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25.嫌な予感(ジュリー視点)
しおりを挟むーージュリー視点
いよいよやってきたわ…!建国祭に!!
もう、お母様がモタモタしているから遅くなってしまったじゃないの…。
久しぶりにアボン様にお会いできて、お話できるチャンスなのに……
さぁ、アボン様はどこかしら…?
会場を見渡すと、アボン様を見つけた。
久しぶりの再会だわ…!
お金を渡したあの日から連絡は無かったけれど、きっとワルヤーク伯爵の説得をされていたり、借金の整理が忙しかったに違い無いわ…!
きっと再会を喜び感動してくださるはずよ…!
そう思いアボン様に駆け寄ろうとすると、アボン様も私に気付いたようで目が合う。
が、アボン様が私を見る目は予想したものでは無かった。
(え?どうしてそのように汚い物を見るような目で見るの⁉︎そうだわ、連絡出来なかった事を気まずく思ってらっしゃるのね!)
「アボン様っ!会いたかったですわ!結婚の日取りはいつに致しましょう?」
アボン様が気にしないように明るく声をかける。
しかし、アボン様の次の言葉に耳を疑う事になる。
「な、何を言っているんだ?君は…」
「ど、どういう事ですの⁉︎」
「君は誰だ⁉︎誰かこの狂った令嬢を連れて行ってくれ!」
(く、狂った令嬢ですって!?)
「あら…?あれはバラレンド侯爵令嬢では無いですか…?」
「噂によると病で臥せっていると聞きましたが、随分お元気そうですわね」
「病では無くて、お気がふれてらしたのね」
「華の騎士様の次はアボン様を…?本当、綺麗なお顔が大好きなようね…」
「結婚ですって!妄想かしら?相手にされていないのに可哀想に…クスクス」
私たちの様子を見ていた周りの貴族達がクスクスと笑いながら囁き出した。
(しまったわ…!私は病気で寝込んでいる事になっていたわ…。アボン様!?冗談はここまでにして!!)
「アボン様っ⁉︎わ、私と結婚しようと仰って…」
周りの視線に耐えられず、思わずアボン様の腕に縋り付く。
その時。
「静粛にーー!!静粛にーー!!陛下、皇后、殿下のおなーーりーー!!」
そう号令がかかり、華々しく王家の方々が入場され、王座に着かれた。
「今日はこの国の建国祭であるぞ。この騒ぎは何だ。会場の外まで聞こえておるぞ」
そう言って陛下がこちらを見た。
すると、
「もっ申し訳ございません、陛下…!ジュリー!謝りなさい!!」
お母様が私の頭を掴んで頭を下げさせた。
(わ、私は何も謝るような事をしていないわ!!)
「おや?それにこの場に招かざる客が紛れ込んでいるようだな」
(招かざる客……?)
「先に地方の報告を聞いてから問いただそうと思っていたが、ちょうど良い。ルード。お前から話せ」
陛下が第一皇子であるルードヴィック皇子に促した。
「分かりました。では、陛下に代わり話します。この国で、栽培する事が禁止されている植物…つまり麻薬だ。それを密かに栽培し、隣国へ密輸している者が見つかった」
会場中が騒つく。
(そ、そんな人がいるなんて…!一体誰が!!)
他人事ながら驚く。そんな事したら重罪な事は元平民の私でも分かる。
国外追放….いや、死刑だろう…。
「そのような事をすれば重罪な事は誰でも知っている。そうだろう?ワルヤーク伯爵家の…アボンよ!!!」
「あ、あ、あ、アボン様ぁぁぁあ!?!?」
思わず叫んでしまう。
(嘘、嘘、嘘でしょう!?)
隣にいるアボン様を見ると、顔が真っ青になりガタガタと震えている。
「殿下、恐れながら私はそ、そ、そんな事していません…」
アボン様が震える声で答える。
「王家が証拠も無しにこのような事を言うわけが無いだろう?私にはとても優秀な臣下がいてな。密輸している記録、密輸相手、金の受取額まで全て調査済みだ!観念しろ!衛兵よ、アボンを捕らえよ!」
そう言われると、アボン様は力無くその場に膝から崩れ落ち、衛兵に肩を持ち上げられ無理矢理立たされ捕らえられた。
殿下は続ける。
「麻薬を栽培する事はかなり金がかかるが…アボンに金銭的に援助している貴族までいた…」
(アボン様が麻薬の栽培?密輸?それに……金銭的援助……?ちょっと待って……??まさかそれって……)
思い当たる節があり、血の気が引く。
膝が笑ってその場に崩れ落ちそうになる。
嫌な予感がする。
そして、次の殿下の言葉に嫌な予感は的中してしまった事を悟る。
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