35 / 36
34.断罪2
しおりを挟む「そ、そんな…坊ちゃまは全て知って…」
父を騙し切れていたと信じ込んでいた義母はかなり狼狽えている…
「唯一救いなのは、妻はお前のような女に殺されなかった事だ…。妻が死んだ理由は…怪我なんかでは無い。子どもを妊娠し、お腹の中で子どもが育たずそのまま…母子共に…。私達を苦しめて来た両親が亡くなり、これから妻と子ども達を大切にしようと心に決めた所で妻とお腹の子どもを失くしてしまい私は、全てから逃げてしまったんだ…」
父がそのような状態だったなんて…
幼い私は知らなかった…
「すまなかった…フレミア。臆病な私はお前の事を祖父母から守らず、更にお前から最愛の母まで奪ってしまい、私をさぞ怨んだだろう…お前と向き合う事からも逃げてしまったんだ…」
「怨んでなど…おりませんでした…。私こそ、お父様の苦しみを理解しようとせず申し訳ございませんでした…」
「ありがとう、フレミア。そう言って貰えただけで救われた。殿下…お手を煩わせてしまい申し訳ございまさんでした…。どうか厳罰を…」
皇子が頷く。
「では、バラレンド元侯爵は、侯爵という地位でありながら統治や家族の行動の管理を怠った事により……爵位と領地没収だ。平民として生きていくが良い」
父が床に手をつき頭を下げる。
「さぁ、この3人を連れていけ!」
皇子がそう言うと、衛兵達に2人は引きずられるようにして連れて行かれる。
「え?ちょっと待って、私お父様の子どもじゃないの?どう言う事?誰か説明してよ!え?ラウルさまぁぁ」
「そんな…坊ちゃまは全部知って…いやあの女は私が消したのでは無かった…?」
そして最後に父がラウル様の方に向き、再び頭を下げる。
「ラウル様…いえアイロワニー侯爵様。どうかどうか娘をよろしくお願いします…」
「勿論です…お義父様…」
ラウル様が父をそう呼ぶと父は涙を流し、部屋を出て行く。
そしてふと立ち止まり、
「オディロン…オディロンにも…よろしくお伝え願いたい…」
父はそう呟き、扉が閉まる。
父は…ジュリーの事もオディロンの事も…全て気が付いていたのだ…。
何て悲しい義兄弟なのだろうか。
父とは、親子としてやり直す事はできなかったが、全てから解放された父に人生をもう一度やり直して欲しいと心から願うのだった…。
ーーーーーーーー
いよいよアイロワニー伯爵領を出る日になり、ラウル様の両親の元へ挨拶へ行った。
ラウル様のご両親も、兄夫婦もラウル様の栄転を心から祝福してくれた。
そして…久しぶりにバラレンド元侯爵家の屋敷へ戻る。
少しドキドキしながら屋敷の扉を開くと、オディロンが一人で私達を出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、フレミア様」
「ただいま…」
ここから、また始めよう。
不安が無いと言えば嘘になる。
でも次は一人じゃ無い。ラウル様が側に居るから大丈夫。
次回、最終話です。
86
お気に入りに追加
8,071
あなたにおすすめの小説
私が我慢する必要ありますか?【2024年12月25日電子書籍配信決定しました】
青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。
そして気付いてしまったのです。
私が我慢する必要ありますか?
※ 株式会社MARCOT様より電子書籍化決定!
コミックシーモア様にて12/25より配信されます。
コミックシーモア様限定の短編もありますので興味のある方はぜひお手に取って頂けると嬉しいです。
リンク先
https://www.cmoa.jp/title/1101438094/vol/1/
婚約破棄? 私の本当の親は国王陛下なのですが?
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢として育ってきたウィンベル・マリストル、17歳。
サンセット・メジラマ侯爵と婚約をしていたが、別の令嬢と婚約するという身勝手な理由で婚約破棄されてしまった。
だが、ウィンベルは実は国王陛下であるゼノン・ダグラスの実の娘だったのだ。
それを知らないサンセットは大変なことをしてしまったわけで。
また、彼の新たな婚約も順風満帆とはいかないようだった……。
婚約破棄に全力感謝
あーもんど
恋愛
主人公の公爵家長女のルーナ・マルティネスはあるパーティーで婚約者の王太子殿下に婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。でも、ルーナ自身は全く気にしてない様子....いや、むしろ大喜び!
婚約破棄?国外追放?喜んでお受けします。だって、もうこれで国のために“力”を使わなくて済むもの。
実はルーナは世界最強の魔導師で!?
ルーナが居なくなったことにより、国は滅びの一途を辿る!
「滅び行く国を遠目から眺めるのは大変面白いですね」
※色々な人達の目線から話は進んでいきます。
※HOT&恋愛&人気ランキング一位ありがとうございます(2019 9/18)
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
【完結】え? いえ殿下、それは私ではないのですが。本当ですよ…?
にがりの少なかった豆腐
恋愛
毎年、年末の王城のホールで行われる夜会
この場は、出会いや一部の貴族の婚約を発表する場として使われている夜会で、今年も去年と同じように何事もなく終えられると思ったのですけれど、今年はどうやら違うようです
ふんわり設定です。
※この作品は過去に公開していた作品を加筆・修正した物です。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる