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Level2.騎士団長の息子ダンタン(中編)

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馬車に揺られながら、
「ごめんね、ダンタンが失礼な事を何度も言ったね。」

なぜウォルト様が謝るの⁉︎優しすぎる…。
この人が攻略キャラならよかったのに。

「とんでもございません。ダンタン様のおっしゃる通り、バナナの皮を踏んで転ぶなんて鈍臭いですし、帰りの馬車も貧乏男爵家の為、ありませんもの。」

ふふっと笑って見せる。


「でも…。転んでしまったのは、僕が悪く言われているのを止めようとしてくれたのが原因だって?周りにいた生徒から聞いたよ。もしかしたらそうじゃないかって…。」

周りにも同じことを考えている生徒がいたのね。

「あっ、まぁ、はい…。聞いていて気持ちの良いものでは無かったですし…。」

「ありがとう。」

ウォルト様…超絶イケメンでは無いかもしれないけれど笑顔が素敵…!

いやいや、今はダンタン様ルート回避をする事を考えなければっ!!

邪念(?)を振り払いウォルト様に話しかける。


「正直…。私はダンタン様の行動に納得いきません。確かにダンタン様のお父様は騎士団長かもしれませんが…。今私たちはクラスメイトです。ウォルト様や他の騎士団の御子息方がダンタン様の部下の様な扱いになるのはおかしいと思います。」


「そうだね…。入学して4ヶ月程経つけれど日に日に態度が酷くなっているね…。」

そうなのだ。特に気が弱い者に対しては酷い。先日なんて、クラスでおっとり優しいスペンダ様に宿題を全て押し付け、焦っているスペンダ様を見てファンクラブの令嬢達とクスクス馬鹿にした様に笑っていたのだ…!
その上、宿題が一問間違っていたと言い、スペンダ様のお父様をクビにしてやる!とまで言っていたのだ…。
なんとか懲らしめてやりたい…。

そうだ!


「……!ウォルト様、少し考えがあるのですが…。」

「ゴニョゴニョゴニョ」

ある考えが閃いた私は、はしたないがウォルト様に耳打ちする。


「ははは!君は面白いね!確かに彼には良いお灸を据える事ができるかもしれない。」


いくらイケメンでも、許せない!
ちょっと痛い目を見て頂きます!




ーーーーーーーーー



大事を取って、数日休んで学校へ行った私に声をかけるダンタン様。

「よぉ、ジュリアンヌ。先日は悪かったな!まぁ、埋め合わせにデートしてやろう。」


デートに誘われるのは、ゲーム通り!


「ま、まぁダンタン様。とんでもございませんわ。私なんかが恐れ多いです。」


「恥ずかしがるな。この俺がデートしてやるんだ。従っておけ。」

分かっている。いくら断ったってデートは決定事項だ。

「はい…。」

そう答えるしか無い私だった。

(でも、これも計算通りよ!!)

心の中でニヤリと笑う私だった。



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