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Ⅱ
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「パパ、ママ、そっちのほうをもう一度さがして」
「エレーヌ、ここはもう何度もさがしたけど、ピエールはいなかっただろう」
「ねぇ、エレーヌ。もしかしたらピエールは親切な誰かに拾われて、幸せに暮らしているかもしれないわよ」
懐かしいパパとママの声も聞こえました。
「いいえ、あの子はわたしじゃなきゃダメなのよ! ピエールは、きっとどこかでわたしを待っているはずよ。だから絶対見つけてあげなきゃいけないの!」
エレーヌの言葉に、ピエールの心は嬉しさのあまり、もうほとんど爆発しそうなくらいでした。
──そうだよ、エレーヌ……! 俺はずっときみを待っていたんだよ……! エレーヌ、俺はここだよ……!
ピエールはエレーヌに届くことを祈りながら、心の中で必死に叫びました。
エレーヌがどんどんピエールに近づいてくる気配がします。そしてとうとう、エレーヌは草むらに落ちているピエールを見つけました!
「ピエール!」
エレーヌは大声でピエールの名前を叫ぶと、泣きながら駆け寄って来て、ピエールを急いで抱き上げ、ぎゅっと抱きしめました。
「あぁ、ピエール! 会いたかったわ!」
エレーヌは涙でぬれた頬で、ピエールに頬ずりしました。
「ごめんなさい、わたしがうっかり居眠りなんかしちゃったから、あなたをこんな目に遭わせてしまって……。かわいそうに、耳が破れてしまってる。ああ、ピエール、ほんとうにごめんなさい。もう離さないわ。耳はまた、わたしが縫ってあげるから」
エレーヌはピエールにキスをすると、ピエールを胸に抱きかかえたまま、もと来た道を、走って引き返して行きました。
ピエールの汚れた頬は、エレーヌのあたたかい涙でぬれていました。それはまるで、ピエールの涙でもあるかのようでした。
ピエールは、小走りに駆けるエレーヌの胸の中で、自分の破れた耳が勢いよく揺れるたび、詰め物の綿の切れ端が、春のやわらかな風に乗って、タンポポの綿毛のように空へと昇って行くのを見て、これが夢ではないことを確信しました。
「エレーヌ、ここはもう何度もさがしたけど、ピエールはいなかっただろう」
「ねぇ、エレーヌ。もしかしたらピエールは親切な誰かに拾われて、幸せに暮らしているかもしれないわよ」
懐かしいパパとママの声も聞こえました。
「いいえ、あの子はわたしじゃなきゃダメなのよ! ピエールは、きっとどこかでわたしを待っているはずよ。だから絶対見つけてあげなきゃいけないの!」
エレーヌの言葉に、ピエールの心は嬉しさのあまり、もうほとんど爆発しそうなくらいでした。
──そうだよ、エレーヌ……! 俺はずっときみを待っていたんだよ……! エレーヌ、俺はここだよ……!
ピエールはエレーヌに届くことを祈りながら、心の中で必死に叫びました。
エレーヌがどんどんピエールに近づいてくる気配がします。そしてとうとう、エレーヌは草むらに落ちているピエールを見つけました!
「ピエール!」
エレーヌは大声でピエールの名前を叫ぶと、泣きながら駆け寄って来て、ピエールを急いで抱き上げ、ぎゅっと抱きしめました。
「あぁ、ピエール! 会いたかったわ!」
エレーヌは涙でぬれた頬で、ピエールに頬ずりしました。
「ごめんなさい、わたしがうっかり居眠りなんかしちゃったから、あなたをこんな目に遭わせてしまって……。かわいそうに、耳が破れてしまってる。ああ、ピエール、ほんとうにごめんなさい。もう離さないわ。耳はまた、わたしが縫ってあげるから」
エレーヌはピエールにキスをすると、ピエールを胸に抱きかかえたまま、もと来た道を、走って引き返して行きました。
ピエールの汚れた頬は、エレーヌのあたたかい涙でぬれていました。それはまるで、ピエールの涙でもあるかのようでした。
ピエールは、小走りに駆けるエレーヌの胸の中で、自分の破れた耳が勢いよく揺れるたび、詰め物の綿の切れ端が、春のやわらかな風に乗って、タンポポの綿毛のように空へと昇って行くのを見て、これが夢ではないことを確信しました。
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