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ユウト冒険編(エルフの里編)

トラウマ

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───深夜0時───

 先程のディナーがあった会場だが、ステージとライトの効果で怪しい雰囲気に変わっている。

 ユウトは首輪を付けられリードをセネカに持たれていた。
 そしてマイクを持ったセネカが皆に説明を始める。

「今から深夜の調教ショーを始めるわ!」

 客席には美しい女エルフ達ばかりで男エルフはいなかった。

(何ですかここハ、エルフ共はこんな事をやっていたのですカ!)

 すると後ろからパンドラが来て耳元で言った。

「逃げたら殺しますよ♪」

「!?」

 突然の脅しにユウトは凍りついた、そしてセネカが説明を続ける。

 ユウトは慌てて立ち上がろうとするがセネカに靴で踏みつけられてしまう。

(ぐっ、肉体ガ弱すぎル…
これでは逃げるのも不可能でス…せめて少年のスキルがわかれバ…)

 会場から何故か「殺せ」コールが沸き上がり、ユウトは歯軋りをしていた。
 セネカはマイクを持って続ける。

「さあ、彼を調教してみたい子は手元のボタンを押しなさい!
誰にするかは抽選で、番号で呼ぶから!」

 ユウトは暴れるがセネカに強い力で踏まれ身動きが取れない。

「ぎゃあぁぁっ!!!」

 それどころか首輪から電気が流れ体中がブルブル震えだし自由が効かなくやる、ユウトは倒れ苦しそうに呼吸をしていた。

「逆らうとこんな風に高圧電流が流れるわ、だから暴れ出しても大丈夫よ!」

 そしてセネカは足を乗せたままニヤリと笑いマイクを持って続ける。

「今回は殺してもオッケーよ、寧ろ殺しなさい?
好きな方法で何度でも何度でも!
何度でも生き返らせて、死の恐怖を植え付けてやるわよ!
快楽責め、苦痛責め、ただ殺すだけ、今夜は何でもありの家畜調教ショーよ!!!」

「「うおぉぉ!!!」」

 会場は盛り上がりボタンが押されていく、ユウトは真っ青になり震えていた。

(馬鹿ナ、こんな筈でハ…無かったのでス!)

 ボタンが押される音が鳴り止まず、マイクを持ったセネカが答える。

「では51番、前へ!」

 すると金髪サイドアップのドレスを着たエルフ耳が上がってきた。
 見た目は美しいが、ユウトを冷めた表情で見ていた。
 それが何故かとても恐ろしく感じた。

「セネカ様、本当に殺しても良いんですよね?」

「オッケーよ♪
寧ろ殺しなさい、気が済むまで、いくらでも生き返らせてあげるから!」

 すると女がセネカに希望を伝え、近くにいたティファが魔法を発動する。

 すると一瞬で舞台が完成した。

(何ですか今のハ…いつの間二…反応出来なかったのでス!)

 ユウトは立ったまま堅そうな板に縛り付けられ身動きが取れなくなる。

 女エルフを見るともう弓矢を構えユウトの体を狙っていたた。

 そして弓矢が発射されそれは膝に直撃する。

「ぐぁぁぁァァッ!」

 痛い、血が出る、穴が空いてそこから大量の血が…弓矢は完全に膝を貫通し激痛で泣きそうになっていた。

 だと言うのに…

 会場からは拍手が起こり罵声を浴びせられる。

「貴方達!
こんな事をして許されると思っているのですカ!
やりすぎでス!
エルフ族として恥ずかしくないのですカ!
今すぐ止めなさイ!」

 ユウトを演じていたつもりが思わずカッとなり本来の口調が出てしまう。

 すると女エルフは怒った表情になりキレてしまった。

「戦場ではよくも彼を殺してくれたわね!この屑がぁぁ!」

 女エルフは弓矢を連射して両腕、両脚を貫いた。
 さらに脇腹や肩も狙って弓矢で撃ち抜く。

「うああああああぁぁぁぁぁぁァァァァッ!!!」

「アハハハッ!!
死ね!ゴミ屑野郎!」

 ユウト、いやパールグレイが口から血を吐きながら叫んでいる。

(まさカ…会場の皆全員にバレていたとハ…なんといウ…
もはや、逃げるしカ…)

 会場からはパールグレイを見て嘲笑うような笑い声が聞こえて来る。

「痛いか?弓矢は!
ほら謝れ、パールグレイ!
謝るまで絶対に許さないわよ!」

「ぐあぁッ!!
そもそモ…何故私ガ貴方達に謝らねばならないのですかァァッ!!
この裏切り者どもがあァァッ!!」

 女の狙う弓矢はついにパールグレイの頭を狙う。

「お願いでス…
それだけハ…やめて下さイ…
謝りまス…だから…どうか死だけは…」

「アハハハッ!!
許すわけ無いじゃん!
もう手遅れよゴミがぁ!!」

 ブシュウゥゥッ!!

 脳を貫通し頭から血飛沫をあげながら、ユウトとパールグレイは同時に死亡してしまう。

「さぁ、乱入もオッケーよ!
いま参加したい者はボタンを押しなさい!」

 セネカがマイクを持って言うとまたボタンが押され始める。

 そこにヘカテーが現れスキルを使ってユウトを一瞬で生き返らせた。

「はぁ…はぁ…アアアア…
ワイトの時の肉体と違い痛みがあるのでス。
トラウマになる程の痛ミ…」

「さあ、第2ラウンドですよパールグレイ」

 ヘカテーがそう言って離れていく。

 舞台に先程とは別の黒髪ショートの女エルフが上がってきた。

「あんた、さっき裏切り者がとか言ってたけどさ…
誰がお前みたいな屑と一緒に人間と敵対するかっつーの!
そもそもメリットがねぇよ!」

 ボコッ、ドカッ!!

 突然顔を力一杯殴られる、それは凄い威力でパールグレイの顔が血だらけになった。

「ぎゃああァァッ!!
痛イ!痛イ!血が!血がァァッ!
顔ガ腫れて、出血していくのでス!」

 パールグレイは棘のあるグローブで顔面が腫れ上がるまで殴られている、痛くて痛くてパールグレイは涙を流してしまう。

(くっ、苦しいでス、これほどの痛みとハ…
もウ…勘弁して欲しいのでス!)

 続けて3人目のエルフがセネカに選ばれステージに乱入する。

 水色髪ロングな女だがパールグレイに怨みがあるのか物凄く怒っていた。

 その女エルフに肩を弓矢で撃ち抜かれユウトは血をボタボタと垂れ流す。

「あははっ♪
良い悲鳴ねパールグレイ!
人間の体は痛い!?
ねえ苦しい??
私の夫はもっと苦しかったわよ!!」

 ブシュッ!!

 彼女に放たれた弓矢がパールグレイの腹に何本も刺さり激痛に涙する。

「もう止めて下さイ!貴方達は魔王軍よりも残虐で恐ろしいでス…!
もう戦いを挑んだりしませんかラ…だかラ、殺すのだけハ、勘弁して欲しいのでス…」

 ステージに上がった3人のエルフ達に弓矢を放たれている。

「うるさいわね!
さっさと死になさい!」
「顔面撃ち抜いてやるわ!」
「あっはっはっはっ!!」

 弓矢が一斉にパールグレイの顔に向かって放たれ、それは刺さり、頭を貫通して血を垂らしながら二度目の死を経験する。


 そして目が覚める。

 見るとやはり、サキュバスのヘカテーがいた。

「アアアア…!!
もう許して欲しいのでス!
お願いでス!
解放して下さイ!」

 すると会場が爆笑の渦に包まれる、さらにヘカテーも笑っていた。

 ノってきたセネカがマイクを持ち話し始める。

「あらパールグレイ、もしかして怖いの?
エルフの武器が、弓矢がトラウマにでもなっちゃった?」

「なりましタ、もうエルフ族には関わりませんかラ、解放して下さイ…
お願いしまス…」

「あはははっ♪
何よアンタ!情けないわねぇ♪
でも終わらせてあげな~い☆
アンタは死の恐怖を彼女達の気が済むまで味あわなきゃいけないのよ?
それだけの事を貴方は今までしてきたの、わかる?」

 髪の毛を捕まれ、パールグレイはセネカに頬を殴られる。

 頑丈な板に縛り付けられた状態で今も身動きが取れなかった。

 パールグレイは弓矢で全身を撃ち抜かれるトラウマと恐怖で体がガクガク震えている。

 それを離れた客席でパンドラやヴィクトリアが見ていた。

「お母さん、パールグレイはワイトの体から人間の体に移る事で、恐怖を感じるようになったの?」

「そうだとも、
彼にワイトの時には無かった「感情」が芽生えている…
「恐怖」というボク達が大好きな感情がね…♡」

 確かに彼は涙を流しながら震えていた。

 すると次の参加者が番号で呼ばれ上がってくる。

「ふむふむ、貴方の希望は…」

 セネカが希望を聞くとパールグレイは一度、板から開放されるが、なにやら天井から手錠付きの鎖が降りてくる。

 パールグレイはその手錠を嵌められ、両腕を真上にあげた状態で動けなくなっていた。

 次に上がってきたのはピンク髪ツインテールの可愛いエルフだった。

 しかし彼女の表情は口の端がつり上がり狂気に満ちている。

「お前!よくもお父さんをあんな体にしたな!?絶対に許さないんだから!!
金玉潰してやるわ!」

 彼女は黒いブーツでパールグレイの金玉を思いっきり蹴り上げる。

「ぐうぅゥッ!!
何をいきなリ…お腹ガ…痛いのでス!!」

「知らないわよ!
さっさと潰れなさい!
ほらっ!ほらぁっ!」

 パールグレイは内股になり金玉を隠し防御する。
 しかし無理矢理、足を広げられて、睾丸を何度も蹴り上げられる。

「ああァァッ!
痛イ、苦イ、気持ち悪イのでス!」

 やがてブーツで玉袋が切れてしまい、少し血が出ていた。

「やめて下さイ…
うっ…おえェ…ゲェ…」

「何吐きそうになってんのよ!
ねぇ、握りつぶしてあげましょうか?
ほらっ!!!」

「ぎゃあああああああああああァァァァッ!」

 ブチュッと音を立てて、パールグレイは本当に金玉を握りつぶされてしまった。

 ショック死しそうだった…

 頭の中がパニックになりガクガク震える。

「うっわぁ、パールグレイの金玉、とうとう潰れちゃったねぇ♪
女の子になった気分はどう?パールグレイ」

「はぁ…はぁ…はぁ」

 パールグレイは気分が悪くなり、しばらく喋れなくなっていた。痛みも凄まじい。

 そして命乞いをするかの表情でヘカテーの方を見て言った。

「ヘカテー様…助けて下さイ…お願いでス…」

 パールグレイはヘカテーに助けを求めるが、ヘカテーが歩いてきた。

「まったく…ワタクシに助けを求めるなんて…生き返らせてあげてるから、何か勘違いしたのでしょうか?」

「な…??
うわあぁぁぁァァッ!!
手足が灰に?!
ぎゃああああぁぁぁぁぁァァッ!!」

 パールグレイの体が腕や脚から灰になり、溶けていく、悲鳴を上げながら首から上だけになりやがて完全な灰になった。

 そしてヘカテーはユウトの体のパールグレイを蘇生させる。

「はぁ、はぁ、はぁ、今のが昔話に登場する灰にされるスキルですカ、なんと恐ろしイ…」

 会場からは次の参加者が番号で呼ばれるが、それは赤髪ロングのマリンだった。

「次は…ユウトくんのペットですカ…
何故貴方ガ…?もしやそういう関係だったのですカ?」

「ふふふっ、ユウトの味、一度味わってみたかったのよね♪」

 パールグレイの話など聞いちゃいないマリンがスライムの姿になり、大きくなって体を包み込んでいく。

「うぶぶぶ…ぐあああァァッ!
いきなり何ヲ!
窒息死すル、窒息するのでス…
止めなさイ!止メ!!」

「ふふっ…もう逃げられないわよ♪
ユウトは私の中で溶かされて私とひとつになるの♪
能力もレベルもスキルも全部奪って吸い尽くしてあげる…♡
マゾなんだからそれでも嬉しいんでしょ?」

「嫌…放して下さイ…腕が痛い、熱い、溶けてまス…
ウアァァァァ!!」

 透けた青いスライムの中で溶けていくパールグレイの姿が会場で丸見えだった。

「可愛いわユウト♪
やっぱり中身は違ってもその脅える表情は変わらないわ、ゆっくりと時間をかけて溶かしてあげるね♪
もし復活しても弱くなっていたら、私が守ってあげるから安心して?」

 その苦しみながら溶けていくパールグレイの姿に拍手が沸き起こった。

「あぁ…大変、
あれはちょっと蘇生に時間がかかるわ…セネカ、休憩時間を作って?」

「オッケーよ、パールグレイが生き返るまでいったん休憩ね♪」

 マリンの中で跡形もなく溶けてしまったパールグレイを見て、ヘカテーが不安そうに言った。

 そして20分が経過した頃、ユウトの体はようやく蘇生される。
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