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アルパピオス王国編
魔導騎士イチタ
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マリンの周りを炎の神カグツチが飛び回る。
炎の神の姿は炎で体が燃え上がった大男、筋肉質で、背中には大きな黒い羽が生えていた。
どうやらマリンはギークを食べた事で炎の神となんらかの繋がりが出来てしまったようだ。
「きゃあ!何よ!どうして私の周りを飛び回ってるの?」
「おい…その声でその話し方は…」
ギークの姿、そして声で女言葉を話すマリンを見て、俺は固まっていた。
「精霊と、同じ扱いじゃないか?」
「何か命じてみれば?マリンちゃん」
「言葉は通じるの?」
ガーベラ達にそう言われ、マリンは目を瞑り心の中でカグツチに命令する。
(カグツチお願い、あの2人をやっつけて!)
そんな丸投げの頼みに、炎の神は頭を下げ、カウスの元に向かっていった。
「大佐!!分断されては奴らの思う壺です!」
「くっ…しかしこれでは…」
炎の神カグツチはまるで刀身が炎のような剣で、カウスに斬りかかり、彼女を空へと追いやっていく。
馬車の前には、ロックドラゴンで先回りしてきたアルタイルが地上に降りて剣を構えている。
「こうなったらマリンは大佐に任せ、まずはこいつらから…」
剣をこちらに向けてくる男を見て俺は馬車を止め、そして降りる。
そして目の前の剣士へと向かい合った。
「俺はギーク軍中佐、アルタイル!小僧!一撃で葬ってやる!」
アルタイルと名乗る男はブルーメタルにコーティングされた光輝く大剣に手をかけている。
「ユウト、後方支援は必要か?」
「いえ、マリンとの訓練の成果、ここで試させて下さい」
ガーベラの申し出を断り、俺は聖剣デュランダルを構える。
アルタイルはその剣を見て怒りの表情を浮かべると、背中の剣を鞘から抜いた。
「それは将軍のデュランダル!という事は貴様がユウトか!おのれ小僧!その剣、今ここで回収させて貰う!」
現在デュランダルは2本ある、1つはミュッドガル・アジールの剣で、もう一つがデザート・アジールの持つ聖剣デュランダルだ。なぜ2つあるのかと言うと、武器屋で調べて貰った結果…デザートのはオリジナルでミュッドガルのは改良型だったそうだ。
「将軍のじゃねぇよ、こっちはその子孫のものだ」
「どちらでも同じだ!死ね小僧!!」
アルタイルによってブルーメタルの大剣が横に斬り裂かれる、50メートルは離れた位置だし、普通に考えれば何もないはずだが、俺は危機感を感じとっさに横へ飛んだ。すると俺の予想通り、斬り裂かれた一撃は離れているにも関わらず、避けた場所の空気が切られたのがわかる。どうやら、場所に関係なく敵に攻撃を当てられる方法はいくつかあるようだ。
「危ねぇ、今避けなかったら斬られてた!」
「ただ斬られるだけで済むと思うのか?小僧!」
もう一度アルタイルが剣を振り下ろす。すると今度は青く光る斬撃が地面を走り、村の岩や地面などをメタルに変えていった。
「うわっ、何だこりゃ、地面がメタルに…これも即死系の技か?」
「当然だ!我等ギーク軍はかつて世界を相手に勝利した天下無敵の軍勢だぞ!」
「それだけ聞くとふざけてるように聞こえるが、大マジだからタチが悪いんだよなぁ…」
地面に走る斬撃を飛び退くように避け、デュランダルを鞘から抜くと剣先を奴に向けた。
そして、マリンとの特訓を思い出しながら、俺は魔力を込める。何をするか理解した相手が、驚いた表情でこちらを見ている。
「その構え…その魔力…将軍の……いや…ありえない、こんな小僧に…使いこなせるわけがない…」
アルタイルは首を振り、そしてこちらに剣を構えた。
「聖剣デュランダルに斬れぬもの無し、桐の太刀筋!「エンプレスツリー」」
俺は聖剣デュランダルをアルタイルめがけて縦に振り下ろした。するとその斬撃が虹色の光と共に地面を走り奴のほうへと向かっていく。その地面を走る虹色の斬撃の速度に奴は避けるのに間に合わなかったようだ。
「くっ!!無理だ、間に合わん!!」
慌ててブルーメタルの大剣で防御しようとするが、その剣にはヒビが入り、真っ二つに割れてしまう。
そしてそのまま斬撃が腕に走り、奴の腕は木へと変化した。その侵食速度には攻撃を放ったユウトですら恐ろしくなってくる。
「ちいっ!!ふざけるな!!!こんな所で中佐である俺が‥あ‥ああああ‥」
アルタイルの体は木に変化し、そしてそのまま、終わりを迎えた。
「まったく、いつ見ても反吐がでる技だな‥」
俺はそんな捨て台詞を吐きながら、敵アルタイルの体が植物化して死亡する姿を見届けて、その場から立ち去った。正直言って、この剣はパンドラの出来事があってからずっと嫌っていて、出来ればあまり使いたくはなかった。
防御不能の攻撃、攻撃力に関しては申し分ないのだが、使うには危険すぎる武器だと自分でも理解している。
マリンのほうはカウスと戦っている炎の神カグツチを眺めていた。
「ちっ!斬っても復活するとは!!流石ギーク様の従える神‥しかし負けるわけには!!」
互角の戦いを繰り広げてるのか、なかなか決着がつかない様子だった。
彼女は金の杖をカグツチに向けると、詠唱も無く水魔法が発動し水を纏った斬撃が彼を襲う。
水の斬撃を受けた彼は真っ二つになるがすぐに復活し、口から炎を吐いていた。
(これじゃ、終わらないわね‥カグツチ戻って)
心の中で命じると、彼に伝わり、その場から姿を消した。
カウスは馬車の上に立つこちらを見下ろし、金の杖を光らせる。
すると魔法が発動し、空中から大量の剣が現れ、それらは高速でこちらに向かって振って来る。
「マリン!!」
「わかってるわ!!!」
マリンは金に輝く扇子を降り、空中にバリアを貼って、上から高速で降り注ぐ剣をすべて弾き落とした。
さらにマリンはギークの持つスキルなのか扇子を突然、弓へと変化させた。
黄金に輝くあれは、40年前に奴が使っていた一撃必殺の弓だ。
「かつてギークが一人で乗り込み、この武器ひとつで9つの国を滅ぼしたそうね!受けてみなさい!」
「あれは…まさか…「神殺しの矢」」
「へぇ、そんな名前だったの」
「ギーク様の姿でそんな話し方をするな!偽者め!!」
カウスはその弓矢を見て脅えているので、どうやら効果は知っているようだ。
引いた矢を離すとそれは消えて、次の瞬間にはカウスの心臓に突き刺さっていた。
「そんな…馬鹿な…こんな…ところで」
彼女の体は木に変化していき、その侵食は、下にいたロックドラゴンにまで影響し、ドラゴンも木に変化して、下へ落ちてくる。
(あああぁあ‥‥‥!!ギーク様、デザート様…お助け……!!)
最後に今は亡き2人に助けを求めながらカウスの体は完全に木に変化をして、地面に落ちてしまった。
「念のため、燃やしといてやるよ「ファイアボール」」
ガーベラが降りてきて、炎初級魔法を発動しカウスとアルタイルの木を燃やしていく。
マリンはギーク・ハザードの姿から元の赤髪の女剣士の姿になり、馬車に戻ってくる。やはりマリンの中では一番最初に食べたミュッドガル帝国裏組織「杭」のメンバーだったこの女の姿がデフォルトのようだ。
俺は外を見渡して、馬車の皆に降りるようドアを開けた。
「もうロックキャンプの中です、生き残りがいるか探しましょう」
「ああそうだな、ユウト、マリン、助かった。ありがとう」
「マゾゴミちぁ‥ううん、ユウトもやる時はやるようね♪ふふふっ」
「確かに、今の人達、僕達だけじゃ倒せるかどうかわからないほど強かったよね」
俺の意見にガーベラ達が頷き、降りてくる。
ロジーにユウトと呼ばれ、ようやく認めてくれたのだろうか。
それからしばらく歩くのだが、家の中に人は誰一人おらず血の跡しかなかった。
不気味な場所だと思いながら歩いていくが、しばらく歩くと青いスライムが数匹いた。
「おい、こいつら襲ってくるぞ!気をつけろ!」
