異世界から来た魔法少女がドSだった件

焼き芋さん

文字の大きさ
上 下
1 / 23

自称魔法少女との出会い

しおりを挟む
 学校帰り、アニメグッズや同人誌等を販売している店でグフグフ笑いながら立ち読みしているメガネの太った男がいた。

 僕の名は和樹…平凡に暮らす二次元オタクの高校生、趣味はフィギュア集め。今年で17になるが、もちろん彼女などいない。

 と言うか出来た事がない。

 親は両親とも事故で死に、親戚もいなかったので今や天涯孤独の身だった。

 今日の晩御飯は外で済まそうと思い牛丼屋で牛丼を食べて辺りも暗くなった頃に家に帰ろうと帰り道を歩いていた。

「ぐああぁぁっ……」

 ドサッ…

 見間違いじゃなければ目の前に大きな黒い穴が開き、中から魔法少女のコスプレをした美少女が傷だらけで落ちてきた。

「ちょ…ちょ…ち…
だ…大丈夫ですか?」

 緊張しながら話し掛けるが返事がない、和樹はスマホを取り出し救急車に電話しようとすると…

「ダメだ…やめろ…」

 彼女が起き上がりスマホを見て言ってきたのでスマホはポケットにしまう、仕方がないので僕は「休ませる為」すぐそこのアパートまで案内した。

「はぁ、はぁ、助かったぞ人間…」

「人間?
あの…何を言って…コスプレイヤーの方ですか?」

「コスプレイヤー?
なんだそれは、私は魔法少女だぞ、人間ではない」

 な、なんだって?

 じゃなくて、なるほど彼女は自分の世界に入り込んでいるのか…だったらあまり刺激しないほうがいいな…

 しかし魔法少女って彼女の中では人間じゃない設定なのか……。

「その、お嫌でなければ、洗濯機も風呂も勝手に使って良いですから…」

「そうか、では遠慮なく使わせて貰うぞ、人間」

「人間ではなく、僕の名は和樹と言います」

「そうか和樹、悪いが風呂と洗濯機を借りる、着替えはあるか?」

「えーと、
昔のお母さんのが…」

 タンスから亡くなった母親の服を出し、わからないので選んで貰った。
 彼女は服を持って風呂場に行き洗濯機を回し、そして風呂場に入っていった。

(凄い美少女だったな、同い年ぐらいか?
まぁ、僕が相手にされるわけがないし、晩御飯食べさせて少し休ませてとっとと帰って貰おう。
キモオタに拉致されたとか騒がれたら人生終了だしな)

 和樹はパスタを茹でてオリジナルのカルボナーラを作り始めた。
 風呂場からはシャワーの音がする…安いボロアパートの風呂場なので不快にさせてないか凄く不安だった。

 和樹は少しでも機嫌を直して貰おうと得意なパスタ料理を作っていた。

「おっ、いい具合だ…」

 今日は割と上手く出来て和樹的にも満足だった、丁度その時、彼女が風呂から上がって出てきたようだ。

「なかなか良い匂いがするな、和樹、君が作ったのか?」
「はい、僕オリジナルのカルボナーラです。
少しでもお気に召して頂けると嬉しいのですが…」

 お茶と皿に入ったカルボナーラをテーブルに差し出しながら言った。
 彼女を見ると浴衣を着ており凄く美しく見とれてしまった。

 彼女は早速フォークとスプーンを上手く使いカルボナーラを食べ始めていた。

「美味い、こんなに美味い飯はかなり久し振りだぞ和樹」

「良かったぁぁ、不味いって言われるんじゃないかと不安でした…」

 彼女は夢中になってパスタを口に運び、すべて食べ切って、そして満足そうな表情で言った。

「申し遅れたが、私は魔法少女シオン、先程も言ったが人間ではない。
異世界に放り出され、どうする事も出来なくなったところを君、和樹に助けられた」

(異世界に放り出された?まあ僕に住所を悟らせない言い訳としては十分だな、話を合わせよう)

「なる程、シオンさん、それで帰るあてはあるんですか?」

「それが無いんだよ…どうすればいいか、わからない」

 なんだって?帰る方法がわからないですと?

「困りましたね、近くの交番に相談してみましょうか…」

 スマホを取り出し電話をかけようとするがやはり止められた。

「駄目だ、交番と言うのがよくわからないが、おそらく異世界の治安維持部隊の事だろう…
和樹、私はここに住みたい、駄目かな?」

「えええぇぇ??」

 和樹は驚いて大きな声を上げてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

処理中です...