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ストーリー
シオンと和樹
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自称魔王のケンイチは席に着き、飯を食い始めた。
「君達は、最近この辺りで通り魔殺人事件が増えてるのをご存知かな?」
「あ、僕知ってます…確か今月からずっと続いてる事件ですよね?まだ犯人は捕まってないっていう…」
「ふん、私の前に現れたら返り討ちにしてやるさ」
「同感♪ポテトチップスにして食べてやるんだから♪」
自称魔王の話題に和樹が食いつき、シオンと咲は余裕の表情だった。
まあ確かにこの最強コンビなら大丈夫かも知れないが、僕は怖かった。
「シオンさん、咲さん、変な人が現れたら僕を守って下さいね?」
「はぁ?男の癖に何言ってんだキモオタ!恥ずかしくねぇのかよ!?」
「えー??そんなぁ…強者は本来、弱者の力になるべき存在なのに…」
「何よその自分に都合のいい解釈は、私は気が向いた時しか守らないわよ?」
「任せろ和樹、お前は私が守ってやろう。変な奴に狙われたらすぐに電話しろよ?」
「はい!!!」
「シオンさん、こんなキモオタ、あんまり甘やかしちゃダメよ~?」
実際シオンと咲には危機感がなかった。
しかし、自称魔王のケンイチは脅えたような表情で語り出した。
「その犯人なんだが、おそらく我々と同じ能力者だろう…」
「ほほう、何故そう思う?」
「ところであんた、能力者なの?」
咲の問いに彼は魔導書のような本を取り出した。
「先祖から譲り受けた魔導書だ、この本を手にしたその日から、俺は魔法が使えるようになった」
「ふむ、どうやら本物のようだな…」
「なるほどねぇ、それで自分は特別だとか思いこんで中二病発症しちゃったんだぁ♪
あー、私もそういう次期あったから気持ちはわからなくはないわよ?でも魔王はやめなさい?流石に痛すぎるから(笑)」
「ちっ、違う!中二病などでは断じてない!」
シオンが興味深そうに魔導書を読み始めている。
「なるほど、ケンイチの先祖は本当に魔法が使えたのだな…この時代にも魔法使いがいたとは驚きだ…」
「俺も先祖の事はよく知らされていないのだが、本を手にした瞬間魔法が使えるようになったのだ…つまりこれは、俺が選ばれし者という事だろう。親父には扱えなかったしな。」
「もしや、これのプロトタイプ…なわけないか…」
シオンが似たような魔導書を取り出し、並べてめくり始めた。
「おお、なんだそれは…我が魔導書に匹敵する魔力を放ち続けているぞ」
「魔女ならば誰しも持っている魔法使いの入門書のようなものだよ」
「なるほど、シオン、君は魔女だったか。和樹、良い彼女を持ったな。」
(なんかこの人に言われると腹が立つんだけど?)
「で?元は通り魔の話でしたよね?」
和樹は苛々しながら聞いていた、ケンイチは先程の通り魔の話の続きを始める。
「そうだった、話の続きだが、通り魔殺人をしている奴の正体もまず間違いなく能力者だ」
「へぇ、根拠は?」
「実際に殺害現場に行き、調べたところ魔力の痕跡があったからだ」
(う、駄目だ、さっぱりわからない)
和樹はケンイチ、シオン、咲の会話に付いていけず、黙々と一人カツカレーを食っていた。
その後、四人は解散し、和樹は授業を受けて帰りは夜になった。
「はぁ、もう20時か、ずいぶん遅くなった…」
一人夜道を歩いていると、あの通り魔殺人事件の話を思い出し怖くなってくる。
真夏の夜、生暖かい風が身体を駆けめぐり、和樹は汗でびっしょりだった。
今すぐ部屋に帰りシャワーを浴びたい気分だった。
狭く、街灯も少ない一本道を通り、家に歩いて帰る。
しかし…
(なんだ…あの人影は…)
一本道を歩いていると、ビルとビルの間の狭い場所から赤い和服を着た、返り血を浴びたような青い髪の女が現れた。
(着物の…女の人?)
しかし、彼女の袖の中から両手に日本刀のようなものが取り出される。
その刀は真っ赤に染まり血がポタポタと垂れていた。
彼女のすぐそばに、若い男の切り刻まれた死体があった──
「あっ!!あわっ!!うわあぁぁっ!!!」
和樹は悲鳴を上げて、踵を返し全力で走って逃げる。
「そうだ、シオンさん…」
シオンに電話をする、すると彼女は電話に出てくれた。
「どうした和樹、道にでも迷ったのか?」
「シオンさん助けて!刀を持った和服の女が人を殺して…」
「わかった、すぐ行く…場所をいえ…」
電話越しに言おうと思った矢先、目の前には先程の女が立っていた。
刀をハの字に広げ、満月の光を浴びるように立っている。
美しいお姫様のようにも見えるが、血塗れで笑みを向けてくる彼女は狂人にしか見えなかった。
「ふふふっ…ふふふふっ♡♡」
「おい和樹!どうした!」
和樹は電話を落としてしまい、そのまま彼女に詰め寄られる。
「ひいぃぃっ!!!」
恐怖で一瞬目を瞑り、次にあけると彼女はもうそこにはいなくなっていた。
(いったい、何処に…)
しかし、次の瞬間、後ろから首筋に刀を突きつけられ、耳元から声がした。
「可愛いのぉ、可愛いのぉ♪
人間の雄の死に脅える顔、そして絶叫…♡
もっと、聞かせておくれ♪」
ブシュウウウウゥゥ!!!
次の瞬間、和樹の首から上が切り飛ばされ、血飛沫を飛ばしながら彼は地面に倒れて死亡した。
彼の周りには血の水たまりが残り、お姫様のような彼女は血の付いた刀を舌で舐め取り不気味な笑みを向けて笑い続けていた。
「君達は、最近この辺りで通り魔殺人事件が増えてるのをご存知かな?」
「あ、僕知ってます…確か今月からずっと続いてる事件ですよね?まだ犯人は捕まってないっていう…」
「ふん、私の前に現れたら返り討ちにしてやるさ」
「同感♪ポテトチップスにして食べてやるんだから♪」
自称魔王の話題に和樹が食いつき、シオンと咲は余裕の表情だった。
まあ確かにこの最強コンビなら大丈夫かも知れないが、僕は怖かった。
「シオンさん、咲さん、変な人が現れたら僕を守って下さいね?」
「はぁ?男の癖に何言ってんだキモオタ!恥ずかしくねぇのかよ!?」
「えー??そんなぁ…強者は本来、弱者の力になるべき存在なのに…」
「何よその自分に都合のいい解釈は、私は気が向いた時しか守らないわよ?」
「任せろ和樹、お前は私が守ってやろう。変な奴に狙われたらすぐに電話しろよ?」
「はい!!!」
「シオンさん、こんなキモオタ、あんまり甘やかしちゃダメよ~?」
実際シオンと咲には危機感がなかった。
しかし、自称魔王のケンイチは脅えたような表情で語り出した。
「その犯人なんだが、おそらく我々と同じ能力者だろう…」
「ほほう、何故そう思う?」
「ところであんた、能力者なの?」
咲の問いに彼は魔導書のような本を取り出した。
「先祖から譲り受けた魔導書だ、この本を手にしたその日から、俺は魔法が使えるようになった」
「ふむ、どうやら本物のようだな…」
「なるほどねぇ、それで自分は特別だとか思いこんで中二病発症しちゃったんだぁ♪
あー、私もそういう次期あったから気持ちはわからなくはないわよ?でも魔王はやめなさい?流石に痛すぎるから(笑)」
「ちっ、違う!中二病などでは断じてない!」
シオンが興味深そうに魔導書を読み始めている。
「なるほど、ケンイチの先祖は本当に魔法が使えたのだな…この時代にも魔法使いがいたとは驚きだ…」
「俺も先祖の事はよく知らされていないのだが、本を手にした瞬間魔法が使えるようになったのだ…つまりこれは、俺が選ばれし者という事だろう。親父には扱えなかったしな。」
「もしや、これのプロトタイプ…なわけないか…」
シオンが似たような魔導書を取り出し、並べてめくり始めた。
「おお、なんだそれは…我が魔導書に匹敵する魔力を放ち続けているぞ」
「魔女ならば誰しも持っている魔法使いの入門書のようなものだよ」
「なるほど、シオン、君は魔女だったか。和樹、良い彼女を持ったな。」
(なんかこの人に言われると腹が立つんだけど?)
「で?元は通り魔の話でしたよね?」
和樹は苛々しながら聞いていた、ケンイチは先程の通り魔の話の続きを始める。
「そうだった、話の続きだが、通り魔殺人をしている奴の正体もまず間違いなく能力者だ」
「へぇ、根拠は?」
「実際に殺害現場に行き、調べたところ魔力の痕跡があったからだ」
(う、駄目だ、さっぱりわからない)
和樹はケンイチ、シオン、咲の会話に付いていけず、黙々と一人カツカレーを食っていた。
その後、四人は解散し、和樹は授業を受けて帰りは夜になった。
「はぁ、もう20時か、ずいぶん遅くなった…」
一人夜道を歩いていると、あの通り魔殺人事件の話を思い出し怖くなってくる。
真夏の夜、生暖かい風が身体を駆けめぐり、和樹は汗でびっしょりだった。
今すぐ部屋に帰りシャワーを浴びたい気分だった。
狭く、街灯も少ない一本道を通り、家に歩いて帰る。
しかし…
(なんだ…あの人影は…)
一本道を歩いていると、ビルとビルの間の狭い場所から赤い和服を着た、返り血を浴びたような青い髪の女が現れた。
(着物の…女の人?)
しかし、彼女の袖の中から両手に日本刀のようなものが取り出される。
その刀は真っ赤に染まり血がポタポタと垂れていた。
彼女のすぐそばに、若い男の切り刻まれた死体があった──
「あっ!!あわっ!!うわあぁぁっ!!!」
和樹は悲鳴を上げて、踵を返し全力で走って逃げる。
「そうだ、シオンさん…」
シオンに電話をする、すると彼女は電話に出てくれた。
「どうした和樹、道にでも迷ったのか?」
「シオンさん助けて!刀を持った和服の女が人を殺して…」
「わかった、すぐ行く…場所をいえ…」
電話越しに言おうと思った矢先、目の前には先程の女が立っていた。
刀をハの字に広げ、満月の光を浴びるように立っている。
美しいお姫様のようにも見えるが、血塗れで笑みを向けてくる彼女は狂人にしか見えなかった。
「ふふふっ…ふふふふっ♡♡」
「おい和樹!どうした!」
和樹は電話を落としてしまい、そのまま彼女に詰め寄られる。
「ひいぃぃっ!!!」
恐怖で一瞬目を瞑り、次にあけると彼女はもうそこにはいなくなっていた。
(いったい、何処に…)
しかし、次の瞬間、後ろから首筋に刀を突きつけられ、耳元から声がした。
「可愛いのぉ、可愛いのぉ♪
人間の雄の死に脅える顔、そして絶叫…♡
もっと、聞かせておくれ♪」
ブシュウウウウゥゥ!!!
次の瞬間、和樹の首から上が切り飛ばされ、血飛沫を飛ばしながら彼は地面に倒れて死亡した。
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