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レベル14 正社員への道は遠い ~その手の物件の扱い方は大島さんに聞け~
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レベル14
旅の仲間。
職業。
この言葉に人々は何を思い浮かべるだろう。魔法使い、剣士、僧侶、魔物使い。遊び人などという職業とは到底呼べない代物もあるが、「旅の仲間」という言葉にネガティブなイメージを抱く人は少ないのではないだろうか。
俺にも「旅の仲間」がいる。ひとりは「ラッパー」。しかも自称。ライムをぶつけて闘うらしいが、やつの言葉はあくまで言葉でしかないから、魔法使いのように炎や氷や竜巻が出せる訳ではない。ライムはMCバトルにおいては最強の武器のひとつであることは間違いないらしい。TPOによっては最強のスキルかもしれないが、のぶり800の言葉から察するに、この男はその舞台に立つレベルにない。つまり、「無職」だ。
もうひとりは元インストラクターだが、(たぶん)客に暴力をふるい解雇された暴力娘だ。攻撃力はすでに証明済みなので冒険には欠かせない存在かもしれないが、その攻撃力の主な矛先は俺たちだ。防御力がとことん低いロメロはいわゆる「回避率ゼロ」の状態だから、既に何回か気絶させられている。
暴力事件を起こし、現在就職活動中。立派な「無職」だ。
などと上から目線で語ってみせたが、実際一番ひどいのは俺だ。都会にあると聞く教育機関でならともかく、田舎の村では役に立つことなどない「自称・哲学者」だ。しかも親子そろって、だ。今考えたらどうやって一家は食べていたのだろう。ひもじい思いをした記憶はない。
が、やはり哲学者を自称するだけで役に立たず、それが原因で村を追いだされた。しかもその時言われた言葉が「勇者になって魔王を倒してこい」である。勇者という称号を持つ元・自称哲学者。救いようのない「無職」である。
ある伝説のパンクロッカーが言った。
「お先真っ暗ってのはいいねえ。先が見え透いた人生を送るより、よっぽどいい」
ある一流ラッパー(ロメロとは違う世界の住人だ)は、「まだ何者でもない」状態を「天才」と表現した。そう、俺たちはお先真っ暗で何者でもない存在だ。つまり、輝かしい未来を担う天才なのだ。悲観することはない、はずだ。
俺たちは今、次の段階である「何者か」になるため、次の目的地であるカーマの神殿へと向かっている。
キモチムラ村からカトウトシ村まで、本来なら徒歩半日のところ、三日かかった。俺たちは通常の六倍かかると思うのが無難だろう。聞くところによると、カトウトシ村からカーマの神殿まで二週間ほどだそうだ。つまり、この調子で行くと到着は三か月だ。今は九月だから到着は十二月。せめて野原で年越しなんていう目には遭いたくないものだ。
一応ヤマモトさんの話によると、アケミはカーマの神殿までの案内役的な役割だったが、俺には分かる。この流れはそう、「アケミが仲間にくわわった!」というやつだ。村人たちの反応を見る限り、アケミは終始誰彼なしに殴っていることは間違いない。マネキン専門店の店番を任せられていたのも、村においておくと危険だからだ。
そんな時、村にふたりの若者がやってきた。ヤマモトさんの与太話を軽く信じてバカを見たふたりなら、言いくるめてしまえばアケミを仲間に加えて旅に出るだろう。
あいつらに、押し付けたらよくね・・・?
ロメロと同じパターンだ。まあ、俺は押し付ける相手がいなかったから押し付けられる側に回っただけで、とどのつまり同じ穴のムジナだから、これはもう観念して仲良くするしかないのかもしれない。
アケミが言うには、もうすぐ国境が見えてくる。国境と言っても何があるわけでもないし、そこを無許可で超えたからと言って罰せられることはないが、国境の先の村が閉鎖的だった場合、ちょっと嫌なことをされるらしい。
その点なら大丈夫だ。ロメロは肉体面はともかく、精神面における防御力はもはや伝説の勇者クラスだ。
アケミにちょっと嫌なことをすれば躊躇なく殴られる。俺は何もないが、その後でニヤニヤしておけば、向こうが勝手になんらかの想像をするに違いない。
カーマの神殿までまっすぐ進めば、途中で四つほどの村や街を通るらしい。俺の勝手な予感だが、たぶんひとりかふたり、仲間になる。もとい、勝手についてくる。
もちろん旅の仲間は歓迎だ。一応これは魔王を倒しに行くための冒険だから、仲間は多い方がいい。ゲームなんかでは一度に闘える人数が限られているが、俺はそんなシステムは採用せず十人なら十人みんなで一斉に闘うシステムを採用したいと思う。つまり、馬車は買わない。
なぜこんなことをいきなり言い出したかというと、ロメロが既に欲しがっているのだ。確かに徒歩の旅は疲れるが、今は馬もいないから、つまりは単純にバカでかいリヤカーみたいなもんだ。買わない。
「ほら、村が見えてきたわよ」
アケミが言った。
最初の村は、俺の村と同等の大きさだった。この村での目的は休息だ。と言っても、のんびり歩いているだけで別にモンスターと闘ったりはしていないので、さほど疲れているわけではない。しかし、ずっと野宿というのも辛いので、たまにはベッドで寝たいのだ。ここちよければ二泊くらいしてもいいかもしれない。
「なんだか暗い村ねえ」
入口に立って村を眺めていると、アケミが言った。たしかに、どんよりしていて暗い。俺の村と同じくらいの大きさでも、活気という点では比べ物にならない。俺の村も活気あふれる村ではなかったので、ここはもうシケシケだ。
「ここに泊まるの?宿屋なんかあるのかね」
アケミの心配はごもっともだ。ロメロまで心配している。
「《本当にあるのか泊まれるホテル。調べたくなる大島てる。不安をあおるその相貌、でもぶちかますぜ俺は速攻。事故物件でもかまわねえから、もしも無念が晴らせてねえなら、そうさ俺がゴーストハンター。韻で韻踏む能力〈ラッパー〉。霊を恐れぬタローは〈勇者〉。とどめはアケミのパンチで撃破!》」
つまり、不安だけどベッドで寝たい。おばけが出たらアケミが殴ってくれ、ということだ。俺も怖いが、いざと言う時はアロメロの言う通りケミがいるからと自分に言い聞かせ、俺たちは村へと足を踏み入れた。
村に入るとさらにどんよりしている。人の姿は見えるものの、やはりどんよりしている。
「ちょっと二、三人殴ってみるね!」
元気に言うアケミに、とにかく今は宿屋を探しましょうと説得し、俺たちは宿屋を探した。
宿屋は村の隅っこにぽつんと存在していた。なぜだか樹木や草で覆われ、周りの自然と一体化しようとしている。だが、造花まるだしの安っぽさだから結構目立つ。
「ごめんください」
宿屋に入ると、主人と思われる老人が出てきた。
「宿屋をお探しかい?」
「じゃなきゃ宿屋に来ないわよ」
「こりゃ一本とられたねえ」
老人は全身迷彩服に覆われている。宿といい老人といい、隠れる気満々だ。客商売をやる気があるのか。
「しかし、今はこの村の者しか泊めることができんのじゃよ」
「この村のものは自分の家で寝るから、それじゃ客なんか来ねえだろう」
「もちろんじゃ。だからおぬしらは三年ぶりの客じゃ」
意味不明な老人だ。アケミが握りこぶしを作ったのが視界の端っこに見えたので、俺は慌てて言った。
「なあじいさん。俺たちはただ寝る場所が欲しいだけなんだ。迷惑をかけたりしない。じいさんだって、三年ぶりの客ならありがたい話じゃないのか?」
「わしは土地持ちじゃからな。別に宿屋が儲からんでも家賃収入だけで十分食っていける」
「そんなこと言わずにさ」
「やれやれ・・・」
俺の後ろでこれ見よがしに拳を見せつけシャドーボクシングしているアケミを見て、観念したように宿泊を了承してくれた。
