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ストーリー
自称魔王と名乗る男
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夜中にサイレンが鳴り、道路には救急車が止まっていた。
死亡したのは白塗りの顔の男、羽佐木郁磨。
世間を騒がせた天才科学者だった。
部下の闇子は、彼の死体を確認すると「間違いありません」と答えた。
闇子は彼の死後、彼の残した極秘の資料を見つける事になる。
世に出される事のなかった、理論だけを書き上げた魔法や人体実験の情報だった。
「面白い、こんな事を考えていたのか、彼は…」
闇子は「くくくっ」と笑いはじめ、その日を境に研究所から姿を消してしまった。
それから、闇子は彼の研究資料をヒントに別次元に世界を作り、人をさらっては人体実験の材料とした。
名前にナイトメアがつく人体実験の完成体、グールも、ゴブリンも、サキュバスも、シャドウも、皆闇子に実験されて生み出された元人間だった。
闇子はいずれ、完成体共を使って、町全体を支配しようと考えていた。
「というのが、私の知る限りの彼の情報…そして私のやろうとしていた事だ…まあ、ユウト、君に潰されたけどね。
個人的にはあの殺人実況者は私も許せないし、もし目の前にでも現れれば殺してやろうと考えていたよ…
彼の発明品は有象無象では到達出来ない物ばかりだったからな…」
闇子はユウトに分厚いファイルを渡した。
「なるほど、で、それが彼の残した極秘資料と…」
「ああ、そうだ。これは君達に提供するよ、何やら優秀な科学者もいるみたいだしな。」
近くで壊れた電子レンジの修理をしている銀髪の長髪に白い帽子を被った男が、闇子にお辞儀をする。
「パールグレイ、直りそうか?」
「ええ、後五分もあればこれしき…私にとっては朝飯前ですよ」
その後、五人で朝飯を食べ、彼女達とわかれると、パールグレイと共に資料をもって研究所へ向かった。
羽佐木郁磨は死亡したという話だった。
翔太達の世界では、あれから二年が立っている。
翔太は六年生となり、平和な日常を取り戻していた。
では、彼はいったい…どうやって生き返ったのだろうか──?
あるアパートの一室、そこには大学生と、彼に釣り合わない美女、そして動くフィギュアが暮らしている。
「和樹、今日もこの後、大学の抗議なのか?」
「そうなんです、シオンさんも行きますか?」
「私は三時限目からだから、少し後だよ」
どうやら、和樹とシオンは同じ家から大学に通っていて、友達もそこそこいるようだ。
「おーキモオタァ、だいぶ腕上げたなお前」
ハンバーグを食べながら、小さな動くフィギュア、サクラたんが和樹を見ながら言った。
「いつまでキモオタって言うのサクラたん…そろそろ僕の事、名前で呼んでくれてもいいんじゃ…」
「そう呼ばれるのが嫌だったら、服のセンスとか髪型とか、見た目を色々変えてみればいいんじゃね?」
サクラはそんな事を言いながら、和樹の話には興味なさそうにハンバーグを食べていた。
そして、和樹が家を出て、学校に向かっていると、黒い服を着た黒髪短髪の男が後ろの方を歩いていた。
何やらぶつぶつ言っていて不気味な雰囲気だ。
まるでゲームに登場しそうな魔道書を持った、黒尽くめの服を着た男が後ろから近付いて来ている。
そして彼は和樹に並ぶと言った。
「微力だが魔力を感じるな…ま、この俺には程遠いがお前には見込みがある」
「な…??誰ですかあなた…」
黒髪短髪、イケメン、女の子にモテそうな容姿だが、何やら和樹から見れば近づきにくい雰囲気がある相手だった。
「俺は魔王だ、魔法を使いこの町の平和を守っている」
(魔王?残念な人なのかな?まあ、いずれにしろ、さっさと大学に行かないと…)
和樹は彼を、中二病が行きすぎた、残念イケメンだと理解した。
「へぇ、凄いですね…僕は和樹って言います。大学一年生です。」
「うむ、よろしくな。
実は俺も一年なんだ…講義はもしかすると同じ場所だったりするかもな」
大学に向かうと二次限目の講義は彼と一緒だった。
(うわぁ、自称魔王の人と一緒かよ、やだなぁ…)
和樹の隣に彼が座り、講義を受けている。
彼はその後も、何故かついてくるのだった。
──昼食時──
「あっ、シオンさん…よかった」
大学の学食に、シオンと咲という女がいて、ご飯を食べている。
「和樹か、こっちに来い、席なら空いてるぞ」
「ここのカツ丼もなかなか美味いわね、和樹、一杯奢りなさいよ」
シオンは席を指さし咲はカツ丼を夢中で食べている、和樹は咲に「よくそんなに食べるな」と驚いていた。
「何だ和樹、君の彼女なのか?彼女からは膨大な魔力を感じるぞ…下手をすればこの魔王である俺をも上回る程だ」
シオンと咲が、魔王と名乗る男のほうへ視線を向けた。
「「魔王???」」
二人は驚いて声が重なった。
「ねぇあんた、言ってて恥ずかしくないの?自分を魔王だとか、正直に名乗りなさい!」
「くっ…貴様、誰だか知らんが俺を愚弄するつもりか…」
咲と自称魔王が口論になっている。
周りから注目を浴びて、出来ればやめてほしかった。
「私は咲よ、咲、あんたも名乗りなさい?
魔王じゃなくて本名をね?」
「本名だと…?人間としてのペンネームなら柏木健一という名ならあるが…それでいいか?」
「オーケー、健一ね、ケンイチ」
「私はシオンだ、よろしくなケンイチ」
「だから魔王と呼べ魔王と!まったく失礼な奴らだ!」
彼は文句を言いながら和樹と昼飯の食券を購入し、そして四人で食べ始める。
死亡したのは白塗りの顔の男、羽佐木郁磨。
世間を騒がせた天才科学者だった。
部下の闇子は、彼の死体を確認すると「間違いありません」と答えた。
闇子は彼の死後、彼の残した極秘の資料を見つける事になる。
世に出される事のなかった、理論だけを書き上げた魔法や人体実験の情報だった。
「面白い、こんな事を考えていたのか、彼は…」
闇子は「くくくっ」と笑いはじめ、その日を境に研究所から姿を消してしまった。
それから、闇子は彼の研究資料をヒントに別次元に世界を作り、人をさらっては人体実験の材料とした。
名前にナイトメアがつく人体実験の完成体、グールも、ゴブリンも、サキュバスも、シャドウも、皆闇子に実験されて生み出された元人間だった。
闇子はいずれ、完成体共を使って、町全体を支配しようと考えていた。
「というのが、私の知る限りの彼の情報…そして私のやろうとしていた事だ…まあ、ユウト、君に潰されたけどね。
個人的にはあの殺人実況者は私も許せないし、もし目の前にでも現れれば殺してやろうと考えていたよ…
彼の発明品は有象無象では到達出来ない物ばかりだったからな…」
闇子はユウトに分厚いファイルを渡した。
「なるほど、で、それが彼の残した極秘資料と…」
「ああ、そうだ。これは君達に提供するよ、何やら優秀な科学者もいるみたいだしな。」
近くで壊れた電子レンジの修理をしている銀髪の長髪に白い帽子を被った男が、闇子にお辞儀をする。
「パールグレイ、直りそうか?」
「ええ、後五分もあればこれしき…私にとっては朝飯前ですよ」
その後、五人で朝飯を食べ、彼女達とわかれると、パールグレイと共に資料をもって研究所へ向かった。
羽佐木郁磨は死亡したという話だった。
翔太達の世界では、あれから二年が立っている。
翔太は六年生となり、平和な日常を取り戻していた。
では、彼はいったい…どうやって生き返ったのだろうか──?
あるアパートの一室、そこには大学生と、彼に釣り合わない美女、そして動くフィギュアが暮らしている。
「和樹、今日もこの後、大学の抗議なのか?」
「そうなんです、シオンさんも行きますか?」
「私は三時限目からだから、少し後だよ」
どうやら、和樹とシオンは同じ家から大学に通っていて、友達もそこそこいるようだ。
「おーキモオタァ、だいぶ腕上げたなお前」
ハンバーグを食べながら、小さな動くフィギュア、サクラたんが和樹を見ながら言った。
「いつまでキモオタって言うのサクラたん…そろそろ僕の事、名前で呼んでくれてもいいんじゃ…」
「そう呼ばれるのが嫌だったら、服のセンスとか髪型とか、見た目を色々変えてみればいいんじゃね?」
サクラはそんな事を言いながら、和樹の話には興味なさそうにハンバーグを食べていた。
そして、和樹が家を出て、学校に向かっていると、黒い服を着た黒髪短髪の男が後ろの方を歩いていた。
何やらぶつぶつ言っていて不気味な雰囲気だ。
まるでゲームに登場しそうな魔道書を持った、黒尽くめの服を着た男が後ろから近付いて来ている。
そして彼は和樹に並ぶと言った。
「微力だが魔力を感じるな…ま、この俺には程遠いがお前には見込みがある」
「な…??誰ですかあなた…」
黒髪短髪、イケメン、女の子にモテそうな容姿だが、何やら和樹から見れば近づきにくい雰囲気がある相手だった。
「俺は魔王だ、魔法を使いこの町の平和を守っている」
(魔王?残念な人なのかな?まあ、いずれにしろ、さっさと大学に行かないと…)
和樹は彼を、中二病が行きすぎた、残念イケメンだと理解した。
「へぇ、凄いですね…僕は和樹って言います。大学一年生です。」
「うむ、よろしくな。
実は俺も一年なんだ…講義はもしかすると同じ場所だったりするかもな」
大学に向かうと二次限目の講義は彼と一緒だった。
(うわぁ、自称魔王の人と一緒かよ、やだなぁ…)
和樹の隣に彼が座り、講義を受けている。
彼はその後も、何故かついてくるのだった。
──昼食時──
「あっ、シオンさん…よかった」
大学の学食に、シオンと咲という女がいて、ご飯を食べている。
「和樹か、こっちに来い、席なら空いてるぞ」
「ここのカツ丼もなかなか美味いわね、和樹、一杯奢りなさいよ」
シオンは席を指さし咲はカツ丼を夢中で食べている、和樹は咲に「よくそんなに食べるな」と驚いていた。
「何だ和樹、君の彼女なのか?彼女からは膨大な魔力を感じるぞ…下手をすればこの魔王である俺をも上回る程だ」
シオンと咲が、魔王と名乗る男のほうへ視線を向けた。
「「魔王???」」
二人は驚いて声が重なった。
「ねぇあんた、言ってて恥ずかしくないの?自分を魔王だとか、正直に名乗りなさい!」
「くっ…貴様、誰だか知らんが俺を愚弄するつもりか…」
咲と自称魔王が口論になっている。
周りから注目を浴びて、出来ればやめてほしかった。
「私は咲よ、咲、あんたも名乗りなさい?
魔王じゃなくて本名をね?」
「本名だと…?人間としてのペンネームなら柏木健一という名ならあるが…それでいいか?」
「オーケー、健一ね、ケンイチ」
「私はシオンだ、よろしくなケンイチ」
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