婚約破棄してドヤ顔ですが…隣の令嬢、私の親友ですよ。

閑話1 グリアンドその後

～グリアンド視点～

---炭鉱にて---


「おおぃ！！新人さんよぉ！！
　いつまで時間がかかってんだよぉ！！」


「くっ、誰に向かってそのような口の聞き方をしているのだ！」


「どこの貴族様か知らねえが、ここではお前より俺の方が偉い事は間違いねえ！
　おらっ！分かったらサッサと働けぇ！！」




クソっ！クソっ！クソっ！！
あいつの顔を覚えたからなぁ…！
私がまた王になった時、アイツをどのように処分してやろうか…。
張り付けにして見せしめか、、
奴隷として見世物小屋に行かせるか、、
その絶望した顔を考えるだけで笑いが止まらんわ！


「ふふっふふふふふ。」



「ちょ、ちょっとコイツ気持ちわりぃな、、、。何笑ってんだよ、、。
さっさと動けってんだぁ！！」


ドコッ！！



くそ！コイツ蹴りやがった！！
父上にも殴られた事無いのに！！！
コイツの家族も全て消してやる、、！！



エルセへの慰謝料分だけチャチャっと働いて、さっさと城に戻る事にしよう。

エルセも、突然私に婚約破棄を言い渡され冷静では無くなり、咄嗟に私のことを好いていないなど言ってしまったのだろう。
皆の前だったから訂正も出来なかったのだろうな。


きっと今頃は泣いて後悔しているだろう。


泣いて謝って縋って来たら、公爵家に入ってやっても、まぁ良いだろう！
それまで、慰謝料はエルセに貸しといてやろう！！



くくく、あの美しい女が私の足に縋り付いて泣いて謝る姿が目に浮かぶわ！！！
ふふふふ、





「ふふふ、ふふふふふふ、
　ふはははははははは！！！」






「うるせぇえええ！！！
　お前、良い加減にしろぉ！！
　気持ちわりぃんだよ！！」



ドコッ！ドコッ！　ダーン！！









蹴飛ばされ地面に這いつくばって、踏みつけられながらも笑い続けるグリアンド。


彼はきっと知らないだろう。


エルセに対する慰謝料は1万ペイ
グリアンドの1日の給料は3ペイ
休み無しで働き続けたとしても、
10年近くかかるのだ。









そして何とか1万ペイを稼ぎ、
炭鉱を出た後、
城に無理やり入ろうとし衛兵に捕らえられ命からがら隣国に亡命した際、
たまたま行われていた建国祭で、国民から盛大な声援を受け笑顔で手を振る美しい女性が、
かつて自分が婚約破棄を突きつけた元婚約者だったのを見て絶望するのは、



15年も後の話である。




～閑話　グリアンドその後　fin.～