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7.断罪forグリアンド2

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すると、
意を決したようにグリアンド様が、


「わかった…。いえ、わかりました。
ならば、私はこの国のため、公爵家のためにエルセ嬢と結婚し、公爵家を守って…いきます。」

パッと、顔をあげ私の顔を見ました。


「いえ、結構です。」

間髪入れずに答えました。


「へっ!?」

鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔付きですが…。
当たり前に決まってますわ。



「エルセ嬢は私の事が好…


「失礼ですが、お慕いしておりません。」


「へっ!?へへへ!?
私の事が好きでは…無い…?」


「えぇ!ちっとも!!」

今日1番の満面の微笑みでお答えしました。



ガクッと項垂れ、静かになったかと思えば、


「し、しかし!そうなると公爵家の跡継ぎがいないのだろう⁉︎
困るのだろう⁉︎」


あらあら、炭鉱行きがよっぽど嫌なのですね?必死すぎて、目の焦点が合っていませんわ。


「その事ですが…。お兄様は確かにお身体が丈夫では無いかもしれません。
外交等、お身体にご負担がかかる業務を任せることができ、お兄様をかげながら支えることができる、そんな聡明な女性がお兄様の奥方になってくだされば、万事解決だと思いますの。
例えば…。


アンジェリア様みたいなお方が。」


アンジェリア様を見て、ふふっと笑うとアンジェリア様が驚いたお顔でこちらを見ておられます。


するとグリアンド様が

「何だと⁉︎アンジェを⁉︎
それはダメだ!ダメだ!!アンジェは私のモノだっ!!

アンジェと私の愛は…!
誰にも引き裂くことができない…!


なぁ!そうだろ!?
アンジェリア…!」



「いえ。そもそも私たちの間には
何もありません。」

なんという温度差!!
アンジェリア様は美しいお顔の表情筋を何一つ動かすこと無く、答えられました。


「えっ…。アンジェ…?嘘だろ?照れているだけだろ?
私の事をあんなに愛してると…。」

いやいや、貴方先程私に結婚するとか何とか言ってませんでした?笑


「申しておりません。私もエルセ嬢と同じく、グリアンド様をお慕いしておりません。これまでも、これからも。」


「そんな…。」


あ、グリアンド様をやっつけましたわ。

アンジェリア様。やはり私が見込んだ方です。サハラーシャ家に欲しいお方です。



「お父様、お兄様もそう思いません事?ね、お父様?」
私がそう申し上げると、


「あ、あぁ、アンジェリア嬢が素晴らしい令嬢な事は有名であるしな!
アンジェリア嬢とフォクマン子爵が了承していただけるのならばだが。
お前はどうだ?セルビア?」


セルビアとは、私のお兄様です。身内から見てもお兄様はとても美しい顔立ちをしておられます。
何を隠そう、私はブラコンなのです。


「相変わらずエルセはする事も申す事も大胆だね。
でもね、エルセ。アンジェリア嬢には僕が言おうと思っていたんだよ。」


ニコッと笑うと、アンジェリア様の所へ歩み寄り(途中グリアンド様という障害物を避けつつ)跪き、


「アンジェリア嬢。このような場ではありますが、私と婚約してくださいませんか?
貴女のことを以前よりずっと愛していたのです。
貴女には苦労をかけてしまうかもしれませんが…。それでも、私の全てをかけて貴女を幸せにします。」

アンジェリア嬢に手を差し伸べます。


「はいっ…!はいっ!!
私も、私もセルビア様をお慕いしておりました…!!」


涙を浮かべお兄様の手を取るアンジェリア様は、それはそれはお綺麗です。


周りの皆様も盛大な拍手で祝福してくださいました。
フォクマン子爵も、この婚約を断る理由は何も無いでしょう。





「そんな…そんなそんなそんな…アンジェアンジェアンジェエ…」


ぶつぶつ言っているグリアンド様をいつのまにか衛兵が捕え、ローゼと共にどこかに連れていってしまったのでした。

この拍手の中、こっそり退場させたのは、陛下の最後のお情けだったのでしょう。



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