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サクラたん
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「どうした?駄目なのか?
住ませてくれるなら、私に出来る礼ならなんでもするぞ?」
(ん?今なんでもするって言ったよね?)
じゃなくて、何を言ってるんだこの人は!
変な妄想しちゃうじゃないか…
しばらく和樹が妄想して「ぐふぐふ」言っているとシオンが心配してきた。
「どうした?
体の具合でも悪いのか?」
「いえ、違います…しかし急に言われましても…」
和樹は悩んでいた、確かにここ、使われてない部屋はあるが、見ず知らずの同い歳ぐらいの女の子と一緒に住むなんて…
「どうしても駄目というなら諦めるが…しばらくは野宿だな」
「野宿???
わ、わ、わ、わかりました、使ってない部屋がひとつありますので…
お、お、お落ち着くまではお使いください」
早口でどもりながら和樹はシオンが住むことを許可してしまった。
「そうか、ありがとう和樹、拾われたのが君のような優しい人間で良かった」
その後、シオンの事を聞いてみた、どうやら聞くところによると彼女は異世界の魔族らしい。
「私は悪魔塔A5塔という場所の幹部だった魔女のひとりだよ。
魔法少女というのはただの肩書きみたいなもので実際は魔女さ、本来なら私は人間共を全て滅ぼさなければならない」
(凄い設定だな、人間共を滅ぼすとか…。
まあ悪魔キャラになりきって世界を滅ぼすって言ってる中二病コスプレイヤーとか見掛ける事あるし…まあいいか)
「そ…それで、シシシ…シオンさんはどうして、ここへ飛ばされて来たんですか?」
「あちらの世界でガキに敗北してね、それから逃げ回ってる時に時空の穴に落ちてしまった、情けない話さ…」
「そ、そうでしたか…で、でもシオンさんがご無事で良かったです。
ち、ち、ちなみにシオンさんがいた世界は、この世界に近いですか?」
「いや、まったく違う…
この機器といい、まったく見たこともないものばかりだ…正直怖いよ」
ゲーム機やソフト、フィギュアを指差して言われ、和樹は凄く恥ずかしくなった。
「こ、これはゲーム機で、こうやってソフトを入れればゲームが出来ます。
怖がるどころか、楽しいものですので、試しにやってみますか?」
シューティングゲームのディスクを入れてゲームを起動させる、彼女は興味深く観察しゲーム画面を見ていた。
「こうやって敵を避けながら攻撃して倒し、進んでいくんです」
先ほどまで緊張で言葉がぎこちなかった和樹だがゲームを始めると落ち着いた口調で話し始めた。
「なるほどな、これは遊ぶためのものだったか、ではあちらも?」
視線の先には二次元キャラのフィギュアがあった。
「ち、違います、
こ、これは…フィギュアと言って、観賞用というか何というか…」
「直接聞いてみようか」
慌てていると、シオンが何やら魔法を唱え、セーラー服の美少女のフィギュアが動き出した。
「うわあぁぁっ!!
サクラたんが動き出したぁ!」
「よぉ、キモオタ♪
今日も汗掻いてハァハァ言ってんじゃないわよ、蹴り殺すわよ?」
サクラたんと呼ばれたフィギュアが歩きだし、和樹を罵倒する。
和樹は信じられないものを見る目で言葉を失っている。
「あの、これって、シオンさんが?」
「あぁ、そうだ。
動き出したという事は、君はよほどそのフィギュアを大切にしていたのだろう」
「シオンさん凄い…
まさか本物だったなんて…」
和樹は喜びに震えながらフィギュアのサクラたんを握ろうとした。
「やめろキモオタ、汚い手で私に触れるな!」
動くフィギュアに顔を蹴られてしまった、ちょっと痛かったが嬉しくて「グフグフ」笑ってしまう。
サクラたんはシオンの後ろに隠れた。
「あいつ怖い、キモい、女性の敵、ねえシオンさん、私を守って?」
「大丈夫だサクラ…たん?
和樹は不気味なところはあるが人間としては良い奴だ」
「たん、は余計よ!」
その日は結局、シオンの部屋を作り、そこに彼女とサクラたんが入ってくつろいでいた。
キモオタの俺はもう怖くて覗く事は出来ない。
「サクラたん…
一緒に寝てくれないのか…サクラたん…」
和樹はその日、うなされながら眠りについた。
次の日の朝、和樹は目玉焼きにベーコン、ご飯と言ったシンプルな朝食を用意した。
「ほう、これはこちらの世界では目玉焼きというのか…私の世界では名前など無かったはず」
「ええ、ニワトリという鳥の卵を焼いたものです、美味しいですよ?」
「和樹の料理は美味いからな、楽しみだ」
私服姿のシオンが料理を誉めていると、サクラたんが僕の目玉焼きを勝手に食べていた。
「あっ、それ僕の目玉焼きなのに…サクラたんやめっ…」
「キモオタの癖にケチケチすんじゃないわよ♪
私の体に入る量なんてたかが知れてるでしょう?」
この時、僕は思った、サクラたんはこの小さな体でうんこはするのかと…
「今失礼な事を考えたよな?キモオタ!!」
パチンと頬を叩かれた、痛くはないけれど、まだ口にも出してないのに酷いよサクラたん…
シオンは笑いながら朝食を食べていた、それは楽しそうに。
やがて登校時間になった、学校へ出発しないといけない。僕はシオンとサクラたんに言った。
「シシシ、シオンさん、外は危険かも知れないから、知識がないうちは出ないで下さいね?
