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1章
5. 朝食
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私とお母様はいつも朝食にはスープとパンと季節の果物をいただく。
男子にはそれにお肉が追加される。
いつもはアドライト兄様だけしかお肉を召し上がらないので、朝の食卓は質素なものだ。
だが今日はお父様やアレクサンドライト兄様、そしてお客様もいる。
なのでいつもより大きい、大量の、存在感満点のお肉がでーんとテーブルに置かれた。
アド兄様、嬉しそう。目が輝いてますよ。
給仕により切り分けられたお肉が各自のお皿にドーンと乗って、お父様が最初のカトラリーに手をかける。
一斉に食事が始まります。
「え、美味しい!」
レオン様が年頃の男の子のような感想を漏らします。
年頃の男の子なのですが。
「これも、これも、美味しい!」
目が覚めたようなびっくり顔も素敵です。
大きな瞳ですね。
「・・・ちょっと待って。本当に美味しい」
レオン様、感想を述べようとなさったようてすが、美味しさに手は止められませんでした。諦めたのか黙って気持ち良く食事を平らげていきます。
お父様もお母様も勝ち誇ったお顔です。
しかしよく食べるな。
お父様。
アレク兄様も、レオン様も。
え?
何枚目のお肉?
美しい所作で食事をしておりますが、お父様もお兄様もそしてレオン様も、凄い量を食べています!
そして凄いスピードです!
さすが大人男子!
アド兄様もびっくりしています。
えー、これって普通なの?
お母様は今日も美味しい朝食にお誉めの言葉を述べています。
食事を盛り上げるのも淑女のたしなみですから流石です。
でも、男性陣の食事量には何も突っ込みが入りません。
まあ、我が家の男子は朝鍛練が習慣ですからね。朝食までに相当腹ペコになるのでしょう。
そういえば、フォレスト侯爵は文官でありながら武で名を上げたことで有名です。
息子のレオン様も武芸に秀でているのではないかしら?
んん?
そういえば、シルエット家に仕える兵士たちも朝から父様たちと一緒に鍛練しているはず。
邸内には常に100名近くの兵士がいるのだし、今日は王都からお父様と連れ立って来た兵士もいる。
てことは、この邸内で朝からどんだけの肉が消費されているのだろう?
恐ろしい。
領内の畜産ってどうなってるのかしら?
貴重なお肉、街の皆は食べられてるのかしら?
心配です。
気になるわ、畜産事情!
あれだけ存在感のあったお肉がすっかりなくなった。
良く食べました、男性陣。
「シルエット家の食事、なんでこんなに美味しいのですか?」
食事に満足したのか、静かに食べていたレオン様が尋ねる。
「我が家にはお料理に妥協しないご令嬢がおりまして」
お母様の言葉に皆が私を見る。
「彼女の発案で、我が家の使用人と料理人を巻き込んで一大改革が起きたのがもう5年前ですわね」
なんのこと?
「以来我が家では美味しいものがたくさん食べられるようになったというわけだ」
お父様が締めますが、意味が解りません。
私、5年前、何したの?
「今では少しずつ市井にも伝わって、ブレスは食の街としても賑わうようになりつつあるよ」
アレク兄様も訳知り顔で補足します。
「へえ・・・」
レオン様も私を見ますが思い当たることはなく。
「ソフィア、何したの?」
アド兄様が尋ねてきます。
「・・・何のことでしょう? 記憶にございません・・・」
私は正直に言った。
「「「!!!」」」
皆が驚いています。壁際に並んでいる給仕までも目を見張っております。
えええ?
「覚えてないのか! それはそれは! ははは・・・」
お父様が笑い出した。
「さすが、ソフィアですわ。 無自覚で人々を幸せにするなんて」
「いつものことだよ」
お母様とお兄様まで笑っています。
えええええ?
レオン様も訳がわからずニコニコするだけです。
アド兄様と私だけがきょとんです。
何をしたのか聞いてみましたが、話せば長くなると流されてしまいました。
男子にはそれにお肉が追加される。
いつもはアドライト兄様だけしかお肉を召し上がらないので、朝の食卓は質素なものだ。
だが今日はお父様やアレクサンドライト兄様、そしてお客様もいる。
なのでいつもより大きい、大量の、存在感満点のお肉がでーんとテーブルに置かれた。
アド兄様、嬉しそう。目が輝いてますよ。
給仕により切り分けられたお肉が各自のお皿にドーンと乗って、お父様が最初のカトラリーに手をかける。
一斉に食事が始まります。
「え、美味しい!」
レオン様が年頃の男の子のような感想を漏らします。
年頃の男の子なのですが。
「これも、これも、美味しい!」
目が覚めたようなびっくり顔も素敵です。
大きな瞳ですね。
「・・・ちょっと待って。本当に美味しい」
レオン様、感想を述べようとなさったようてすが、美味しさに手は止められませんでした。諦めたのか黙って気持ち良く食事を平らげていきます。
お父様もお母様も勝ち誇ったお顔です。
しかしよく食べるな。
お父様。
アレク兄様も、レオン様も。
え?
何枚目のお肉?
美しい所作で食事をしておりますが、お父様もお兄様もそしてレオン様も、凄い量を食べています!
そして凄いスピードです!
さすが大人男子!
アド兄様もびっくりしています。
えー、これって普通なの?
お母様は今日も美味しい朝食にお誉めの言葉を述べています。
食事を盛り上げるのも淑女のたしなみですから流石です。
でも、男性陣の食事量には何も突っ込みが入りません。
まあ、我が家の男子は朝鍛練が習慣ですからね。朝食までに相当腹ペコになるのでしょう。
そういえば、フォレスト侯爵は文官でありながら武で名を上げたことで有名です。
息子のレオン様も武芸に秀でているのではないかしら?
んん?
そういえば、シルエット家に仕える兵士たちも朝から父様たちと一緒に鍛練しているはず。
邸内には常に100名近くの兵士がいるのだし、今日は王都からお父様と連れ立って来た兵士もいる。
てことは、この邸内で朝からどんだけの肉が消費されているのだろう?
恐ろしい。
領内の畜産ってどうなってるのかしら?
貴重なお肉、街の皆は食べられてるのかしら?
心配です。
気になるわ、畜産事情!
あれだけ存在感のあったお肉がすっかりなくなった。
良く食べました、男性陣。
「シルエット家の食事、なんでこんなに美味しいのですか?」
食事に満足したのか、静かに食べていたレオン様が尋ねる。
「我が家にはお料理に妥協しないご令嬢がおりまして」
お母様の言葉に皆が私を見る。
「彼女の発案で、我が家の使用人と料理人を巻き込んで一大改革が起きたのがもう5年前ですわね」
なんのこと?
「以来我が家では美味しいものがたくさん食べられるようになったというわけだ」
お父様が締めますが、意味が解りません。
私、5年前、何したの?
「今では少しずつ市井にも伝わって、ブレスは食の街としても賑わうようになりつつあるよ」
アレク兄様も訳知り顔で補足します。
「へえ・・・」
レオン様も私を見ますが思い当たることはなく。
「ソフィア、何したの?」
アド兄様が尋ねてきます。
「・・・何のことでしょう? 記憶にございません・・・」
私は正直に言った。
「「「!!!」」」
皆が驚いています。壁際に並んでいる給仕までも目を見張っております。
えええ?
「覚えてないのか! それはそれは! ははは・・・」
お父様が笑い出した。
「さすが、ソフィアですわ。 無自覚で人々を幸せにするなんて」
「いつものことだよ」
お母様とお兄様まで笑っています。
えええええ?
レオン様も訳がわからずニコニコするだけです。
アド兄様と私だけがきょとんです。
何をしたのか聞いてみましたが、話せば長くなると流されてしまいました。
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