7 / 17
7.断罪forグリアンド2
しおりを挟むすると、
意を決したようにグリアンド様が、
「わかった…。いえ、わかりました。
ならば、私はこの国のため、公爵家のためにエルセ嬢と結婚し、公爵家を守って…いきます。」
パッと、顔をあげ私の顔を見ました。
「いえ、結構です。」
間髪入れずに答えました。
「へっ!?」
鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔付きですが…。
当たり前に決まってますわ。
「エルセ嬢は私の事が好…
「失礼ですが、お慕いしておりません。」
「へっ!?へへへ!?
私の事が好きでは…無い…?」
「えぇ!ちっとも!!」
今日1番の満面の微笑みでお答えしました。
ガクッと項垂れ、静かになったかと思えば、
「し、しかし!そうなると公爵家の跡継ぎがいないのだろう⁉︎
困るのだろう⁉︎」
あらあら、炭鉱行きがよっぽど嫌なのですね?必死すぎて、目の焦点が合っていませんわ。
「その事ですが…。お兄様は確かにお身体が丈夫では無いかもしれません。
外交等、お身体にご負担がかかる業務を任せることができ、お兄様をかげながら支えることができる、そんな聡明な女性がお兄様の奥方になってくだされば、万事解決だと思いますの。
例えば…。
アンジェリア様みたいなお方が。」
アンジェリア様を見て、ふふっと笑うとアンジェリア様が驚いたお顔でこちらを見ておられます。
するとグリアンド様が
「何だと⁉︎アンジェを⁉︎
それはダメだ!ダメだ!!アンジェは私のモノだっ!!
アンジェと私の愛は…!
誰にも引き裂くことができない…!
なぁ!そうだろ!?
アンジェリア…!」
「いえ。そもそも私たちの間には
何もありません。」
なんという温度差!!
アンジェリア様は美しいお顔の表情筋を何一つ動かすこと無く、答えられました。
「えっ…。アンジェ…?嘘だろ?照れているだけだろ?
私の事をあんなに愛してると…。」
いやいや、貴方先程私に結婚するとか何とか言ってませんでした?笑
「申しておりません。私もエルセ嬢と同じく、グリアンド様をお慕いしておりません。これまでも、これからも。」
「そんな…。」
あ、グリアンド様をやっつけましたわ。
アンジェリア様。やはり私が見込んだ方です。サハラーシャ家に欲しいお方です。
「お父様、お兄様もそう思いません事?ね、お父様?」
私がそう申し上げると、
「あ、あぁ、アンジェリア嬢が素晴らしい令嬢な事は有名であるしな!
アンジェリア嬢とフォクマン子爵が了承していただけるのならばだが。
お前はどうだ?セルビア?」
セルビアとは、私のお兄様です。身内から見てもお兄様はとても美しい顔立ちをしておられます。
何を隠そう、私はブラコンなのです。
「相変わらずエルセはする事も申す事も大胆だね。
でもね、エルセ。アンジェリア嬢には僕が言おうと思っていたんだよ。」
ニコッと笑うと、アンジェリア様の所へ歩み寄り(途中グリアンド様という障害物を避けつつ)跪き、
「アンジェリア嬢。このような場ではありますが、私と婚約してくださいませんか?
貴女のことを以前よりずっと愛していたのです。
貴女には苦労をかけてしまうかもしれませんが…。それでも、私の全てをかけて貴女を幸せにします。」
アンジェリア嬢に手を差し伸べます。
「はいっ…!はいっ!!
私も、私もセルビア様をお慕いしておりました…!!」
涙を浮かべお兄様の手を取るアンジェリア様は、それはそれはお綺麗です。
周りの皆様も盛大な拍手で祝福してくださいました。
フォクマン子爵も、この婚約を断る理由は何も無いでしょう。
「そんな…そんなそんなそんな…アンジェアンジェアンジェエ…」
ぶつぶつ言っているグリアンド様をいつのまにか衛兵が捕え、ローゼと共にどこかに連れていってしまったのでした。
この拍手の中、こっそり退場させたのは、陛下の最後のお情けだったのでしょう。
40
お気に入りに追加
2,598
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
【完結】婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?
との
恋愛
「取り替えっこしようね」
またいつもの妹の我儘がはじまりました。
自分勝手な妹にも家族の横暴にも、もう我慢の限界!
逃げ出した先で素敵な出会いを経験しました。
幸せ掴みます。
筋肉ムキムキのオネエ様から一言・・。
「可愛いは正義なの!」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済み
R15は念の為・・
第一王子は男爵令嬢にご執心なようなので、国は私と第二王子にお任せください!
黒うさぎ
恋愛
公爵令嬢であるレイシアは、第一王子であるロイスの婚約者である。
しかし、ロイスはレイシアを邪険に扱うだけでなく、男爵令嬢であるメリーに入れ込んでいた。
レイシアにとって心安らぐのは、王城の庭園で第二王子であるリンドと語らう時間だけだった。
そんなある日、ついにロイスとの関係が終わりを迎える。
「レイシア、貴様との婚約を破棄する!」
第一王子は男爵令嬢にご執心なようなので、国は私と第二王子にお任せください!
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
私の誕生日パーティーを台無しにしてくれて、ありがとう。喜んで婚約破棄されますから、どうぞ勝手に破滅して
珠宮さくら
恋愛
公爵令嬢のペルマは、10年近くも、王子妃となるべく教育を受けつつ、聖女としての勉強も欠かさなかった。両立できる者は、少ない。ペルマには、やり続ける選択肢しか両親に与えられず、辞退することも許されなかった。
特別な誕生日のパーティーで婚約破棄されたということが、両親にとって恥でしかない娘として勘当されることになり、叔母夫婦の養女となることになることで、一変する。
大事な節目のパーティーを台無しにされ、それを引き換えにペルマは、ようやく自由を手にすることになる。
※全3話。
王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。
守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。
だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。
それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。
保健副委員長を解任されたら生徒会書記と仲良くなりました
ハツカ
恋愛
「リーラ・ラヴァンド!君を保健副委員長から解任する!」
私は、役立たず呼ばわりされ、委員会予算横領の疑いをかけられ、委員会をいきなり解任された。
委員長が、副委員長の座をガールフレンドにプレゼントしたいがために。
でも、落ち込んでいる私の所に生徒会書記のヴァンがやってきて―
王道の話を書いてみたかったので書いてみました。
※カクヨムにも投稿しています。
捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。
亜綺羅もも
恋愛
アニエル・コールドマン様にはニコライド・ドルトムルという婚約者がいた。
だがある日のこと、ニコライドはレイチェル・ヴァーマイズという女性を連れて、アニエルに婚約破棄を言いわたす。
婚約破棄をされたアニエル。
だが婚約破棄をされたのはアニエルだけではなかった。
ニコライドが連れて来たレイチェルもまた、婚約破棄をしていたのだ。
その相手とはレオニードヴァイオルード。
好青年で素敵な男性だ。
婚約破棄された同士のアニエルとレオニードは仲を深めていき、そしてお互いが最高のパートナーだということに気づいていく。
一方、ニコライドとレイチェルはお互いに気が強く、衝突ばかりする毎日。
元の婚約者の方が自分たちに合っていると思い、よりを戻そうと考えるが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる