜き取っている事も…。セレーナは仕事が忙しすぎて気づかないはずだ。

「し、していない!!くそ!疑われて気分が悪い!今日はもう休む!!」


ゲイト様。先程の言動は許されるものでは無かったと思います。伯爵家の方に、あのような態度…。リブライ様で無ければ切り捨てられていても文句は言えません。リブライ様がお父様である伯爵様のお耳に入れたら、ローランド商会を潰すなんて簡単な事です。ゲイト様はそこまで考えていたのですか!?」


「な、なんだと!?セレーナ!お前はあの男を庇うのか!!やはりそういう関係なんだな!?」


そう叫ぶと、セレーナは俺に軽蔑の目を向けた。


「な、なんだよ…。図星かよ…?」


「もう、結構です。
 ゲイト様。別件ですが、4日後の早朝から3日ほど、使用人のベルとジャックスに休暇を取らせようと思います。2人の両親の体調が悪いようなので…。」

うちは元々はそこまで大きな商会では無かったので、使用人は料理人とハウスキーパーの夫婦2人しかいない。父上が信用できる人間しか雇いたく無いということで、商会が成長した今も増やしていない。

「そうか。」


「四日後はお義父様とお義母様も他商会との集まりで遅くなるそうです。私も、商談で帰るのが夕方以降となってしまう予定なので、この家には日中誰もいなくなってしまうのですが…。よろしいですか?」


「分かった。4日後だな。」

「はい。よろしくお願いします。では失礼します。」



(セレーナも遅くなるのか…。まさかあの伯爵家の息子のところじゃ無いだろうな??)


そう考えるも、睡魔には勝てず眠りに落ちていったのだった。


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