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ユウト調教編

勝利の晩餐

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 女帝マーガレットの統治する国、ミュッドガル帝国。

 その宮殿内。

 テーブルを囲むのはサキュバスの女帝マーガレットに、ユウト含むマーガレットの騎士達。

 更に新メンバーのリリスにベルフェゴールがテーブルに座って夕食を取っていた。

「下僕、デルタ王国でかなり活躍したそうですね」

「はい、パッシマンさん…は悪魔塔B1塔なので今はいないですが、彼とアネモネ様と3人で協力して戦い、何とかディアボロスの軍を倒せました。
お礼には国王様から金貨を頂きましたが、国王様も一度マーガレット様に会ってみたいと言っていましたよ」

「よくやったわユウト、デルタ王国は遠いけれど、出来れば友好関係を結んでおきたいし。
後々良い結果に結び付くと思うわ。」

 珍しくパンドラやマーガレットに褒められ嬉しくなった。するとアネモネが口を開いた。

「ただその後、マゾゴミだけマゾ教に連れて行かれてこっちはちょっとしたパニックだったけどな」

「はい…申し訳ございません…
あと確か、帰る時こんなの頂きました」

 ユウトはマゾ教でミリーに貰ったベータ会員用のカードを見せた。するとパンドラが反応した。

「まあ、下僕もマゾ教の会員として正式に認められたのですか。
そのカードはベータ会員の中でも一番優遇される特典付きのですね。
やるじゃないですか、これであなたもマゾ教の信者ですね、くすくすっ♪」

「え?カードにランクとかあるんですか?」

「ええ、それがあれば食堂もプレイルームも格安で利用できます。
まあ、このアルファ会員用のマスターカードには及びませんが。」

 パンドラが虹色っぽい色のカードを取り出して見せてきた、凄く輝いていた。

「凄い!
アルファ会員用のカード初めて見ました!」

「これは幹部、司祭、調教師のみが持つことが許されるカードで、食堂も宿泊も無料、それ以外も特典だらけです」

「つまりカードさえあればこちらから行っても歓迎されるんですか?」

「ええ、その通り」

「畜生!
ユウト羨ましいぞ!
私が…羨ましくてどれだけ妄想したと思っているんだ!次は絶対に私を一緒に連れていけ!」

「ベルフェゴール、いいやマゾゴミ2号でいいか…
マゾ教には参加資格がいるらしいぞ?
ボクやパッシマンは資格が無かったのだとさ、残念だけど」

「何ですと??」

 パンドラとユウトが話しているとベルフェゴールが嫉妬し、アネモネにからかわれた。

「あのなベルフェゴール、マゾ教ってのは凄く恐ろしいところなんだぞ?」

「罪が重すぎると拉致されて死刑囚殺戮ショーに参加させられて死刑ですからね♪
くすくすっ♪」

「はい、魔王軍なんかよりよっぽど恐ろしい組織だと思いました。
日常で悪さをすれば拉致されて罪の告白をさせられ罰を与えられるなんて…」

 俺とパンドラが「死刑囚殺戮ショー」の話題を出すとベルフェゴールでも流石に怖がっていた。すると俺の話を聞いたマーガレットが興味を持ったようだ。

「あら、それって駄目な人間の教育にもすごく使えそうね、治安維持にも繋がりそう♪
ミュッドガル帝国にも導入出来ないかしら?
デルタ王国が本部なら支部とか作って来て貰うとか…」

(え?何を言い出すんだこの女帝は…)

 俺が驚いて言葉を失っていると何故かパンドラまでその話に乗ってきた。 

「私も似たような事は考えてました、マーガレット様が良ければお母さ…大司教に相談してみますよ」

「ええ、お願いね♪」

(いや…いやいや、駄目だろ…)

 ユウトはびっくりして慌てていた。

「いや…やめてください、俺怖くて毎日寝られなくなりそうです。」

 パンドラとマーガレットが盛り上がっているとユウトが凄く嫌がって答えた。

「ところで下僕、マゾ教ではどんな罪で三日間の禁固刑地獄巡りになったのですか?」

 聞かれて俺はアネモネのほうを見てしまいすぐに目をそらした、すると彼女は意地悪そうな顔で答えた。

「どうやらボクにストレスが貯まり、トイレの中でボクを犯す妄想をして自慰をしていたらしいですよ」

「ごめんなさい、反省してます。」

「現実で無理だったから妄想の中で犯そうとするとは…いけません、あの時の事を思い出し笑いが込み上げて来ました。
あはははははっ♪」

 パンドラに大爆笑され悔しかったが本当の事なので何も言い返せなかった。
そしてセネカに言われた「エルフの里」の話をした。

「エルフの里に行くなら次の旅は私も同行する事になるわね、メンバーはどうしようかしら?」

「マーガレット様の身はこのベルフェゴールが命に代えても守りますよ」

「私も同行させて下さい、セネカなら私とも顔見知りなので下僕よりは話が通じると思いますよ?」

「あと、俺と…マリンも行くか?」

「私も行くわ!最近ユウトばっかり活躍してずるいもの!」

 マーガレットの話にベルフェゴールとパンドラとユウトとマリンが同行を希望していた。

「そうね、今度の旅はユウト、マリン、ベルフェゴール、パンドラと私の5人で行きましょうか。
留守中はアネモネ、リリス、アイリス、ローズマリー、ルピナス、カトレアに任せます。
よろしいかしら?」

「「はい!」」

 返事が重なった、留守中の事はアネモネやパンドラ騎士団がいればなんとかなるだろう。

 マーガレットもなにやらエルフの里に行くのを楽しみにしていた。

 そして夕食は終わった。



━━マゾ教内、ある会議室…

 そこには、同じ顔の同じ服を着た存在が10人テーブルを囲んで座っていた。

 見た目は魔女のような黒と赤のゴスロリ服を着ていて、金髪前下がりぱっつんボブな髪型の美女が10名座っている。

 まるですべて同一人物だ。

「1ヶ月後のボク、何か変わった事は?」

「そうだなぁ…あ、3日前のボクに言いたいことがあったんだった。
明日の午後19時14分に柿の絵をティファが落として割るから注意しておいて」

「わかったよ、まったくドジな奴だなぁティファは」

 大きな椅子で紅茶を飲みながら、同じ顔、同じ姿の10人が会話している。

 そこに紅茶を継ぎ足しにメイド服姿の美しいサキュバスが歩いて来て口を開いた。

「まぁ、鬼畜外道なヴィクトルがこんなにいっぱい…
この世の終わりみたいな光景ですね、ここは地獄よりも恐ろしい場所です。」

「うるさいな半年後のヘカテー、ちょっと未来から来たからって調子に乗るんじゃないぞ」

「そうだぞ、こういう場所だから実体化を許可してやってるのを忘れるな」

 メイド服のヘカテーに絡まれて彼女達いや、彼らは怒っていた。

「ワタクシは貴方達より半年後の存在、つまり貴方達よりも未来を知っています。
口の聞き方には気をつけなさい、鬼畜外道なご主人様方。」

「生意気だな、会議の席じゃなければすぐにでもぶち犯してるんだが」

「それで半年後のボク、ケイン以降面白い奴らは来たかい?」

 すると議長を努める半年後のボクとやらが口の端を釣り上げて笑いながら言った。

「そういうのは言わない方が楽しみが増すと思うんだが、どうかな?それか多数決にするかい?ネタバレを聞きたい者は手を挙げて?」

 すると9人が手を挙げた。

「ふふふ…流石ボクだ、待ちきれないと?
だったら仕方がない…全部話すとしよう」

「是非聞かせてくれ」
「待ちきれなくてヘカテーを襲ってしまいそうだ」

「ふざけないで下さいこの鬼畜外道が!」

 ヘカテーは減ったティーカップに紅茶を注ぎながら怒っていた。

「以前カリス大国のマゾ教に聞いたんだが、大将だったパンドラを国外追放に追い込んだ上層部の奴らが居ただろう?
彼らね、実は魔王軍に侵略された後、自分達だけ脱出に成功して逃げ出していたんだよ」

 それを聞いた一人が目を輝かせながら聞いた。

「まさか、そいつらが捕まり運ばれて来たと?」

「ああ、その通りだ…しかもその中に父親と息子も何組かいる。」

「「おぉ!!」」

 全員同じ声の歓声が上がる。そして意地悪そうな笑みに変わった。

「ふふふ…でだ、実は今からどう料理しようか悩んでいるんだよ…是非君達の意見を聞きたい」

 そうして様々な時間軸から来た10人のヴィクトリア・スカーレット達の不気味な会議が始まった。
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