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1章
17. ドレスを残酷カスタマイズ
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「ふわぁ~~~、すご~~~い!」
僅か一日でシルエット邸本館のほとんどの家具を模様替えしたその邸内を、アド兄様と私で歩き回った。
家具だけでなくカーテン、カーペット、美術品からキャンドルスタンドまであらゆる物が、全て新しくするというよりは適材適所に配置替えされていた。
「以前は荘厳華麗な感じ?」
アド兄様がキョロキョロ辺りを見回しながら言いう。
「転じて豪華絢爛?」
可愛い顔で同意を求めて来るので頷きました。
同感です。
元々建物自体の作りが荘厳ですから家具が変わっても煌びやかさは変わりません。
それでも気分は一新です。
「やばいぞ、アレク」
廊下の曲がり角の向こうからレオン様の声がした。
私はピクッと背を正す。
やっぱり家族以外の人がいると少し緊張してしまう。
「王宮に引けを取らない豪華さだ。うち以外の王族は呼ぶなよ」
どうやら王宮に出入りできるレオン様の目には一介の伯爵家にあるまじき豪華さに映ったようです。
そうか。こういう所でもパワーバランスは忘れてはならないのね。
「こんな辺境に好んで来る王族はいないだろ。それにもし王族が来たら港町の別邸が使われるから本館には来ないよ」
アレク兄様が答える内容に、初めて港町の別邸の存在を知りました。
「なに? 別邸って?」
アド兄様が声を掛け、立ち話をしていたらしい二人がこちらに気付く。
「ソフィア!」
ブレないアレク兄様。私を目にとめるなりがばーっといつもの如く抱擁です。
「せっかく一緒の邸にいるのにこんなに会えないなんて!」
アレク兄様のテンション爆上げ状態に別邸の話は流れてしまった。
「お疲れ様、アド君にソフィア嬢」
レオン様が私たちを労わってくれます。
結局レオン様は私の部屋だけでなく、侍従を引き連れてあちらこちらのサポートに行っていました。働き者です。
おかげで朝の私の失礼な振る舞いは忘れ去られた様子で安心です。
そして何より。
模様替えで私の部屋の家具はレオン様たちによって運ばれ配置され、カーテンやカーペットも、その他の装飾品も、すっかりレオン様たちの知るところとなったのです。
おかげでレオン様がお部屋にいても恥ずかしさを感じる事がなくなりました!
本当に、今朝の私は何だったのでしょう?
アレク兄様は私をぎゅーぎゅー抱きしめたまま皆と会話しています。
離して欲しい。
「まだひとつ見て欲しい物があるのです」
プハッとアレク兄様の胸圧から抜け出て私は提起します。
「お手伝いくださいませ」
今日一日で何度も出入りし、行き慣れてしまった北棟の一室へ来た。
そこにはズラリと並ぶハンガーラック。
掛けられた大量の衣装。
筆頭執事のセバスチャンも言っていた、仕舞う間もなく押し込められていく我がシルエット伯爵家の衣装の数々だ。
「うえ~、これ全部うちの?」
アド兄様が数の暴力にやられています。
そうですね、ここ数年間で退避させられたものらしいですが、ありすぎです。
普段着から正装服まで、家族で使用した服が乱雑に置かれています。
「せめてここにある服は全てバザーに出したいのです」
私が言うとお兄様たちは固まってしまった。
「全部仕立て直すの?」
レオン様が代表して疑問を呈してくれます。
「もちろんです。このまま売っても平民たちには華美過ぎて使えません。つまり売れません」
私は侍女のシャロンを呼んで、傍のテーブルに裁縫道具を広げさせた。
近くにあった私のデイドレスを手に取る。
このドレス、確か1、2回しか着ていない。
でもここにあるという事はもう着ないのだから、と私は糸切鋏を手に取り、胸元のリボンをパチンと切り落とした。
「ヒッ!」
と私の侍女が息を飲む。
それを無視してパチンパチンと飾りのリボン、ボタン、ビジューなどを切り落としていく。重なって動きを邪魔するレースも程よく切り落とし、腰の長いリボンは短く切って小さく結び直す。
お兄様たちも呆然と眺めております。
確かに、素晴らしいドレスに鋏を入れるのは何というか、ちょっと残酷な光景ですね。
でも、仕上がったのはシンプルなドレス。
「見て下さい。このようにすれば平民たちにも着られる上等な服になるでしょう?」
鋏を入れた服を整えてハンガーに掛け直す。
もちろん生地の端の処理など必要ですが、生地感の素敵なドレスが仕上がりました。
「取り外したリボンやボタンを付け直してもいいし、端切れと一緒に売ってもいいわね。女子のお裁縫時間が楽しくなるわ。あ、宝石は別箱に取り置いてね」
言葉の出ない侍女を見回して
「出来る? 簡単でしょ?」
と聞く。
しかしシャロンは首を小さく振った。
「担当を決めてやれば早いと思うの。デザインする人。カットする人。端を処理する人。仕上げる人に分けて流れ作業よ。応援も来るし、それぞれ得意な部分を担当すれば良いわ」
作業が想像しやすいように付け加えても侍女たちの反応は良くないです。
あれれ?
「ソフィア嬢、ちょっと待って」
さらにアドバイスを送ろうと思った時、レオン様が私を止めた。
「そう言うことじゃないな」
と否定形。
ええ? なぜ?
「なあ、アレク。これはお前のか?」
と、レオン様は傍らのコートを手に取った。
「ああ、この冬に何回か着たかな」
アレク兄様が答えると、レオン様はおもむろにそのコートをバフっと羽織った。
いやん。なに?
かっこいいんですけど?
「「「はぅっ!!」」」
と侍女たちも息を吸い込んでいる。
見目の良い男子がコートを羽織る姿は人を(女子を)殺せるのね・・・。
そんな女子の思考の迷宮など知らないレオン様は、上着を脱いでアレク兄様のコートやスーツの羽織物を次々と着たり脱いだりしている。
その度に女子のため息が、実際には聞こえないのだろうが私にはしっかり聞こえます。
「うん着れるね」
アレク兄様が感心している。
アド兄様も「これは? こっちは?」とレオン様に似合いそうな衣装を出してくる。
「これはちょっと嫌だな」
とレオン様が拒否したのは、濃いブルーに金のポイント色でまとめられた正装服だ。
「最高級品だぞ」
とアレク兄様。
「なぜ俺がおまえの色を纏わなきゃならん。気色悪い」
レオン様は散々な言い様です。
「ソフィアの色でもあるけどね」
とアド兄様がいうとレオン様は考え込んだが
「いや、これはソフィア嬢の色ではないな。さすがお前に作られた服だよ。圧が強いお前の色だ」
と全否定。というか全肯定。
男子の会話、面白いです。
「つまりさ、ソフィア嬢」
いきなりレオン様の会話が私に戻ってきます。
「もったいないからこの服ちょうだい(ハートマーク)」
レオン様のにこにこ美しい笑顔が爆裂しました。
僅か一日でシルエット邸本館のほとんどの家具を模様替えしたその邸内を、アド兄様と私で歩き回った。
家具だけでなくカーテン、カーペット、美術品からキャンドルスタンドまであらゆる物が、全て新しくするというよりは適材適所に配置替えされていた。
「以前は荘厳華麗な感じ?」
アド兄様がキョロキョロ辺りを見回しながら言いう。
「転じて豪華絢爛?」
可愛い顔で同意を求めて来るので頷きました。
同感です。
元々建物自体の作りが荘厳ですから家具が変わっても煌びやかさは変わりません。
それでも気分は一新です。
「やばいぞ、アレク」
廊下の曲がり角の向こうからレオン様の声がした。
私はピクッと背を正す。
やっぱり家族以外の人がいると少し緊張してしまう。
「王宮に引けを取らない豪華さだ。うち以外の王族は呼ぶなよ」
どうやら王宮に出入りできるレオン様の目には一介の伯爵家にあるまじき豪華さに映ったようです。
そうか。こういう所でもパワーバランスは忘れてはならないのね。
「こんな辺境に好んで来る王族はいないだろ。それにもし王族が来たら港町の別邸が使われるから本館には来ないよ」
アレク兄様が答える内容に、初めて港町の別邸の存在を知りました。
「なに? 別邸って?」
アド兄様が声を掛け、立ち話をしていたらしい二人がこちらに気付く。
「ソフィア!」
ブレないアレク兄様。私を目にとめるなりがばーっといつもの如く抱擁です。
「せっかく一緒の邸にいるのにこんなに会えないなんて!」
アレク兄様のテンション爆上げ状態に別邸の話は流れてしまった。
「お疲れ様、アド君にソフィア嬢」
レオン様が私たちを労わってくれます。
結局レオン様は私の部屋だけでなく、侍従を引き連れてあちらこちらのサポートに行っていました。働き者です。
おかげで朝の私の失礼な振る舞いは忘れ去られた様子で安心です。
そして何より。
模様替えで私の部屋の家具はレオン様たちによって運ばれ配置され、カーテンやカーペットも、その他の装飾品も、すっかりレオン様たちの知るところとなったのです。
おかげでレオン様がお部屋にいても恥ずかしさを感じる事がなくなりました!