ど、どうしてもという場合は予備の鍵を使って下さい」
僕はシオンに鍵を渡しておいた。
住ませてくれるなら、私に出来る礼ならなんでもするぞ?」
(ん?今なんでもするって言ったよね?)
じゃなくて、何を言ってるんだこの人は!
変な妄想しちゃうじゃないか…
しばらく和樹が妄想して「ぐふぐふ」言っているとシオンが心配してきた。
「どうした?
体の具合でも悪いのか?」
「いえ、違います…しかし急に言われましても…」
和樹は悩んでいた、確かにここ、使われてない部屋はあるが、見ず知らずの同い歳ぐらいの女の子と一緒に住むなんて…
「どうしても駄目というなら諦めるが…しばらくは野宿だな」
「野宿???
わ、わ、わ、わかりました、使ってない部屋がひとつありますので…
お、お、お落ち着くまではお使いください」
早口でどもりながら和樹はシオンが住むことを許可してしまった。
「そうか、ありがとう和樹、拾われたのが君のような優しい人間で良かった」
その後、シオンの事を聞いてみた、どうやら聞くところによると彼女は異世界の魔族らしい。
「私は悪魔塔A5塔という場所の幹部だった魔女のひとりだよ。
魔法少女というのはただの肩書きみたいなもので実際は魔女さ、本来なら私は人間共を全て滅ぼさなければならない」
(凄い設定だな、人間共を滅ぼすとか…。
まあ悪魔キャラになりきって世界を滅ぼすって言ってる中二病コスプレイヤーとか見掛ける事あるし…まあいいか)
「そ…それで、シシシ…シオンさんはどうして、ここへ飛ばされて来たんですか?」
「あちらの世界でガキに敗北してね、それから逃げ回ってる時に時空の穴に落ちてしまった、情けない話さ…」
「そ、そうでしたか…で、でもシオンさんがご無事で良かったです。
ち、ち、ちなみにシオンさんがいた世界は、この世界に近いですか?」
「いや、まったく違う…
この機器といい、まったく見たこともないものばかりだ…正直怖いよ」
ゲーム機やソフト、フィギュアを指差して言われ、和樹は凄く恥ずかしくなった。
「こ、これはゲーム機で、こうやってソフトを入れればゲームが出来ます。
怖がるどころか、楽しいものですので、試しにやってみますか?」
シューティングゲームのディスクを入れてゲームを起動させる、彼女は興味深く観察しゲーム画面を見ていた。
「こうやって敵を避けながら攻撃して倒し、進んでいくんです」
先ほどまで緊張で言葉がぎこちなかった和樹だがゲームを始めると落ち着いた口調で話し始めた。
「なるほどな、これは遊ぶためのものだったか、ではあちらも?」
視線の先には二次元キャラのフィギュアがあった。
「ち、違います、
こ、これは…フィギュアと言って、観賞用というか何というか…」
「直接聞いてみようか」
慌てていると、シオンが何やら魔法を唱え、セーラー服の美少女のフィギュアが動き出した。
「うわあぁぁっ!!
サクラたんが動き出したぁ!」
「よぉ、キモオタ♪
今日も汗掻いてハァハァ言ってんじゃないわよ、蹴り殺すわよ?」
サクラたんと呼ばれたフィギュアが歩きだし、和樹を罵倒する。
和樹は信じられないものを見る目で言葉を失っている。
「あの、これって、シオンさんが?」
「あぁ、そうだ。
動き出したという事は、君はよほどそのフィギュアを大切にしていたのだろう」
「シオンさん凄い…
まさか本物だったなんて…」
和樹は喜びに震えながらフィギュアのサクラたんを握ろうとした。
「やめろキモオタ、汚い手で私に触れるな!」
動くフィギュアに顔を蹴られてしまった、ちょっと痛かったが嬉しくて「グフグフ」笑ってしまう。
サクラたんはシオンの後ろに隠れた。
「あいつ怖い、キモい、女性の敵、ねえシオンさん、私を守って?」
「大丈夫だサクラ…たん?
和樹は不気味なところはあるが人間としては良い奴だ」
「たん、は余計よ!」
その日は結局、シオンの部屋を作り、そこに彼女とサクラたんが入ってくつろいでいた。
キモオタの俺はもう怖くて覗く事は出来ない。
「サクラたん…
一緒に寝てくれないのか…サクラたん…」
和樹はその日、うなされながら眠りについた。
次の日の朝、和樹は目玉焼きにベーコン、ご飯と言ったシンプルな朝食を用意した。
「ほう、これはこちらの世界では目玉焼きというのか…私の世界では名前など無かったはず」
「ええ、ニワトリという鳥の卵を焼いたものです、美味しいですよ?」
「和樹の料理は美味いからな、楽しみだ」
私服姿のシオンが料理を誉めていると、サクラたんが僕の目玉焼きを勝手に食べていた。
「あっ、それ僕の目玉焼きなのに…サクラたんやめっ…」
「キモオタの癖にケチケチすんじゃないわよ♪
私の体に入る量なんてたかが知れてるでしょう?」
この時、僕は思った、サクラたんはこの小さな体でうんこはするのかと…
「今失礼な事を考えたよな?キモオタ!!」
パチンと頬を叩かれた、痛くはないけれど、まだ口にも出してないのに酷いよサクラたん…
シオンは笑いながら朝食を食べていた、それは楽しそうに。
やがて登校時間になった、学校へ出発しないといけない。僕はシオンとサクラたんに言った。
「シシシ、シオンさん、外は危険かも知れないから、知識がないうちは出ないで下さいね?
ど、どうしてもという場合は予備の鍵を使って下さい」
僕はシオンに鍵を渡しておいた。
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