「レベルは1ね‥強い相手じゃないわ」
ガーベラ、ロジー、リリーが剣を取り出して構え、俺も構える。
マリンの分析によるとレベルは1らしい。つまり相手にすらならない雑魚だった。
ロジー、リリーが最低レベルの炎魔法を使い、スライムを焼き殺す。
「マリンは無理しなくていいぞ‥」
「そうよマリン、馬車で休んでいてもいいのよ?」
「うん、僕達だけで対処出来る」
ガーベラ達の気遣いにマリンは横に首を振り、言った。
「ううん、今この世界をめちゃくちゃにしているのがスライムだって言うなら私は戦うわ!それに、元々カジル森林にいた頃から弱肉強食の世界だったもの!別のスライムと命懸けで殺り合う争う事はよくあったわ」
「そうなのか…まあ…そうだよな…それじゃ、マリンも手伝ってくれ」
「ええ、任せて!」
結局その後は5人でロックキャンプを占拠しているスライム達を一匹残らず倒していった。
1時間がたった頃、ロックキャンプにスライムの姿はなくなり、無人の村に戻っている。
「あー、ギルド長、ロックキャンプ取り戻したぜ」
ガーベラが魔法の通信手段でアンリエッタと通信を取り、頭の中で会話しているようだ。
どうやらその後、デルタ王国から兵士をこちらに派遣してくれるらしい。俺達にはそのまま先へ進んで欲しいとの事。
そして俺達がロックキャンプを出る準備をしていると、出口のほうから白い軍服を着た少年が歩いて来た。
(見た事ない軍服だな、なんだ…あの少年は?)
不思議な少年だった…
人間の姿なのに人間とは思えない、そんな感じがした。
「あれってアルパピオス王国の軍隊の軍服よね?」
「ああ、間違いない…なにやらあのガキ、俺らに敵意を持ってるみたいだが…」
「可愛い~、ねぇ、あの子、捕まえて犯しちゃう?」
「やめなよロジー、冗談言ってる場合じゃないかもよ?」
マリンとガーベラが話していると、ロジーにリリーが注意した。
向かってくるのは白い軍服、背中には大きな剣を背負い、単発ショートな髪型の少年。
約50メートルぐらいのところまで歩いて来た地点で止まり、こちらに自己紹介をした。
「はじめまして、僕は魔導騎士イチタって言います。僕の子供達を皆殺しにした皆さんには今から死んで貰いますね」
気の弱そうな少年だが、彼は怒り、体が小刻みに震えている。そして彼は突然姿を消した。
「消えた!?」
「いや、動きが早いだけです!気を付けて下さい!」
消えた少年がリリーの前に現れて表情の無い顔のまま、リリーに斬りかかる。
「「リリー!!」」
彼女の体は肩から腰にかけて真正面から切り付けられ一撃で戦闘不能にされてしまった。
これにはマリンもユウトも驚いて目の前の少年イチタに警戒してデュランダルを引き抜いた。
「マリン、リリー様の回復を頼む、俺はこいつと戦ってるから回復したら来てくれ!」
「わかったわユウト!リリーさん傷口を見せて!」
「う…ううううっ…痛い…」
傷口は深く、かなり危険な状態だった。
この世界のリリーはレベル1840もあるトップクラスの実力者。
にもかかわらずこれほどの深手を負うと言う事はあの少年も只者ではない。
正直先ほどのデザート・アジールの部下よりも危険度は上のように感じた。
「次に一番多く殺したのはお前だ!絶対に許さない!」
イチタはロジーの目の前に現れると、後ろから斬り付けようとする。
「させないわ!アクアフィールド!!」
マリンが水のバリアを張り、イチタの斬撃を跳ね飛ばした。
「なんだこれ、水に跳ね返されて入れない!!」
「何がそんなに憎いかしらないが、お前の相手は俺だよ、クソガキ!!」
「ふざけるな!!よくもっ!よくも!僕の子供達を…!」
水のバリアを必死に破ろうとしているイチタに俺が斬りかかる。
剣と剣がぶつかり合い、火柱が飛び散り金属音を鳴り響かせながら交差する。
イチタは「子供達」と言うが俺や他のメンバーには意味がわからず、彼の言ってる事がわからなかった。
「子供達だと?いったいそれはどういう…!」
「僕が生んだんだ!お腹に卵を産み付けて貰って僕が!!それをよくも!よくも皆殺しにしてくれたなぁぁぁあ!!!」
「なんだって!?お前が生んだのか??」
「許さない!絶対に許さないぞ!!」
イチタの体が消えたと思うと、彼は俺の後ろから現れ、斬りかかって来た。
(このガキ、早い…そして強い、いったい、こちらの世界でどれだけ修行すればここまで)
「お前に恨みは無いが、このまま攻撃を続けるなら、死ぬ事になるけど、いいのか?」
「うるさい黙れ!僕とスライム様の大切な子を殺したお前等を僕は許さない!」
「覚悟は出来ているんだな…なら…」
俺はデュランダルを肩に乗せ、大型の銃を構え狙い撃つような姿勢になる。
「スライムに洗脳された子供を殺すのは気が進まないが、仕方ない…「棘の砲弾ソーン」」
剣の先から棘の砲弾が発射され、それは虹色の光に包まれたまま回転し、彼を追尾する。
「当たりませんよ!」
彼は物凄い速度で走り抜けてその砲弾を交わし、彼の剣で斬撃をぶつけて爆発させた。
俺は自分の攻撃を防がれた事に驚いて、彼に斬りかかるものの、逆に後ろを取られ背中から斬り付けられる。
「ぐあぁあぁあああああああっ!!!」
ダメージを負ったのは久々の感覚だった、背中が熱い…かなり深く切りつけられた気がする。
後ろを振り返るが彼はおらず、見ると頭上を飛んで、空の上に彼はいた。
その状態からまるで逆立ちするかのように剣を下に向け、回転しながらこちらに落ちてくる。
「なんだその動きは…めちゃくちゃ強ぇじゃねぇかクソガキめ!」
「僕は魔導騎士イチタです、ガキではありません!」
彼は上空100メートルぐらいから回転し、するとハリケーンのような風が巻き起こる。
そしてその風はやがて、周りを切り刻むほどの斬撃に変わる、まるで空飛ぶ巨大なミキサーだ。
ユウトの体は完全にその攻撃に巻き込まれ、手足が切り付けられ身動きがとれなくなる。
「そこだ!「ブルード・スプラッシュ!!」」
彼の体はミキサーのように高速回転したまま、俺の頭めがけて突っ込んでくる。
その攻撃範囲に入っていた俺は、体が細切れにされて、その場で死んでしまい。肉片が散らばった。
「「ユウト!!」」
ガーベラとロジーが叫ぶがマリンが手で止める。
ユウトの肉片は消滅し、魔力が続く限り復活出来るスキルにより生き返る。
スキルにより別の場所で復活し、そして立ちあがった。
「なるほど、不死身のスキル持ちですか。僕の側にもそういう人が何人かいますよ。」
アジールやデザートの使う一撃必殺系の技であれば俺でも食らえば死ぬのだが、現時点ではこの少年はそういう技は使って来ていない。
イチタは起き上がる俺を見て固まっていたが、周りにもそういう奴がいるのかそれほど驚いてはいなかった。
「そんな…このタイミングで、なんて…」
そして俺が起き上がろうとしていると、彼はなにやら困った表情でそんな事を言うと、通信を受け取った様子で誰かと会話していた。
「え…はい、女王様…でも…よろしいのでしょうか……あ…はい、それでは…すぐに戻ります」
何やら誰かと会話しているようだが、終わるとこちらへ向き直ってイチタが言った。
「僕と女王様の会話中には、攻撃しないんですね」
「はぁ、はぁ、お前には聞きたい事がある、その女王様とは誰だ」
「スライムの女王様ですよ、勇者ユウトさん…僕は次に会う時、あなたを殺します」
「やってみろよ、俺は負けるつもりはないからな!クソガキめ!」
イチタはその場から出口のほうへ走り去り、一瞬光に包まれると、その中で消えた。
おそらくスライムの女王様のところへ帰ったのだろう。
「リリー様、大丈夫ですか!?」
俺は彼女の元に駆け寄るが、マリンの治療で完全に回復していた。
「うん、ばっちり…もう何とも無いよ、マリンありがとう」
水色のスライムの姿になったマリンがリリーの膝の上で頭を撫でられている。
(しかし、胸糞悪いガキだったな、あいつ絶対に捕まえてマゾ教に差し出してやる!)
ユウトはそんな事を思いながら次にあのイチタと剣を交えるのが楽しみになっていた。
炎の神の姿は炎で体が燃え上がった大男、筋肉質で、背中には大きな黒い羽が生えていた。
どうやらマリンはギークを食べた事で炎の神となんらかの繋がりが出来てしまったようだ。
「きゃあ!何よ!どうして私の周りを飛び回ってるの?」
「おい…その声でその話し方は…」
ギークの姿、そして声で女言葉を話すマリンを見て、俺は固まっていた。
「精霊と、同じ扱いじゃないか?」
「何か命じてみれば?マリンちゃん」
「言葉は通じるの?」
ガーベラ達にそう言われ、マリンは目を瞑り心の中でカグツチに命令する。
(カグツチお願い、あの2人をやっつけて!)
そんな丸投げの頼みに、炎の神は頭を下げ、カウスの元に向かっていった。
「大佐!!分断されては奴らの思う壺です!」
「くっ…しかしこれでは…」
炎の神カグツチはまるで刀身が炎のような剣で、カウスに斬りかかり、彼女を空へと追いやっていく。
馬車の前には、ロックドラゴンで先回りしてきたアルタイルが地上に降りて剣を構えている。
「こうなったらマリンは大佐に任せ、まずはこいつらから…」
剣をこちらに向けてくる男を見て俺は馬車を止め、そして降りる。
そして目の前の剣士へと向かい合った。
「俺はギーク軍中佐、アルタイル!小僧!一撃で葬ってやる!」
アルタイルと名乗る男はブルーメタルにコーティングされた光輝く大剣に手をかけている。
「ユウト、後方支援は必要か?」
「いえ、マリンとの訓練の成果、ここで試させて下さい」
ガーベラの申し出を断り、俺は聖剣デュランダルを構える。
アルタイルはその剣を見て怒りの表情を浮かべると、背中の剣を鞘から抜いた。
「それは将軍のデュランダル!という事は貴様がユウトか!おのれ小僧!その剣、今ここで回収させて貰う!」
現在デュランダルは2本ある、1つはミュッドガル・アジールの剣で、もう一つがデザート・アジールの持つ聖剣デュランダルだ。なぜ2つあるのかと言うと、武器屋で調べて貰った結果…デザートのはオリジナルでミュッドガルのは改良型だったそうだ。
「将軍のじゃねぇよ、こっちはその子孫のものだ」
「どちらでも同じだ!死ね小僧!!」
アルタイルによってブルーメタルの大剣が横に斬り裂かれる、50メートルは離れた位置だし、普通に考えれば何もないはずだが、俺は危機感を感じとっさに横へ飛んだ。すると俺の予想通り、斬り裂かれた一撃は離れているにも関わらず、避けた場所の空気が切られたのがわかる。どうやら、場所に関係なく敵に攻撃を当てられる方法はいくつかあるようだ。
「危ねぇ、今避けなかったら斬られてた!」
「ただ斬られるだけで済むと思うのか?小僧!」
もう一度アルタイルが剣を振り下ろす。すると今度は青く光る斬撃が地面を走り、村の岩や地面などをメタルに変えていった。
「うわっ、何だこりゃ、地面がメタルに…これも即死系の技か?」
「当然だ!我等ギーク軍はかつて世界を相手に勝利した天下無敵の軍勢だぞ!」
「それだけ聞くとふざけてるように聞こえるが、大マジだからタチが悪いんだよなぁ…」
地面に走る斬撃を飛び退くように避け、デュランダルを鞘から抜くと剣先を奴に向けた。
そして、マリンとの特訓を思い出しながら、俺は魔力を込める。何をするか理解した相手が、驚いた表情でこちらを見ている。
「その構え…その魔力…将軍の……いや…ありえない、こんな小僧に…使いこなせるわけがない…」
アルタイルは首を振り、そしてこちらに剣を構えた。
「聖剣デュランダルに斬れぬもの無し、桐の太刀筋!「エンプレスツリー」」
俺は聖剣デュランダルをアルタイルめがけて縦に振り下ろした。するとその斬撃が虹色の光と共に地面を走り奴のほうへと向かっていく。その地面を走る虹色の斬撃の速度に奴は避けるのに間に合わなかったようだ。
「くっ!!無理だ、間に合わん!!」
慌ててブルーメタルの大剣で防御しようとするが、その剣にはヒビが入り、真っ二つに割れてしまう。
そしてそのまま斬撃が腕に走り、奴の腕は木へと変化した。その侵食速度には攻撃を放ったユウトですら恐ろしくなってくる。
「ちいっ!!ふざけるな!!!こんな所で中佐である俺が‥あ‥ああああ‥」
アルタイルの体は木に変化し、そしてそのまま、終わりを迎えた。
「まったく、いつ見ても反吐がでる技だな‥」
俺はそんな捨て台詞を吐きながら、敵アルタイルの体が植物化して死亡する姿を見届けて、その場から立ち去った。正直言って、この剣はパンドラの出来事があってからずっと嫌っていて、出来ればあまり使いたくはなかった。
防御不能の攻撃、攻撃力に関しては申し分ないのだが、使うには危険すぎる武器だと自分でも理解している。
マリンのほうはカウスと戦っている炎の神カグツチを眺めていた。
「ちっ!斬っても復活するとは!!流石ギーク様の従える神‥しかし負けるわけには!!」
互角の戦いを繰り広げてるのか、なかなか決着がつかない様子だった。
彼女は金の杖をカグツチに向けると、詠唱も無く水魔法が発動し水を纏った斬撃が彼を襲う。
水の斬撃を受けた彼は真っ二つになるがすぐに復活し、口から炎を吐いていた。
(これじゃ、終わらないわね‥カグツチ戻って)
心の中で命じると、彼に伝わり、その場から姿を消した。
カウスは馬車の上に立つこちらを見下ろし、金の杖を光らせる。
すると魔法が発動し、空中から大量の剣が現れ、それらは高速でこちらに向かって振って来る。
「マリン!!」
「わかってるわ!!!」
マリンは金に輝く扇子を降り、空中にバリアを貼って、上から高速で降り注ぐ剣をすべて弾き落とした。
さらにマリンはギークの持つスキルなのか扇子を突然、弓へと変化させた。
黄金に輝くあれは、40年前に奴が使っていた一撃必殺の弓だ。
「かつてギークが一人で乗り込み、この武器ひとつで9つの国を滅ぼしたそうね!受けてみなさい!」
「あれは…まさか…「神殺しの矢」」
「へぇ、そんな名前だったの」
「ギーク様の姿でそんな話し方をするな!偽者め!!」
カウスはその弓矢を見て脅えているので、どうやら効果は知っているようだ。
引いた矢を離すとそれは消えて、次の瞬間にはカウスの心臓に突き刺さっていた。
「そんな…馬鹿な…こんな…ところで」
彼女の体は木に変化していき、その侵食は、下にいたロックドラゴンにまで影響し、ドラゴンも木に変化して、下へ落ちてくる。
(あああぁあ‥‥‥!!ギーク様、デザート様…お助け……!!)
最後に今は亡き2人に助けを求めながらカウスの体は完全に木に変化をして、地面に落ちてしまった。
「念のため、燃やしといてやるよ「ファイアボール」」
ガーベラが降りてきて、炎初級魔法を発動しカウスとアルタイルの木を燃やしていく。
マリンはギーク・ハザードの姿から元の赤髪の女剣士の姿になり、馬車に戻ってくる。やはりマリンの中では一番最初に食べたミュッドガル帝国裏組織「杭」のメンバーだったこの女の姿がデフォルトのようだ。
俺は外を見渡して、馬車の皆に降りるようドアを開けた。
「もうロックキャンプの中です、生き残りがいるか探しましょう」
「ああそうだな、ユウト、マリン、助かった。ありがとう」
「マゾゴミちぁ‥ううん、ユウトもやる時はやるようね♪ふふふっ」
「確かに、今の人達、僕達だけじゃ倒せるかどうかわからないほど強かったよね」
俺の意見にガーベラ達が頷き、降りてくる。
ロジーにユウトと呼ばれ、ようやく認めてくれたのだろうか。
それからしばらく歩くのだが、家の中に人は誰一人おらず血の跡しかなかった。
不気味な場所だと思いながら歩いていくが、しばらく歩くと青いスライムが数匹いた。
「おい、こいつら襲ってくるぞ!気をつけろ!」
「レベルは1ね‥強い相手じゃないわ」
ガーベラ、ロジー、リリーが剣を取り出して構え、俺も構える。
マリンの分析によるとレベルは1らしい。つまり相手にすらならない雑魚だった。
ロジー、リリーが最低レベルの炎魔法を使い、スライムを焼き殺す。
「マリンは無理しなくていいぞ‥」
「そうよマリン、馬車で休んでいてもいいのよ?」
「うん、僕達だけで対処出来る」
ガーベラ達の気遣いにマリンは横に首を振り、言った。
「ううん、今この世界をめちゃくちゃにしているのがスライムだって言うなら私は戦うわ!それに、元々カジル森林にいた頃から弱肉強食の世界だったもの!別のスライムと命懸けで殺り合う争う事はよくあったわ」
「そうなのか…まあ…そうだよな…それじゃ、マリンも手伝ってくれ」
「ええ、任せて!」
結局その後は5人でロックキャンプを占拠しているスライム達を一匹残らず倒していった。
1時間がたった頃、ロックキャンプにスライムの姿はなくなり、無人の村に戻っている。
「あー、ギルド長、ロックキャンプ取り戻したぜ」
ガーベラが魔法の通信手段でアンリエッタと通信を取り、頭の中で会話しているようだ。
どうやらその後、デルタ王国から兵士をこちらに派遣してくれるらしい。俺達にはそのまま先へ進んで欲しいとの事。
そして俺達がロックキャンプを出る準備をしていると、出口のほうから白い軍服を着た少年が歩いて来た。
(見た事ない軍服だな、なんだ…あの少年は?)
不思議な少年だった…
人間の姿なのに人間とは思えない、そんな感じがした。
「あれってアルパピオス王国の軍隊の軍服よね?」
「ああ、間違いない…なにやらあのガキ、俺らに敵意を持ってるみたいだが…」
「可愛い~、ねぇ、あの子、捕まえて犯しちゃう?」
「やめなよロジー、冗談言ってる場合じゃないかもよ?」
マリンとガーベラが話していると、ロジーにリリーが注意した。
向かってくるのは白い軍服、背中には大きな剣を背負い、単発ショートな髪型の少年。
約50メートルぐらいのところまで歩いて来た地点で止まり、こちらに自己紹介をした。
「はじめまして、僕は魔導騎士イチタって言います。僕の子供達を皆殺しにした皆さんには今から死んで貰いますね」
気の弱そうな少年だが、彼は怒り、体が小刻みに震えている。そして彼は突然姿を消した。
「消えた!?」
「いや、動きが早いだけです!気を付けて下さい!」
消えた少年がリリーの前に現れて表情の無い顔のまま、リリーに斬りかかる。
「「リリー!!」」
彼女の体は肩から腰にかけて真正面から切り付けられ一撃で戦闘不能にされてしまった。
これにはマリンもユウトも驚いて目の前の少年イチタに警戒してデュランダルを引き抜いた。
「マリン、リリー様の回復を頼む、俺はこいつと戦ってるから回復したら来てくれ!」
「わかったわユウト!リリーさん傷口を見せて!」
「う…ううううっ…痛い…」
傷口は深く、かなり危険な状態だった。
この世界のリリーはレベル1840もあるトップクラスの実力者。
にもかかわらずこれほどの深手を負うと言う事はあの少年も只者ではない。
正直先ほどのデザート・アジールの部下よりも危険度は上のように感じた。
「次に一番多く殺したのはお前だ!絶対に許さない!」
イチタはロジーの目の前に現れると、後ろから斬り付けようとする。
「させないわ!アクアフィールド!!」
マリンが水のバリアを張り、イチタの斬撃を跳ね飛ばした。
「なんだこれ、水に跳ね返されて入れない!!」
「何がそんなに憎いかしらないが、お前の相手は俺だよ、クソガキ!!」
「ふざけるな!!よくもっ!よくも!僕の子供達を…!」
水のバリアを必死に破ろうとしているイチタに俺が斬りかかる。
剣と剣がぶつかり合い、火柱が飛び散り金属音を鳴り響かせながら交差する。
イチタは「子供達」と言うが俺や他のメンバーには意味がわからず、彼の言ってる事がわからなかった。
「子供達だと?いったいそれはどういう…!」
「僕が生んだんだ!お腹に卵を産み付けて貰って僕が!!それをよくも!よくも皆殺しにしてくれたなぁぁぁあ!!!」
「なんだって!?お前が生んだのか??」
「許さない!絶対に許さないぞ!!」
イチタの体が消えたと思うと、彼は俺の後ろから現れ、斬りかかって来た。
(このガキ、早い…そして強い、いったい、こちらの世界でどれだけ修行すればここまで)
「お前に恨みは無いが、このまま攻撃を続けるなら、死ぬ事になるけど、いいのか?」
「うるさい黙れ!僕とスライム様の大切な子を殺したお前等を僕は許さない!」
「覚悟は出来ているんだな…なら…」
俺はデュランダルを肩に乗せ、大型の銃を構え狙い撃つような姿勢になる。
「スライムに洗脳された子供を殺すのは気が進まないが、仕方ない…「棘の砲弾ソーン」」
剣の先から棘の砲弾が発射され、それは虹色の光に包まれたまま回転し、彼を追尾する。
「当たりませんよ!」
彼は物凄い速度で走り抜けてその砲弾を交わし、彼の剣で斬撃をぶつけて爆発させた。
俺は自分の攻撃を防がれた事に驚いて、彼に斬りかかるものの、逆に後ろを取られ背中から斬り付けられる。
「ぐあぁあぁあああああああっ!!!」
ダメージを負ったのは久々の感覚だった、背中が熱い…かなり深く切りつけられた気がする。
後ろを振り返るが彼はおらず、見ると頭上を飛んで、空の上に彼はいた。
その状態からまるで逆立ちするかのように剣を下に向け、回転しながらこちらに落ちてくる。
「なんだその動きは…めちゃくちゃ強ぇじゃねぇかクソガキめ!」
「僕は魔導騎士イチタです、ガキではありません!」
彼は上空100メートルぐらいから回転し、するとハリケーンのような風が巻き起こる。
そしてその風はやがて、周りを切り刻むほどの斬撃に変わる、まるで空飛ぶ巨大なミキサーだ。
ユウトの体は完全にその攻撃に巻き込まれ、手足が切り付けられ身動きがとれなくなる。
「そこだ!「ブルード・スプラッシュ!!」」
彼の体はミキサーのように高速回転したまま、俺の頭めがけて突っ込んでくる。
その攻撃範囲に入っていた俺は、体が細切れにされて、その場で死んでしまい。肉片が散らばった。
「「ユウト!!」」
ガーベラとロジーが叫ぶがマリンが手で止める。
ユウトの肉片は消滅し、魔力が続く限り復活出来るスキルにより生き返る。
スキルにより別の場所で復活し、そして立ちあがった。
「なるほど、不死身のスキル持ちですか。僕の側にもそういう人が何人かいますよ。」
アジールやデザートの使う一撃必殺系の技であれば俺でも食らえば死ぬのだが、現時点ではこの少年はそういう技は使って来ていない。
イチタは起き上がる俺を見て固まっていたが、周りにもそういう奴がいるのかそれほど驚いてはいなかった。
「そんな…このタイミングで、なんて…」
そして俺が起き上がろうとしていると、彼はなにやら困った表情でそんな事を言うと、通信を受け取った様子で誰かと会話していた。
「え…はい、女王様…でも…よろしいのでしょうか……あ…はい、それでは…すぐに戻ります」
何やら誰かと会話しているようだが、終わるとこちらへ向き直ってイチタが言った。
「僕と女王様の会話中には、攻撃しないんですね」
「はぁ、はぁ、お前には聞きたい事がある、その女王様とは誰だ」
「スライムの女王様ですよ、勇者ユウトさん…僕は次に会う時、あなたを殺します」
「やってみろよ、俺は負けるつもりはないからな!クソガキめ!」
イチタはその場から出口のほうへ走り去り、一瞬光に包まれると、その中で消えた。
おそらくスライムの女王様のところへ帰ったのだろう。
「リリー様、大丈夫ですか!?」
俺は彼女の元に駆け寄るが、マリンの治療で完全に回復していた。
「うん、ばっちり…もう何とも無いよ、マリンありがとう」
水色のスライムの姿になったマリンがリリーの膝の上で頭を撫でられている。
(しかし、胸糞悪いガキだったな、あいつ絶対に捕まえてマゾ教に差し出してやる!)
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