本当に、今朝の私は何だったのでしょう?
アレク兄様は私をぎゅーぎゅー抱きしめたまま皆と会話しています。
離して欲しい。
「まだひとつ見て欲しい物があるのです」
プハッとアレク兄様の胸圧から抜け出て私は提起します。
「お手伝いくださいませ」
今日一日で何度も出入りし、行き慣れてしまった北棟の一室へ来た。
そこにはズラリと並ぶハンガーラック。
掛けられた大量の衣装。
筆頭執事のセバスチャンも言っていた、仕舞う間もなく押し込められていく我がシルエット伯爵家の衣装の数々だ。
「うえ~、これ全部うちの?」
アド兄様が数の暴力にやられています。
そうですね、ここ数年間で退避させられたものらしいですが、ありすぎです。
普段着から正装服まで、家族で使用した服が乱雑に置かれています。
「せめてここにある服は全てバザーに出したいのです」
私が言うとお兄様たちは固まってしまった。
「全部仕立て直すの?」
レオン様が代表して疑問を呈してくれます。
「もちろんです。このまま売っても平民たちには華美過ぎて使えません。つまり売れません」
私は侍女のシャロンを呼んで、傍のテーブルに裁縫道具を広げさせた。
近くにあった私のデイドレスを手に取る。
このドレス、確か1、2回しか着ていない。
でもここにあるという事はもう着ないのだから、と私は糸切鋏を手に取り、胸元のリボンをパチンと切り落とした。
「ヒッ!」
と私の侍女が息を飲む。
それを無視してパチンパチンと飾りのリボン、ボタン、ビジューなどを切り落としていく。重なって動きを邪魔するレースも程よく切り落とし、腰の長いリボンは短く切って小さく結び直す。
お兄様たちも呆然と眺めております。
確かに、素晴らしいドレスに鋏を入れるのは何というか、ちょっと残酷な光景ですね。
でも、仕上がったのはシンプルなドレス。
「見て下さい。このようにすれば平民たちにも着られる上等な服になるでしょう?」
鋏を入れた服を整えてハンガーに掛け直す。
もちろん生地の端の処理など必要ですが、生地感の素敵なドレスが仕上がりました。
「取り外したリボンやボタンを付け直してもいいし、端切れと一緒に売ってもいいわね。女子のお裁縫時間が楽しくなるわ。あ、宝石は別箱に取り置いてね」
言葉の出ない侍女を見回して
「出来る? 簡単でしょ?」
と聞く。
しかしシャロンは首を小さく振った。
「担当を決めてやれば早いと思うの。デザインする人。カットする人。端を処理する人。仕上げる人に分けて流れ作業よ。応援も来るし、それぞれ得意な部分を担当すれば良いわ」
作業が想像しやすいように付け加えても侍女たちの反応は良くないです。
あれれ?
「ソフィア嬢、ちょっと待って」
さらにアドバイスを送ろうと思った時、レオン様が私を止めた。
「そう言うことじゃないな」
と否定形。
ええ? なぜ?
「なあ、アレク。これはお前のか?」
と、レオン様は傍らのコートを手に取った。
「ああ、この冬に何回か着たかな」
アレク兄様が答えると、レオン様はおもむろにそのコートをバフっと羽織った。
いやん。なに?
かっこいいんですけど?
「「「はぅっ!!」」」
と侍女たちも息を吸い込んでいる。
見目の良い男子がコートを羽織る姿は人を(女子を)殺せるのね・・・。
そんな女子の思考の迷宮など知らないレオン様は、上着を脱いでアレク兄様のコートやスーツの羽織物を次々と着たり脱いだりしている。
その度に女子のため息が、実際には聞こえないのだろうが私にはしっかり聞こえます。
「うん着れるね」
アレク兄様が感心している。
アド兄様も「これは? こっちは?」とレオン様に似合いそうな衣装を出してくる。
「これはちょっと嫌だな」
とレオン様が拒否したのは、濃いブルーに金のポイント色でまとめられた正装服だ。
「最高級品だぞ」
とアレク兄様。
「なぜ俺がおまえの色を纏わなきゃならん。気色悪い」
レオン様は散々な言い様です。
「ソフィアの色でもあるけどね」
とアド兄様がいうとレオン様は考え込んだが
「いや、これはソフィア嬢の色ではないな。さすがお前に作られた服だよ。圧が強いお前の色だ」
と全否定。というか全肯定。
男子の会話、面白いです。
「つまりさ、ソフィア嬢」
いきなりレオン様の会話が私に戻ってきます。
「もったいないからこの服ちょうだい(ハートマーク)」
レオン様のにこにこ美しい笑顔が爆裂しました。
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