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22.最後の望み(義母視点)

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そして数年後…。


風の噂で侯爵と侯爵夫人が立て続けに病死したと聞き、何とか色々な手を使い坊っちゃまと接触を図り、実はあの時の1度でお腹に子どもが宿り、貴方の子どもを育てている。だから侯爵家に連れて行けと詰め寄った。


お優しい坊っちゃまの事だ。
侯爵になった坊っちゃまに全ての権限があるはずだ。
すぐに喜び私を迎え入れる。

そう思っていたら……


「ローズ、すまない。私には妻がいるんだ。妻は両親に本当に苦労させられたんだ…それなのに侯爵家の為に頑張ってくれていて…。私もこれからは頑張って行きたいと思っているんだ。今から妻に少しでも罪滅ぼしをして行きたいと思っている。お金の事は何とかするから…すまないがもう関わらないでくれ…」



信じられない言葉が返ってきた。

本当にこれがあの坊っちゃま…?

私が居ないと生きていけなかった坊っちゃまが私を拒否した……??

私よりも妻の方が大切って事…??


……きっと…坊っちゃまの嫁だわ……

あんなに私に従順で可愛かった坊っちゃまを変えたのは……

あの女あの女あの女……!!!

アイツが居なければ坊っちゃまの隣には私がいたのに……!!


身分が高いっていうだけで難なく侯爵夫人になる事ができて…!!
前侯爵夫人どいつ侯爵夫人こいつも私を馬鹿にする…!



そうだわ…確か……
坊っちゃまの妻はよく領地に視察へ来ると言っていたわね…


……アイツが居なくなれば……







そして1年後…チャンスが巡ってきた。
バラレンド侯爵夫人が乗って来た馬車を領地で見つけたのだ。
このチャンスを逃すまいとジュリーを使い従者の気を逸らさせ、車輪の軸を斧でへし折っておいた。



(ふふふ、これで侯爵家へ戻る道中に大怪我でもして実家に帰れば良いわ)



そうすると何と、その1ヶ月後領地に侯爵夫人の訃報が伝えられたのだった。




(きっとあの時に大怪我でもしてそれが原因で死んだのよ!やったわ!!)



私は嬉々として侯爵家へ向かい(多くの人が挨拶等で出入りして居た為簡単に入る事ができた)、坊っちゃまに再び詰め寄った。

「坊っちゃま!私が居ますわ!!娘と共に私を侯爵家へ入れてくださいっ」


もう断る理由が無いからか、
あの女の呪縛が解けたからか、


「あぁ………」


力無くそう答え私を迎え入れ、その後も私がする事に何も異論を唱える事も無かった。



その後遂に、あの女の娘フレミアまでも追い出し全ては上手く行ったと思っていたのに……。





昔の事を思い出していると、扉がガチャっと開く音がした。




「あ、お母様~!どうしたんですか??私も言いたい事があったんです!もうすぐ建国祭じゃないですかー?私、新しいアクセサリーが欲しいけどお金無いからください!」


娘の言葉に目眩がする。


「ジュリー!貴女勝手に家のお金に手をつけたでしょう!返しなさい!!」


「え?無理ですよー!アボン様、借金があって困ってて…でも、結婚したら夫婦のお金ですし良いかなと思って…建国祭でプロポーズされるんです!」


借金がある伯爵家の息子なんて必要無い…。
そしてきっとアボンは返す気は無い…。娘の事だから書類で手続き等もしていないだろう。娘は騙されたに違いない…。


思わず絶望で倒れそうになる。


(ど、どうすれば…建国祭…そうだ!!)


建国祭にはアイロワニー伯爵家や、フレミア達も参加するはずだ。


「アイロワニー伯爵家に慰謝料請求をするわ!ラウルの顔の傷のせいで破談になり、お金を騙し取られたのだから責任を取って貰うわ!ジュリー!貴女は目一杯着飾り、何としても金持ちの貴族令息を捕まえなさい!!」


「お母様!私はアボン様がいるのだから!でも、着飾るのは大賛成よ」




……建国祭まであと2日。
何としてでも伯爵家から慰謝料をむしりとり、ジュリーの良き婚約者を見つける…!!


そして、この侯爵家を何としてでも立て直して見せる…!!







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