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ストーリー
黒姫流抜刀術「賽子」
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「クックックックッ…いったいどうなってやがる、この状況は」
(学校のグラウンドに二刀流の刀を持った赤い着物のお姫様…
それに立ち向かうはガキ、コスプレ女、金髪ギャル、野郎、コスプレ女、この五人で映画の撮影でも始めんのか…?)
四階の廊下の窓から彼らを見下ろしていたのはガスマスクを付け、フードを被り、PCを持った青年。
殺人実況の配信者として有名な「グレイト」はこの面白い状況を撮影しようと離れた位置からPCカメラを向けていた。
──数時間前──
「今日は一人暮らしの女性の家に押し掛けて殺っちゃうぜ?
準備は良いかお前等!」
PCの前に現れるフードとガスマスクの彼は実況を開始した。
するとコメント欄には彼のファンが集まってくる。
世の中とは不思議なものでこんな殺人鬼にもファンが一定数いるのだ。
当然彼のアカウントなど取ろうものなら、どんな配信サイトも即BANになるのだが…
彼の放送は、いったいどうやっているのか別配信者の放送を電波ジャックして現れるためどうにも出来ないらしい。
おまけに配信場所を探り警察官が捜索しても見つけられた事はないそうだ。
「待ってたぜグレイト」
「お前の配信が楽しみで仕方がなかった!」
「今日も俺達に最高のショーを見せてくれ!」
「グレイト応援してるぜ!」
などと言った、応援コメントが流れてくる。
当然彼を批判するコメントも流れてくるのだが何故か応援コメントのほうが多数で、彼の放送は盛り上がってしまうのだった。
ここは、とあるマンションの一階、自転車やバイク、車が並んだ場所だった。
「あー、これから乗り込むんだけどさ、その前に、コレェ、うぜぇからぶっ壊すわ!」
リュックサックから超巨大な金属製のハンマーを取り出し、配信画面に映し出す。
「でけぇw」
「そのリュックサック、どうなってんのw」
「どんだけ怪力なんだよw」
「いいぞ、やっちまえ!」
そんな持ち主からすればたまったものではない酷いコメントばかりが流れてくる。
彼は自転車、バイク、車をハンマーで叩き壊し、その叩き壊す音はマンションの一階で鳴り響いていた。
その時…
「おい!何やってる!警察呼ぶからそこを動くな!」
スーツを着た仕事帰りっぽい初老の男がやってきて、ハンマーで他人の乗り物を叩き壊す青年を見ながら電話をかけ始める。
しかし…
「このハゲ、うぜぇんでぶっ殺しまーすっ☆」
言うと彼は、自分の体の上半身ぐらいの大きさの金属ハンマーを、男の顔面めがけて思いっきり叩きつけた。
「ぶ…!??」
ハンマーで殴られた男は反応すら出来ずパーンと大きな破裂音が鳴り響き、倒れて動かなくなってしまった。
顔は裂けて、ハンマーに潰されグチャグチャになっている。
その死体を見て、彼は腹を抱えて笑っていたのだった。
「最高だ!グレイト!」
「やれば出来るじゃねぇか!」
「もっと!もっと楽しませてくれ!」
「もっと見せてくれ!お前の殺人を!」
腹を抱えて笑う彼にコメント欄の者達は批判するどころか楽しんでいて、常識的に考えればアウトなコメントが流れ続けている。
「オーケーおめぇら、軽いウォーミングアップも済んだことだし本編行くか!
さあていよいよお待ちかね、美人のねーちゃん解体ショーだ!」
殺人実況配信者は、目的の女性の部屋に不法侵入すると、脅えて泣き叫ぶ彼女を滅多刺しにした後、レイプし、そしてその状況を配信した。
コメント欄は彼に感謝するものだけが並ぶ異様な雰囲気になり、そしてその日の配信、電波ジャックは終了した。
「そこを動くな!」
部屋の入り口から警察官が入ってくる。
警察官数人は銃を抜き、彼に向けていた。
もし彼が普通の人間であれば、これで逮捕されて終わりだろう。
だが…彼に限っては常識が通用しなかった。
「あ…あれ??」
「消えた??」
「そんなわけがあるか!探せ!」
彼は突然いなくなった。
殺人実況者グレイトを探すのだが見つからなかったのだ。
それもそのはずで、何故なら彼は特殊な能力を使っていた。
実は彼の能力は透明化であり、自らの姿を隠すことが出来る。おまけに透明になることで無機物を貫通する事が出来る。
いわゆる透明人間の彼は、透明になったまま隣の部屋に壁を貫通して移動し、警察官から逃れることに成功する。
今まで彼はこの手口で、一度たりとも捕まった事はなかったのだった。
「へっ、チョロいぜ」
隣の部屋で冷蔵庫の中身を食べ、飲み物を飲み干しながら彼は笑い続けていたのだった。
彼は自分の気に入らない対象をすべて、殺人実況で生中継で殺害することを楽しみとするサイコパスだった。
その後、寝床を探し小学校の教室で机を並べ、その上で透明になり睡眠を取っていた。
しかし、ぐっすり寝ていたにもかかわらす、夜中の0時頃にグラウンドの騒がしさに目が覚めた。
「なんだようるっせぇな…悪ガキか?あんまりうるさくするなら殺るぞ?」
しかしよくみると違う、まるで彼の目には奴らがコスプレ集団に移っていた。
「うっはwなんだありゃw配信するしかねぇだろw」
そして今に至る──
グレイトはPCのカメラを向けて、グラウンドの着物を着た女と、他五人に向けて撮影を開始した。
「グレイトです、深夜の○○小学校でバカ共が戦ってるので配信しまーす☆」
コメント欄が盛り上がり、彼に期待するコメントが増え始める。
「なんだなんだ?」
「俺近くだし行こうか?」
「近所だわw今そんな事になってんのかw」
「運動場で夜中にバトルとか、どんな奴らだよw」
コメント欄に彼のファンが集まって、実況にコメントを残し反応が増えていく。
「多分あの刀持ってる奴が悪役で、五人が勇者かなんかだろw
お前等の中で勇者希望者がいたら誰か行って参加してこい(笑)」
冗談ぽく言う彼に、コメント欄では「任せとけ」「今から参加してくる」「あの美人なねーちゃんに敗北したい」などとふざけたコメントが流れ出す。
グレイトは彼らの姿を撮影し、そして薄笑いを浮かべていた。
二刀流の着物を着た女は、彼らのほうへ近付くと怪しく微笑みながら言った。
「そういえば、自己紹介がまだじゃったのぅ♪
童(わっぱ)共、妾の名は「黒姫」ギーク王国の女王じゃ」
しかし女王という部分にシオンは目を見開き、彼女に向かって言った。
「馬鹿な、ギーク王国のトップはギーク・ハザードのはず…黒姫などという女は歴史書に残されていない」
「ほぅ、魔女の娘、その名を知っておると言う事は…やはり貴様は未来から来ておるのか…
で?ギーク・ハザードの名は誰が受け継いだのじゃ??」
「受け継ぐ…?あの白塗りの奴がギーク・ハザードではないのか?」
「おっと、喋り過ぎたようじゃ…しかし白塗りと…ふむ、もしや奴の事か…?」
黒姫は勝手に納得すると、何故か背を向けて、学校の校舎四階辺りを眺めていた。
「な…何をする、貴様」
「ネズミめ…妾の姿を世に配信するとは…」
シオンが驚いていると黒姫は校舎に視線を写す。
「まったく助平がいたものじゃ…妾の美貌を世に配信するとは…その不敬な行い、万死に値する!
「黒姫流抜刀術!賽子!」」
黒姫が刀の一本を鞘から抜くと斬撃が飛んでいき、それは六階建ての校舎に直撃した。
「なんだあれは!校舎に升状の亀裂が…」
翔太が驚いていると、校舎がサイコロのように切れてしまいポロポロと零れるように落ちていく。
翔太、シオン、咲、健一、ミサは驚愕の表情を浮かべ、目の前の黒姫に勝てるかもと言う自信が無くなっていた。
「さて、死んだかのぅ…まぁ…あんな小物…どちらでもよいか…」
しかし、シオンは今ので戦意喪失し、ホウキを下に置き、震えていた。
「む…無理だ…私達の力では…彼女には…絶対に勝てない…」
校舎はサイコロ状になって下に落ちた後、更に砂のように溶けて消えていった。
(学校のグラウンドに二刀流の刀を持った赤い着物のお姫様…
それに立ち向かうはガキ、コスプレ女、金髪ギャル、野郎、コスプレ女、この五人で映画の撮影でも始めんのか…?)
四階の廊下の窓から彼らを見下ろしていたのはガスマスクを付け、フードを被り、PCを持った青年。
殺人実況の配信者として有名な「グレイト」はこの面白い状況を撮影しようと離れた位置からPCカメラを向けていた。
──数時間前──
「今日は一人暮らしの女性の家に押し掛けて殺っちゃうぜ?
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当然彼のアカウントなど取ろうものなら、どんな配信サイトも即BANになるのだが…
彼の放送は、いったいどうやっているのか別配信者の放送を電波ジャックして現れるためどうにも出来ないらしい。
おまけに配信場所を探り警察官が捜索しても見つけられた事はないそうだ。
「待ってたぜグレイト」
「お前の配信が楽しみで仕方がなかった!」
「今日も俺達に最高のショーを見せてくれ!」
「グレイト応援してるぜ!」
などと言った、応援コメントが流れてくる。
当然彼を批判するコメントも流れてくるのだが何故か応援コメントのほうが多数で、彼の放送は盛り上がってしまうのだった。
ここは、とあるマンションの一階、自転車やバイク、車が並んだ場所だった。
「あー、これから乗り込むんだけどさ、その前に、コレェ、うぜぇからぶっ壊すわ!」
リュックサックから超巨大な金属製のハンマーを取り出し、配信画面に映し出す。
「でけぇw」
「そのリュックサック、どうなってんのw」
「どんだけ怪力なんだよw」
「いいぞ、やっちまえ!」
そんな持ち主からすればたまったものではない酷いコメントばかりが流れてくる。
彼は自転車、バイク、車をハンマーで叩き壊し、その叩き壊す音はマンションの一階で鳴り響いていた。
その時…
「おい!何やってる!警察呼ぶからそこを動くな!」
スーツを着た仕事帰りっぽい初老の男がやってきて、ハンマーで他人の乗り物を叩き壊す青年を見ながら電話をかけ始める。
しかし…
「このハゲ、うぜぇんでぶっ殺しまーすっ☆」
言うと彼は、自分の体の上半身ぐらいの大きさの金属ハンマーを、男の顔面めがけて思いっきり叩きつけた。
「ぶ…!??」
ハンマーで殴られた男は反応すら出来ずパーンと大きな破裂音が鳴り響き、倒れて動かなくなってしまった。
顔は裂けて、ハンマーに潰されグチャグチャになっている。
その死体を見て、彼は腹を抱えて笑っていたのだった。
「最高だ!グレイト!」
「やれば出来るじゃねぇか!」
「もっと!もっと楽しませてくれ!」
「もっと見せてくれ!お前の殺人を!」
腹を抱えて笑う彼にコメント欄の者達は批判するどころか楽しんでいて、常識的に考えればアウトなコメントが流れ続けている。
「オーケーおめぇら、軽いウォーミングアップも済んだことだし本編行くか!
さあていよいよお待ちかね、美人のねーちゃん解体ショーだ!」
殺人実況配信者は、目的の女性の部屋に不法侵入すると、脅えて泣き叫ぶ彼女を滅多刺しにした後、レイプし、そしてその状況を配信した。
コメント欄は彼に感謝するものだけが並ぶ異様な雰囲気になり、そしてその日の配信、電波ジャックは終了した。
「そこを動くな!」
部屋の入り口から警察官が入ってくる。
警察官数人は銃を抜き、彼に向けていた。
もし彼が普通の人間であれば、これで逮捕されて終わりだろう。
だが…彼に限っては常識が通用しなかった。
「あ…あれ??」
「消えた??」
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彼は突然いなくなった。
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それもそのはずで、何故なら彼は特殊な能力を使っていた。
実は彼の能力は透明化であり、自らの姿を隠すことが出来る。おまけに透明になることで無機物を貫通する事が出来る。
いわゆる透明人間の彼は、透明になったまま隣の部屋に壁を貫通して移動し、警察官から逃れることに成功する。
今まで彼はこの手口で、一度たりとも捕まった事はなかったのだった。
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隣の部屋で冷蔵庫の中身を食べ、飲み物を飲み干しながら彼は笑い続けていたのだった。
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その後、寝床を探し小学校の教室で机を並べ、その上で透明になり睡眠を取っていた。
しかし、ぐっすり寝ていたにもかかわらす、夜中の0時頃にグラウンドの騒がしさに目が覚めた。
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コメント欄が盛り上がり、彼に期待するコメントが増え始める。
「なんだなんだ?」
「俺近くだし行こうか?」
「近所だわw今そんな事になってんのかw」
「運動場で夜中にバトルとか、どんな奴らだよw」
コメント欄に彼のファンが集まって、実況にコメントを残し反応が増えていく。
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二刀流の着物を着た女は、彼らのほうへ近付くと怪しく微笑みながら言った。
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「ほぅ、魔女の娘、その名を知っておると言う事は…やはり貴様は未来から来ておるのか…
で?ギーク・ハザードの名は誰が受け継いだのじゃ??」
「受け継ぐ…?あの白塗りの奴がギーク・ハザードではないのか?」
「おっと、喋り過ぎたようじゃ…しかし白塗りと…ふむ、もしや奴の事か…?」
黒姫は勝手に納得すると、何故か背を向けて、学校の校舎四階辺りを眺めていた。
「な…何をする、貴様」
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シオンが驚いていると黒姫は校舎に視線を写す。
「まったく助平がいたものじゃ…妾の美貌を世に配信するとは…その不敬な行い、万死に値する!
「黒姫流抜刀術!賽子!」」
黒姫が刀の一本を鞘から抜くと斬撃が飛んでいき、それは六階建ての校舎に直撃した。
「なんだあれは!校舎に升状の亀裂が…」
翔太が驚いていると、校舎がサイコロのように切れてしまいポロポロと零れるように落ちていく。
翔太、シオン、咲、健一、ミサは驚愕の表情を浮かべ、目の前の黒姫に勝てるかもと言う自信が無くなっていた。
「さて、死んだかのぅ…まぁ…あんな小物…どちらでもよいか…」
しかし、シオンは今ので戦意喪失し、ホウキを下に置き、震えていた。
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