(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー

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後編

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遠くに見えるケント達は魔物の大群に襲われて、危なそうだ…。


「ほら、先に進むぞハンス」


マーベルに促される。


(アイツらは自分勝手な理由で俺を追い出したんだ……今更どうなったって関係無い!)


そう思いマーベルの後を追おうとするが……



(気になる…….)


補助魔法の無いケント達はあんな魔物の大群と戦えば命も危ないだろう。
下手したら全滅だ。


(やはり……ちょっと様子を見に行くだけ…)


「マーベル!!すまない!ちょっと野暮用ができたから後で追う!!」


そう言い残しケント達の元へ向かう。



ーーーーーマーベルパーティー視点



「おい、マーベル。ハンスって奴あんな事言って走って行ったが良いのか?あんな勝手な事をして」


「あぁ捨ておけ。俺は来るもの拒まず去るもの追わずの主義だ。まあアイツの補助魔法は惜しいが……しかし、アイツは俺たちのパーティー向きでは無いな。俺たちは仲良しグループでは無い」


「そうだな。弱い者は倒れ強い者が生き残る世界だ。アイツは甘すぎる」


「あぁその通りだ。さあ。アイツなんて放っておいて先に進むぞ!」


「「おーー!」」


ーーーーーハンス視点



ケント達にバレないようにコソコソと近づき、草むらの影から様子を見る。


かなりおされているようだ。


「ケントッッ!!やっぱりハンスの力が無いと私たちだけでは無理よ!!」

マリエルが叫ぶ。

(やっと気付いたか…)

自分の存在の大きさを感じて貰えて不謹慎ながらも少し喜んでしまう。


「分かっている…!分かっている!しかし、アイツの補助魔法はA級以上だ!!俺たちといたらいつまでも評価されないんだ!」


ケントが魔物の攻撃を剣で受け止めながら叫ぶ。


(えっ……?どういう事だ…!?)



「なーにが足手まといだ。はっきりいえば良かっただろうが。"足手まといでお前はこんな所でくすぶっている奴では無いからもっと上を目指して他に行け!"と!!!」


騎士のアングルが盾で攻撃を受け止め叫ぶ。


「そんな事言ったらっ!ハンスは俺たちに気を遣って出て行けないじゃないか!ああ言うしか無かったんだ!ハンスとは長い付き合いだ。ハンスの性格は俺がよく分かっているんだ!」




何だって……?

ケント達は俺の為にあんな事を言ってパーティーをクビにしたのか……??


普通に言えば俺がパーティーを辞めないと思って……??


確かにケントの言う通り、正直に言われたら俺はパーティーを辞めなかっただろう。


ーーーしかし!


(ケントは俺の事を分かっていない…!!)



「補助魔法…!」

小声で呟き、ケント達に補助魔法をかける。



その瞬間、ケントの押されていた剣は魔物達の攻撃を跳ね返した。


その瞬間、ユーウェンの魔法がトドメを刺した。



「この補助魔法は………もしかしてハンスか……!?」


肩で息をしながらをしながらケントが言った。


草むらから出る。


「ケント…。」


「何だよ。俺を笑いに来たのか!?」



「もう良いよ。分かってんだよ。俺の為を思ってあんな事を言って俺を追い出したようだが…間違っている!!」



「聞いていたのか……」


「ケント。お前は俺の事を分かっていると言っていたが分かっていない!!」


「何だと……?」


「俺はお前とだから冒険者になろうと思ったんだ!あと……」


「あと……?」


「俺にはそこまでの向上心は………無いっっ!!」


皆がガクッと片膝折れる。


「ケント。お前はいつでもパーティーの皆の事を第一に考えていた。マリエルは俺の魔力が尽きないよう俺にも回復魔法をかけてくれていた。アングルもいつも身を呈して皆を守っていたし、ユーウェンは…うん、いつもありがとう!」


「「「ハンス…」」」
「おい、俺も何か褒めてくれよ」


「だからさ、また皆で頑張らせてくれよ!!俺、やっぱりこのパーティーが良いよ!!」


マーベルのパーティーにいればきっと強い敵を倒して一躍有名人になれるだろう。栄光も名誉も手に入るかもしれない。


だが、大して魅力は感じない…


「ハンス……勝手な事をしてすまなかった。そうだな!俺もハンスの足を引っ張らないようにもっと強くなるんだ!」


「俺たちのペースでやっていこう!!そしていつか魔王くらいやっつけてしまおう!!」


「はは!そうだな!!」





村で2人で笑い合っていた時のように、笑い合うのだった。


「もう、全く世話が焼けるんだからっ」

マリエルがそう言って頬を膨らますのだった。







次回エピローグです。
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