10 / 27
10.懲りない2人(ゲイト視点)
しおりを挟むセレーナに浮気がバレた。
しかも偶然にも父と一緒の時に見られた…。
セレーナの事を気に入っている両親は怒り心頭だった。
浮気がバレた後の話し合いでは、離縁だなんて話も出たが、必死に謝り誓約書を書いたら許して貰えた。
("もう浮気しないでください。"
だなんて言っていたな…。俺の事が好きな癖に離縁だなんて強がりやがって…。)
ダリアとはほんの遊びのつもりだったし、セレーナと離縁なんてするつもりは一切無い。
何より美人だし、セレーナがローランド商会へ来てからローランド商会は急成長を遂げている。従業員もセレーナの事を慕っている。もし離縁などしてセレーナを追い出したら、暴動が起こるかもしれない…。俺は物凄く責められるだろう…。それは避けたい。
だが、俺が浮気するのはセレーナや皆が悪い。
後継である私を差し置いて、両親も従業員もセレーナを頼る。
(この商会の主人は俺になると言うのに…!!面白くない…!!)
セレーナは店の金をちょっと借りるだけで小言を言ってくるし、浮気一つも簡単に許さない。
それに比べて、ダリアはいつも俺を褒める。
「こんな高価なアクセサリーを買えるなんて凄い!ありがとうございます!だいすきっ!」
「ローランド商会の後継だなんてかっこいいです~!」
「こんな高い宿屋に泊まれるなんて!しあわせ~!さすがゲイト様っ!」
(やはり、女はこうでないと…!)
そう思い、ついついこんな事を口走ってしまった。
「あーあ。ダリアが俺の妻だったらなぁ…。何とかセレーナを追い出してダリアを妻に出来ないかなぁ…。」
言ってしまって、
「なーんてな!」と誤魔化そうとしたが…。ダリアは目を輝かせて、
「わ、私がローランド商会の奥様っ⁉︎」
なんて言い出した。
(しまった。本気に捉えている…。ダリアのような女にはローランド商会の女主人は務まらないのは俺でも分かる…!)
「ま、まぁ勿論すぐには無理だが!!おーいダリア。聞いているか…?」
と、濁そうとしたが全く聞いていない…。
「ゲイト様っ!それ、名案ですっ!私、ローランド商会の奥様になりたいです!!」
(む、無理に決まっているだろう…!)
心の中でそう思うが、ダリアは完全にセレーナを追い出して自分が妻になる気でいるようだ…。
(しまった…。とりあえず今日の所は帰るとしよう…。)
「ダリア、サイラス工房も忙しいだろう。今日は帰ろう。」
「はい、ゲイト様っ!私…。大商会の妻、頑張りますねっ!」
目を輝かせたまま帰っていくダリア。
(まずい…。ダリアとは潮時だろうか…。しかし簡単に別れられるだろうか…。取引先だし…難しそうだな…。あぁ!やってられない!一杯引っ掛けて帰ろう…。)
そんな事を考えながら、途中で酒屋へと寄り、酒を飲んで家へと帰っていくのだった。
7
お気に入りに追加
2,880
あなたにおすすめの小説

不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。


父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる