8 / 10
女装騎士、外堀を埋める
しおりを挟む
「ジャミル、その手を離してくれないか」
エリーシャがジャミルへの返事をどうするか考えていると、後ろからダリルが二人に声をかけてきた。
「なんだよ、ダリルか。俺は今エリーシャ嬢とお近づきになろうとしてるんだ。見てわかるだろ、邪魔するなよ」
そう言ってジャミルがエリーシャの手をより強く握ると、ダリルはジャミルの手を掴んで捻る。
「いてててて、何するんだよ!」
「離してくれと頼んだだろう」
ダリルは静かだが怒りを孕んだ瞳でジャミルを見つめている。
「お前に何の権利があってそんなこと言うんだよ!」
ジャミルが吠える。
「俺は彼女の弟に頼まれているんだよ。お姉さんに変な虫がつかないように見張っててくれって」
その言葉にエリーシャは思わずダリルを見るが、ダリルは気にも止めない。そしてそのダリルの言葉に、先ほどエリーシャに話しかけていた令嬢が思わず口を開く。
「だからダリル様とニシャ様は最近異常に仲が良かったのですね」
なるほど、とその場にいた他の令嬢も騎士達も納得した顔になる。
「エリーシャ嬢は年齢も年齢だからニシャはとても心配していたんだ。だから姉さんのことは任せる、と言われていて」
またその言葉に思わずエリーシャはダリルを見つめるが、ダリルはにっこりと頬笑む。
「それって、つまり殿方としてエリーシャ嬢のことを任されたってことですか」
令嬢達がきゃー!と賑わいの歓声をあげると、周りから確かにお似合いかもな、とか弟から直々に頼まれたんじゃ断れないだろとか勝手な発言が飛び交っている。
「な、な、な、」
エリーシャが顔を赤らめているとダリルがエリーシャの手を取って膝まずく。
「そういうことなのでエリーシャ、これからどうぞよろしくお願いします」
きゃー!!とまた令嬢達から喜びの歓声が上がり、騎士達からはなんだちゃっかりしてるなあいつ、と妬みの声が上がる。
「だ、ダリル様、ちょ、ちょっとこちらへ!」
エリーシャが慌ててダリルの手を取り歩き出すと、背後からまた令嬢達の黄色い歓声が聞こえてきた。
エリーシャがジャミルへの返事をどうするか考えていると、後ろからダリルが二人に声をかけてきた。
「なんだよ、ダリルか。俺は今エリーシャ嬢とお近づきになろうとしてるんだ。見てわかるだろ、邪魔するなよ」
そう言ってジャミルがエリーシャの手をより強く握ると、ダリルはジャミルの手を掴んで捻る。
「いてててて、何するんだよ!」
「離してくれと頼んだだろう」
ダリルは静かだが怒りを孕んだ瞳でジャミルを見つめている。
「お前に何の権利があってそんなこと言うんだよ!」
ジャミルが吠える。
「俺は彼女の弟に頼まれているんだよ。お姉さんに変な虫がつかないように見張っててくれって」
その言葉にエリーシャは思わずダリルを見るが、ダリルは気にも止めない。そしてそのダリルの言葉に、先ほどエリーシャに話しかけていた令嬢が思わず口を開く。
「だからダリル様とニシャ様は最近異常に仲が良かったのですね」
なるほど、とその場にいた他の令嬢も騎士達も納得した顔になる。
「エリーシャ嬢は年齢も年齢だからニシャはとても心配していたんだ。だから姉さんのことは任せる、と言われていて」
またその言葉に思わずエリーシャはダリルを見つめるが、ダリルはにっこりと頬笑む。
「それって、つまり殿方としてエリーシャ嬢のことを任されたってことですか」
令嬢達がきゃー!と賑わいの歓声をあげると、周りから確かにお似合いかもな、とか弟から直々に頼まれたんじゃ断れないだろとか勝手な発言が飛び交っている。
「な、な、な、」
エリーシャが顔を赤らめているとダリルがエリーシャの手を取って膝まずく。
「そういうことなのでエリーシャ、これからどうぞよろしくお願いします」
きゃー!!とまた令嬢達から喜びの歓声が上がり、騎士達からはなんだちゃっかりしてるなあいつ、と妬みの声が上がる。
「だ、ダリル様、ちょ、ちょっとこちらへ!」
エリーシャが慌ててダリルの手を取り歩き出すと、背後からまた令嬢達の黄色い歓声が聞こえてきた。
5
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

【完結】身分違いの恋をしてしまいました
金峯蓮華
恋愛
ナターリエは可もなく不可もないありふれた容姿の男爵令嬢。なのになぜか第2王子に身染められてしまった。殿下のことはなんとも思っていないが、恋人にと望まれれば断ることなどできない。高位貴族の令嬢達に嫌がらせをされ、悪い噂を流されても殿下に迷惑をかけてはならないと耐える日々。殿下からも、高位貴族令嬢達からの嫌がらせからもやっと解放されると思っていた卒業祝いの夜会で事件は起こった。
作者の独自の異世界のファンタジー小説です。
誤字脱字ごめんなさい。
ご都合主義です。
のんびり更新予定です。
傷ましい表現があるのでR15をつけています。

婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
【完結】悪魔というだけで婚約破棄!? 種族で判断しないでください!!
青野ハマナツ
恋愛
とある王国に住む一人の女性、イブ・ラインズは、王子であるアルディ・シュラインと結婚することになっていた。しかしある日、「イブが悪魔であること」を理由に婚約を破棄されてしまう。アルディは代わりに、新たな婚約相手であるシルフ・アルベを紹介してきたが、彼女には数多くの不可解な点があって──!?
悪魔が織り成す憎愛復讐劇が幕を開ける!
(カクヨム等でも連載中)
拾った仔猫の中身は、私に嘘の婚約破棄を言い渡した王太子さまでした。面倒なので放置したいのですが、仔猫が気になるので救出作戦を実行します。
石河 翠
恋愛
婚約者に婚約破棄をつきつけられた公爵令嬢のマーシャ。おバカな王子の相手をせずに済むと喜んだ彼女は、家に帰る途中なんとも不細工な猫を拾う。
助けを求めてくる猫を見捨てられず、家に連れて帰ることに。まるで言葉がわかるかのように賢い猫の相手をしていると、なんと猫の中身はあの王太子だと判明する。猫と王子の入れ替わりにびっくりする主人公。
バカは傀儡にされるくらいでちょうどいいが、可愛い猫が周囲に無理難題を言われるなんてあんまりだという理由で救出作戦を実行することになるが……。
もふもふを愛するヒロインと、かまってもらえないせいでいじけ気味の面倒くさいヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより pp7さまの作品をお借りしております。
誰もがその聖女はニセモノだと気づいたが、これでも本人はうまく騙せているつもり。
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・クズ聖女・ざまぁ系・溺愛系・ハピエン】
グルーバー公爵家のリーアンナは王太子の元婚約者。
「元」というのは、いきなり「聖女」が現れて王太子の婚約者が変更になったからだ。
リーアンナは絶望したけれど、しかしすぐに受け入れた。
気になる男性が現れたので。
そんなリーアンナが慎ましやかな日々を送っていたある日、リーアンナの気になる男性が王宮で刺されてしまう。
命は取り留めたものの、どうやらこの傷害事件には「聖女」が関わっているもよう。
できるだけ「聖女」とは関わりたくなかったリーアンナだったが、刺された彼が心配で居ても立っても居られない。
リーアンナは、これまで隠していた能力を使って事件を明らかにしていく。
しかし、事件に首を突っ込んだリーアンナは、事件解決のために幼馴染の公爵令息にむりやり婚約を結ばされてしまい――?
クズ聖女を書きたくて、こんな話になりました(笑)
いろいろゆるゆるかとは思いますが、よろしくお願いいたします!
他サイト様にも投稿しています。
猛獣のお世話係
しろねこ。
恋愛
「猛獣のお世話係、ですか?」
父は頷き、王家からの手紙を寄越す。
国王が大事にしている猛獣の世話をしてくれる令嬢を探している。
条件は結婚適齢期の女性で未婚のもの。
猛獣のお世話係になった者にはとある領地をあげるので、そこで住み込みで働いてもらいたい。
猛獣が満足したら充分な謝礼を渡す……など
「なぜ、私が?私は家督を継ぐものではなかったのですか?万が一選ばれたらしばらく戻ってこれませんが」
「その必要がなくなったからよ、お義姉さま。私とユミル様の婚約が決まったのよ」
婚約者候補も家督も義妹に取られ、猛獣のお世話係になるべくメイドと二人、王宮へ向かったが…ふさふさの猛獣は超好み!
いつまでもモフっていたい。
動物好き令嬢のまったりお世話ライフ。
もふもふはいいなぁ。
イヤな家族も仕事もない、幸せブラッシング生活が始まった。
完全自己満、ハピエン、ご都合主義です!
甘々です。
同名キャラで色んな作品を書いています。
一部キャラの台詞回しを誤字ではなく個性として受け止めて貰えればありがたいです。
他サイトさんでも投稿してます。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

悪役令嬢ですが、どうやらずっと好きだったみたいです
朝顔
恋愛
リナリアは前世の記憶を思い出して、頭を悩ませた。
この世界が自分の遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気がついたのだ。
そして、自分はどうやら主人公をいじめて、嫉妬に狂って殺そうとまでする悪役令嬢に転生してしまった。
せっかく生まれ変わった人生で断罪されるなんて絶対嫌。
どうにかして攻略対象である王子から逃げたいけど、なぜだか懐つかれてしまって……。
悪役令嬢の王道?の話を書いてみたくてチャレンジしました。
ざまぁはなく、溺愛甘々なお話です。
なろうにも同時投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる