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アルパピオス王国編
1000年後のとある事件
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門の前には気を失っている四人の女性、パンドラズフォース。
クロス王国の門番でもあり、時には女王様の護衛任務にもつく彼女等が敗北したのだ。
周囲は煙に包まれていて、皆気を失い倒れている。
「なかなかの火力だった、驚いたよ…
しかし…ボクは戦いたくないと言っているのにどうして挑んでくるんだい?」
ヴィクトリアは彼女達を通り過ぎ門の前まで来ていた。
───数十分前───
ヴィクトリアとパンドラズフォースの戦いが巻き起こっていた。
「フレイヤは炎、スノトラは氷、ヴォルは雷、イズンは風属性といったところか」
赤髪のフレイヤが詠唱もせず魔法を発動し、あたり一面が火の海へ変化した。
パンドラズフォース4人とヴィクトリアを囲む炎の壁、逃げ場のないデスマッチが始まった。
「凄いな。詠唱すらなく、こんな炎を扱えるとは…特殊スキル並みじゃないか」
「降参するなら今のうちだぞ侵入者、私達と来て貰おう」
「フレイヤ、あいつ笑ってるぞ、気をつけろ!」
「わかってるよ」
ヴィクトリアは大剣を取り出し、バリバリと雷を纏う大きな音を立てながら彼女等のほうへ向ける。
「少し遊んであげるよ、殺しはしないから安心したまえ」
その剣を見たパンドラズフォースは驚いて、剣を見ながら後ろに一歩下がる。
「その剣、建御雷神(タケミカヅチ)!?女王様から聞いた事はあるけれど…まさか実在するなんて」
「何故だ…その剣は1000年前に失われたと聞いていたのに」
「そもそもフレイヤの炎が熱くないのか?並みの相手ならこの時点で倒れ意識を失うはずなのに…」
フレイヤは炎で燃え上がる剣を取り出しヴィクトリアに斬りかかる。
「その剣、どこかで見た事があるな…しかし、駄目だ、思い出せない…」
ヴィクトリアは彼女の剣を見て何かを思い出しそうになるものの、記憶が曖昧で思い出す事が出来ない。
バラバラになった彼女の記憶は、まだ10分の1も元に戻ってはいなかった。
魔法や戦い方は覚えていたものの、過去の記憶がすっぽりと抜けている。
「ほほうレーヴァテインをご存知とは、いよいよ只者ではないな。だが残念、これはそのレプリカ(模造品)だ!」
しかし、その剣は受け止められて、激しい金属音が鳴り響くが、決着はすぐに付いた。
「うあぁあああああああああっ!!!」
雷が落ちるような音がして、フレイヤの体を電気が走っている。
フレイヤは交差した剣と剣から流れてきた雷で一撃で丸焼きになり意識を失ってそこへ倒れた。
黒こげになった彼女は白目を剥いて、口を開いたまま、ピクピクと痙攣していた。
「馬鹿な、ありえない、フレイヤがやられたぞ!」
「あれが失われたはずの剣、建御雷神(タケミカヅチ)の力か…なんと恐ろしい」
「剣に触れたら丸焼きにされてしまうぞ、皆。遠距離攻撃を使え」
青い髪のスノトラが杖を振ると辺りが凍る。
火の海だった景色が一瞬で凍り付き、氷結世界へと変化した。
空からは雪が降り、寒さが増してくる。そこに金髪の雷使いヴォルが空から雷を落とした。
「どうだ、これが本物の雷だ!」
しかしヴィクトリアはそこに無傷で立っている。
と言うか、建御雷神(タケミカヅチ)が雷を吸い込み、剣の周りが先ほど以上にバチバチ、ゴロゴロと激しい音を立てていた。
「ほら、返すよヴォル、君の放った雷だ」
ヴィクトリアは剣先を50メートルは離れているヴォルに向け一突きする。
すると彼女の放った雷と建御雷神(タケミカヅチ)の斬撃が彼女に向かって飛んでいく。
それはまるで雷を纏った見えない矢のようだった。
その攻撃は彼女の肩を貫き、雷が彼女の体に落ちたような音を立てながら爆発が起きる。
「きゃあああああああっ!!」
悲鳴をあげながらヴォルは丸焼きになりフレイヤ同様意識を失った。
「ヴォル!!!」
「おのれ!女王様の親衛隊である我々がこうも簡単にやられてたまるか!」
残るは緑髪の風属性のイズンと、青髪の氷属性のスノトラのただ二人。
「氷柱!」
スノトラが手をかざしながら言うと地面から氷の柱が突然出現する。
それらはヴィクトリアを凍らそうと襲ってくるが彼女はすべての攻撃を軽くかわした。
「だったらこうだ!アイスアロー!!」
氷の弓矢を持ち、氷の矢を空に向けて引いて飛ばした。
するとその氷の矢は空中で何本にも分裂し、無数に増え、そしてヴィクトリア目掛けて降って来る。
しかも、その矢は冷気を纏い、触れたものを凍らせる能力を持っていた。
「良い攻撃だが、それではボクには当たらないよ」
見えないバリアのようなものが、直撃する瞬間、矢をすべて防ぎ、矢は打ち落とされ粉々に砕ける。
怒ったスノトラが氷の鳥を出現させ、イズンと目をあわせ、ヴィクトリアに同時に攻撃した。
「貫け!フリーズ・バード」
「サイクロン・ブレイド」
巻き込んだものをミキサーのように切り裂く竜巻サイクロン・ブレイド。
追尾機能のある触れれば全身が凍る大きな氷の鳥、フリーズ・バード。
二つの大規模攻撃を見てヴィクトリアはたいしたものだと感心していた。
「いいチームワークだ、ただ、ボクを倒すつもりなら、最初からやるべきだったな」
手を左右に広げて、手の先から黒い穴を出現させる。
ブラックホールのようなそれは、氷の鳥と、竜巻をも吸い込んだ。
「「馬鹿な!!」」
スノトラがキョロキョロと辺りを見渡すがヴィクトリアがいない。
ヴィクトリアは彼女の後ろから現れて、雷の剣、建御雷神(タケミカヅチ)で彼女の体を貫いた。
「ぐふっ…」
「スノトラァアァア!!」
イズンが風を纏った剣を取り出しヴィクトリア目掛けて襲い掛かってくる。
しかしそんな攻撃が彼女に当たるわけもなく、彼女は剣をしまい、握りこぶしで剣を真っ二つにした。
「はぁ??拳でだと??ふざけるな!!そんなことがあってたまるか!!」
「悪いが、君も眠っててくれ…これ以上暴れられたら邪魔だ」
腹に握りこぶしの一撃を受け、イズンは目の前が真っ白になり、そのまま気絶してしまう。
そして今に至るのだが、門は突然開いて、中から彼女達の上官のような雰囲気の軍服のセクシーな女が現れた。
「どうやら、私の部下を回復させてくれた所を見る限り、敵意はないようだな」
「当然だ、ボクはここが何処なのか知りたいのと、休める場所を探していただけだからね…」
「そうだったか、であれば、部下を回復させてくれたお礼に入国審査を受ける事を許可するよ」
そうして上官らしき女はヴィクトリアを留置所へ案内し、中に閉じ込めた。
「酷いじゃないか、どうしてこんな事をするんだい?」
「クロス王国に入国して貰う為には、まず敵国のスパイである疑いを晴らす必要がある。
よって申し訳ないが、しばらくはここで過ごして貰わねばならん。まあ本来、ここは入国を許可していない鎖国国家なのだが。君はおそらく、私と同じ一等国民になりうる逸材だ、悪いようにはしない」
「一等国民?この国は階級制度なのかい?」
「ああ、おそらくこの後、説明があるはずだ。心配しなくていい、一等国民になりうる逸材はすべてにおいて優遇される。まあ、国民になるかどうかは君が決めると事だけどね」
それからヴィクトリアは軍服の上官風の女と別れ、取調べを受けてから、豪華な部屋へ案内される。
豪華なベッド、家具、冷蔵庫があり、台所やトイレ、風呂もある。
その後、看守の人から階級制度の説明を受け、ヴィクトリアは面白そうだと笑みを浮かべていた。
見張りの者たちも威圧的な態度の者はおらずまるでお客様のように接していた。
「良い部屋だね、なかなか悪くない」
「気に入って頂けましたか?取調べは本日中には終わりますので、明日にはご自由に観光して頂けますよ」
予定通りであれば本日中に終わるはずだった、しかし…
記憶喪失と言う点でひっかかり、ヴィクトリアは出して貰える事は無かった。
森に囲まれた場所の真ん中に、大きな城がある。
ここはクロス王国女王の住むお城、関係者以外立ち入り禁止の場所だった。
「ただいま、お母様♪」
「お帰り、アステリア」
花に水やりをしていた美しいメイドが歩いてきて彼女を出迎える。
ちなみにメイドの髪型は金髪ショート、頭にはカチューシャをしている。服の色は青と白に分かれた配色で。フリルの付いた夏服のメイド服だった。スラリと伸びた足が強調され、見た目とてもセクシーな感じの女性だった。
背はアステリアより高く、年齢的には10代後半から、20代前半と言った容姿だった。
黙っていればクールなセクシーメイドといった感じにも見える。
学校から帰ってきたアステリアはメイドに向かって微笑み、そして言った。
「今日は前から生意気だったクラスメイトを懲らしめてやりましたわ♪」
「あのシンタと言う男の子ですか?確かにアステリアったら、前から犯してやると言ってたものね♪で、どうでした?気持ち良くなれました?」
「うふふ、昼休みに、トイレの中で犯してアナルガバガバにしてやりましたわぁ♪ただ、途中ワタクシに暴力を振るってきましたので、今頃は留置所でしょうね、最悪死刑ですわ♡」
母と娘がするような会話とは到底思えない恐ろしい内容の話を二人は笑顔でして、微笑んでいる。
「こら、そんな「アナルガバガバ」と言う、下品な言葉を使ってはいけませんよ、あなたは仮にも次期女王候補者なのですから」
「はい…ですがワタクシは、お母様以外に女王が務まるとは到底思えません…」
「それも勉強して皆と一緒に覚えていけばいいんですよ。ほら、あなたと同じ、いずれこの国の未来を背負うお嬢様方が広間で待っていますよ。行きましょうか」
二人は城へ入り、広間へ向かった。
天井にはシャンデリア、豪華な机の上に、テーブルクロスがしかれている。
席に座っているのは4人、皆アステリアにも負けない美少女揃いの面構えだった。
服は学校帰りなのかアステリア同様の女物の制服を着ている。
「あっ、おっかえり~☆アステリア♪」
アステリアより2つぐらい年下に見えるジェシカ。
髪型は茶髪のロングと言った感じで笑顔が可愛い女の子…いいや男の娘。
「なあ、今日新作のゲーム買って来たんだ、後でやろうぜ!」
男口調だがエロかっこいい雰囲気漂う黒髪前髪ぱっつんロングの美女ヘレン…この中で一番の問題児で、母親に一番叱られている男の娘。
「ゲームなんてやってる場合じゃないでしょう?ヘレン、またお母様に叱られたいの?」
銀髪ツインテールの娘たちの中で一番年上に見える男の娘、ナタリア。落ち着いた雰囲気でこの中では一番お姉さんキャラだ。
「うふふっ、ヘレンったら本当はマゾなんじゃないの?」
挑発するような色っぽい仕草でヘレンに話しかける、セクシーな男の娘ヴィヴィアン。彼の髪型は黒髪ショートで毛先が外側にハネている。
そんな四人がテーブル席で二人の到着を待っていた。
アステリアは城へ入り、メイドと一緒に皆の前まで歩いて来る。
メイドが手を叩きながら次のように言った。
「さぁ、今日も稽古を始めますよ♪マリアお願い、今日も鍛えてやって?」
そこには先ほど留置所にヴィクトリアを案内した軍服の女、いいや男の娘のマリアがいた。
「その前に、女王様…急ぎお耳にお入れ致さねばならぬ重要な事がございます。グナー、エイルから報告が届きました。」
「ようやくですか、ちなみにどうでしたか?何か進展はありましたか?」
メイドはテーブルクロスの上にある水を飲んでいた。
「例の男なんですが、どうやら大和王国の王女と結婚したようで…」
ガシャアンッ…
飲んでいたグラスのコップを落とし、それは割れてしまった。
メイドは震えているのか、怒っているのか、マリアが報告することを戸惑いっている。
「それで、続けなさい…」
「今は大和王国の勇者を名乗っているようです…」
マリアは今まで、女王が怒った顔など見た事がなく、驚いていた。
「報告ご苦労…それではマリア、娘達の稽古、よろしくお願いします」
彼女は頭を下げて、この場から逃げるようにアステリア達と戦術の稽古へ向かって行った。
メイド服の彼女は城のベランダに出て、高そうな煙草を口にくわえて一服し始めた。
それでも落ちつかないのか、彼女は煙草の箱をグシャリ、手は震えたままだった。
そして恨み言を言うように彼の事を口にする。
「下僕…許しませんよ…絶対に!!!」
メイド服を着たクロス王国の女王は、城のベランダで怒りに打ち震えていた。
その後、ある男が夫婦共に拉致され調教される事件が起こるのだが、それはまた遥か未来の話…。
クロス王国の門番でもあり、時には女王様の護衛任務にもつく彼女等が敗北したのだ。
周囲は煙に包まれていて、皆気を失い倒れている。
「なかなかの火力だった、驚いたよ…
しかし…ボクは戦いたくないと言っているのにどうして挑んでくるんだい?」
ヴィクトリアは彼女達を通り過ぎ門の前まで来ていた。
───数十分前───
ヴィクトリアとパンドラズフォースの戦いが巻き起こっていた。
「フレイヤは炎、スノトラは氷、ヴォルは雷、イズンは風属性といったところか」
赤髪のフレイヤが詠唱もせず魔法を発動し、あたり一面が火の海へ変化した。
パンドラズフォース4人とヴィクトリアを囲む炎の壁、逃げ場のないデスマッチが始まった。
「凄いな。詠唱すらなく、こんな炎を扱えるとは…特殊スキル並みじゃないか」
「降参するなら今のうちだぞ侵入者、私達と来て貰おう」
「フレイヤ、あいつ笑ってるぞ、気をつけろ!」
「わかってるよ」
ヴィクトリアは大剣を取り出し、バリバリと雷を纏う大きな音を立てながら彼女等のほうへ向ける。
「少し遊んであげるよ、殺しはしないから安心したまえ」
その剣を見たパンドラズフォースは驚いて、剣を見ながら後ろに一歩下がる。
「その剣、建御雷神(タケミカヅチ)!?女王様から聞いた事はあるけれど…まさか実在するなんて」
「何故だ…その剣は1000年前に失われたと聞いていたのに」
「そもそもフレイヤの炎が熱くないのか?並みの相手ならこの時点で倒れ意識を失うはずなのに…」
フレイヤは炎で燃え上がる剣を取り出しヴィクトリアに斬りかかる。
「その剣、どこかで見た事があるな…しかし、駄目だ、思い出せない…」
ヴィクトリアは彼女の剣を見て何かを思い出しそうになるものの、記憶が曖昧で思い出す事が出来ない。
バラバラになった彼女の記憶は、まだ10分の1も元に戻ってはいなかった。
魔法や戦い方は覚えていたものの、過去の記憶がすっぽりと抜けている。
「ほほうレーヴァテインをご存知とは、いよいよ只者ではないな。だが残念、これはそのレプリカ(模造品)だ!」
しかし、その剣は受け止められて、激しい金属音が鳴り響くが、決着はすぐに付いた。
「うあぁあああああああああっ!!!」
雷が落ちるような音がして、フレイヤの体を電気が走っている。
フレイヤは交差した剣と剣から流れてきた雷で一撃で丸焼きになり意識を失ってそこへ倒れた。
黒こげになった彼女は白目を剥いて、口を開いたまま、ピクピクと痙攣していた。
「馬鹿な、ありえない、フレイヤがやられたぞ!」
「あれが失われたはずの剣、建御雷神(タケミカヅチ)の力か…なんと恐ろしい」
「剣に触れたら丸焼きにされてしまうぞ、皆。遠距離攻撃を使え」
青い髪のスノトラが杖を振ると辺りが凍る。
火の海だった景色が一瞬で凍り付き、氷結世界へと変化した。
空からは雪が降り、寒さが増してくる。そこに金髪の雷使いヴォルが空から雷を落とした。
「どうだ、これが本物の雷だ!」
しかしヴィクトリアはそこに無傷で立っている。
と言うか、建御雷神(タケミカヅチ)が雷を吸い込み、剣の周りが先ほど以上にバチバチ、ゴロゴロと激しい音を立てていた。
「ほら、返すよヴォル、君の放った雷だ」
ヴィクトリアは剣先を50メートルは離れているヴォルに向け一突きする。
すると彼女の放った雷と建御雷神(タケミカヅチ)の斬撃が彼女に向かって飛んでいく。
それはまるで雷を纏った見えない矢のようだった。
その攻撃は彼女の肩を貫き、雷が彼女の体に落ちたような音を立てながら爆発が起きる。
「きゃあああああああっ!!」
悲鳴をあげながらヴォルは丸焼きになりフレイヤ同様意識を失った。
「ヴォル!!!」
「おのれ!女王様の親衛隊である我々がこうも簡単にやられてたまるか!」
残るは緑髪の風属性のイズンと、青髪の氷属性のスノトラのただ二人。
「氷柱!」
スノトラが手をかざしながら言うと地面から氷の柱が突然出現する。
それらはヴィクトリアを凍らそうと襲ってくるが彼女はすべての攻撃を軽くかわした。
「だったらこうだ!アイスアロー!!」
氷の弓矢を持ち、氷の矢を空に向けて引いて飛ばした。
するとその氷の矢は空中で何本にも分裂し、無数に増え、そしてヴィクトリア目掛けて降って来る。
しかも、その矢は冷気を纏い、触れたものを凍らせる能力を持っていた。
「良い攻撃だが、それではボクには当たらないよ」
見えないバリアのようなものが、直撃する瞬間、矢をすべて防ぎ、矢は打ち落とされ粉々に砕ける。
怒ったスノトラが氷の鳥を出現させ、イズンと目をあわせ、ヴィクトリアに同時に攻撃した。
「貫け!フリーズ・バード」
「サイクロン・ブレイド」
巻き込んだものをミキサーのように切り裂く竜巻サイクロン・ブレイド。
追尾機能のある触れれば全身が凍る大きな氷の鳥、フリーズ・バード。
二つの大規模攻撃を見てヴィクトリアはたいしたものだと感心していた。
「いいチームワークだ、ただ、ボクを倒すつもりなら、最初からやるべきだったな」
手を左右に広げて、手の先から黒い穴を出現させる。
ブラックホールのようなそれは、氷の鳥と、竜巻をも吸い込んだ。
「「馬鹿な!!」」
スノトラがキョロキョロと辺りを見渡すがヴィクトリアがいない。
ヴィクトリアは彼女の後ろから現れて、雷の剣、建御雷神(タケミカヅチ)で彼女の体を貫いた。
「ぐふっ…」
「スノトラァアァア!!」
イズンが風を纏った剣を取り出しヴィクトリア目掛けて襲い掛かってくる。
しかしそんな攻撃が彼女に当たるわけもなく、彼女は剣をしまい、握りこぶしで剣を真っ二つにした。
「はぁ??拳でだと??ふざけるな!!そんなことがあってたまるか!!」
「悪いが、君も眠っててくれ…これ以上暴れられたら邪魔だ」
腹に握りこぶしの一撃を受け、イズンは目の前が真っ白になり、そのまま気絶してしまう。
そして今に至るのだが、門は突然開いて、中から彼女達の上官のような雰囲気の軍服のセクシーな女が現れた。
「どうやら、私の部下を回復させてくれた所を見る限り、敵意はないようだな」
「当然だ、ボクはここが何処なのか知りたいのと、休める場所を探していただけだからね…」
「そうだったか、であれば、部下を回復させてくれたお礼に入国審査を受ける事を許可するよ」
そうして上官らしき女はヴィクトリアを留置所へ案内し、中に閉じ込めた。
「酷いじゃないか、どうしてこんな事をするんだい?」
「クロス王国に入国して貰う為には、まず敵国のスパイである疑いを晴らす必要がある。
よって申し訳ないが、しばらくはここで過ごして貰わねばならん。まあ本来、ここは入国を許可していない鎖国国家なのだが。君はおそらく、私と同じ一等国民になりうる逸材だ、悪いようにはしない」
「一等国民?この国は階級制度なのかい?」
「ああ、おそらくこの後、説明があるはずだ。心配しなくていい、一等国民になりうる逸材はすべてにおいて優遇される。まあ、国民になるかどうかは君が決めると事だけどね」
それからヴィクトリアは軍服の上官風の女と別れ、取調べを受けてから、豪華な部屋へ案内される。
豪華なベッド、家具、冷蔵庫があり、台所やトイレ、風呂もある。
その後、看守の人から階級制度の説明を受け、ヴィクトリアは面白そうだと笑みを浮かべていた。
見張りの者たちも威圧的な態度の者はおらずまるでお客様のように接していた。
「良い部屋だね、なかなか悪くない」
「気に入って頂けましたか?取調べは本日中には終わりますので、明日にはご自由に観光して頂けますよ」
予定通りであれば本日中に終わるはずだった、しかし…
記憶喪失と言う点でひっかかり、ヴィクトリアは出して貰える事は無かった。
森に囲まれた場所の真ん中に、大きな城がある。
ここはクロス王国女王の住むお城、関係者以外立ち入り禁止の場所だった。
「ただいま、お母様♪」
「お帰り、アステリア」
花に水やりをしていた美しいメイドが歩いてきて彼女を出迎える。
ちなみにメイドの髪型は金髪ショート、頭にはカチューシャをしている。服の色は青と白に分かれた配色で。フリルの付いた夏服のメイド服だった。スラリと伸びた足が強調され、見た目とてもセクシーな感じの女性だった。
背はアステリアより高く、年齢的には10代後半から、20代前半と言った容姿だった。
黙っていればクールなセクシーメイドといった感じにも見える。
学校から帰ってきたアステリアはメイドに向かって微笑み、そして言った。
「今日は前から生意気だったクラスメイトを懲らしめてやりましたわ♪」
「あのシンタと言う男の子ですか?確かにアステリアったら、前から犯してやると言ってたものね♪で、どうでした?気持ち良くなれました?」
「うふふ、昼休みに、トイレの中で犯してアナルガバガバにしてやりましたわぁ♪ただ、途中ワタクシに暴力を振るってきましたので、今頃は留置所でしょうね、最悪死刑ですわ♡」
母と娘がするような会話とは到底思えない恐ろしい内容の話を二人は笑顔でして、微笑んでいる。
「こら、そんな「アナルガバガバ」と言う、下品な言葉を使ってはいけませんよ、あなたは仮にも次期女王候補者なのですから」
「はい…ですがワタクシは、お母様以外に女王が務まるとは到底思えません…」
「それも勉強して皆と一緒に覚えていけばいいんですよ。ほら、あなたと同じ、いずれこの国の未来を背負うお嬢様方が広間で待っていますよ。行きましょうか」
二人は城へ入り、広間へ向かった。
天井にはシャンデリア、豪華な机の上に、テーブルクロスがしかれている。
席に座っているのは4人、皆アステリアにも負けない美少女揃いの面構えだった。
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髪型は茶髪のロングと言った感じで笑顔が可愛い女の子…いいや男の娘。
「なあ、今日新作のゲーム買って来たんだ、後でやろうぜ!」
男口調だがエロかっこいい雰囲気漂う黒髪前髪ぱっつんロングの美女ヘレン…この中で一番の問題児で、母親に一番叱られている男の娘。
「ゲームなんてやってる場合じゃないでしょう?ヘレン、またお母様に叱られたいの?」
銀髪ツインテールの娘たちの中で一番年上に見える男の娘、ナタリア。落ち着いた雰囲気でこの中では一番お姉さんキャラだ。
「うふふっ、ヘレンったら本当はマゾなんじゃないの?」
挑発するような色っぽい仕草でヘレンに話しかける、セクシーな男の娘ヴィヴィアン。彼の髪型は黒髪ショートで毛先が外側にハネている。
そんな四人がテーブル席で二人の到着を待っていた。
アステリアは城へ入り、メイドと一緒に皆の前まで歩いて来る。
メイドが手を叩きながら次のように言った。
「さぁ、今日も稽古を始めますよ♪マリアお願い、今日も鍛えてやって?」
そこには先ほど留置所にヴィクトリアを案内した軍服の女、いいや男の娘のマリアがいた。
「その前に、女王様…急ぎお耳にお入れ致さねばならぬ重要な事がございます。グナー、エイルから報告が届きました。」
「ようやくですか、ちなみにどうでしたか?何か進展はありましたか?」
メイドはテーブルクロスの上にある水を飲んでいた。
「例の男なんですが、どうやら大和王国の王女と結婚したようで…」
ガシャアンッ…
飲んでいたグラスのコップを落とし、それは割れてしまった。
メイドは震えているのか、怒っているのか、マリアが報告することを戸惑いっている。
「それで、続けなさい…」
「今は大和王国の勇者を名乗っているようです…」
マリアは今まで、女王が怒った顔など見た事がなく、驚いていた。
「報告ご苦労…それではマリア、娘達の稽古、よろしくお願いします」
彼女は頭を下げて、この場から逃げるようにアステリア達と戦術の稽古へ向かって行った。
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それでも落ちつかないのか、彼女は煙草の箱をグシャリ、手は震えたままだった。
そして恨み言を言うように彼の事を口にする。
「下僕…許しませんよ…絶対に!!!」
メイド服を着たクロス王国の女王は、城のベランダで怒りに打ち震えていた。
その後、ある男が夫婦共に拉致され調教される事件が起こるのだが、それはまた遥か未来の話…。
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