「だが、夜が更けたら宿から出てはいかん。これが条件だ」
「出たらどうなるんだ?」
「ダメだもん!」
いろんな意味でダメそうだ。
まあ、俺たちはベッドで寝たいだけだし、こんなどんよりした村を夜間に出歩こうとは思わない。俺たちは絶対に出ないと約束し、部屋のカギを受け取った。
「出たい訳ないじゃない、こんなシケた村。頼まれたって出ないわよ。わたしゃ布団にくるまって、お天道様があがるまでそりゃあぐっすり眠らせていただきますよぉ。ねえ?」
アケミが憤慨していると、ロメロがそうだそうだと頷いた。
「当たり前だろSis。俺たちの旅の目的はこんな村じゃない。そうだろ?Bro。言ってやれ!お前の目的は何だ!」
「魔王とやらを・・・」
「MCバトル優勝で候!Oh、Yeah!!!」
まあ、なんでもいい。
俺たち一行は部屋に通された。男女同部屋だ。本来なら問題になるところだが、アケミは大丈夫だろう。むしろ、この暴力ガールと一晩同じ部屋で過ごす俺たちの方が危険だ。
三人部屋と聞かされていたがベッドはひとつ。鞄をベッドの上に投げ出したアケミに文句を言うほど俺もロメロも根性はないから、自動的に俺たちは床で寝ることになる。
屋根がある場所で寝るのは数日ぶりだから、俺もロメロもそれだけで十分だ。風呂に入り横になると、ロメロはすぐに寝息を立て始めた。
アケミに蹴り起こされたのは真夜中だった。永遠に眠りにつくかと思うほどの衝撃で目を覚ました俺は、アケミに即され窓の外に目をやった。
「な、なんだYo!あれはYo!」
ロメロが変なアクセントで驚いている。しかし、驚いているのは俺も同じだ。目のまえに広がっている光景は、今まで話でしか聞いたことがない恐怖の光景だったのだ。
俺たちがビビっている横で、アケミが鼻息荒めに拳を握った。
旅の仲間。
職業。
この言葉に人々は何を思い浮かべるだろう。魔法使い、剣士、僧侶、魔物使い。遊び人などという職業とは到底呼べない代物もあるが、「旅の仲間」という言葉にネガティブなイメージを抱く人は少ないのではないだろうか。
俺にも「旅の仲間」がいる。ひとりは「ラッパー」。しかも自称。ライムをぶつけて闘うらしいが、やつの言葉はあくまで言葉でしかないから、魔法使いのように炎や氷や竜巻が出せる訳ではない。ライムはMCバトルにおいては最強の武器のひとつであることは間違いないらしい。TPOによっては最強のスキルかもしれないが、のぶり800の言葉から察するに、この男はその舞台に立つレベルにない。つまり、「無職」だ。
もうひとりは元インストラクターだが、(たぶん)客に暴力をふるい解雇された暴力娘だ。攻撃力はすでに証明済みなので冒険には欠かせない存在かもしれないが、その攻撃力の主な矛先は俺たちだ。防御力がとことん低いロメロはいわゆる「回避率ゼロ」の状態だから、既に何回か気絶させられている。
暴力事件を起こし、現在就職活動中。立派な「無職」だ。
などと上から目線で語ってみせたが、実際一番ひどいのは俺だ。都会にあると聞く教育機関でならともかく、田舎の村では役に立つことなどない「自称・哲学者」だ。しかも親子そろって、だ。今考えたらどうやって一家は食べていたのだろう。ひもじい思いをした記憶はない。
が、やはり哲学者を自称するだけで役に立たず、それが原因で村を追いだされた。しかもその時言われた言葉が「勇者になって魔王を倒してこい」である。勇者という称号を持つ元・自称哲学者。救いようのない「無職」である。
ある伝説のパンクロッカーが言った。
「お先真っ暗ってのはいいねえ。先が見え透いた人生を送るより、よっぽどいい」
ある一流ラッパー(ロメロとは違う世界の住人だ)は、「まだ何者でもない」状態を「天才」と表現した。そう、俺たちはお先真っ暗で何者でもない存在だ。つまり、輝かしい未来を担う天才なのだ。悲観することはない、はずだ。
俺たちは今、次の段階である「何者か」になるため、次の目的地であるカーマの神殿へと向かっている。
キモチムラ村からカトウトシ村まで、本来なら徒歩半日のところ、三日かかった。俺たちは通常の六倍かかると思うのが無難だろう。聞くところによると、カトウトシ村からカーマの神殿まで二週間ほどだそうだ。つまり、この調子で行くと到着は三か月だ。今は九月だから到着は十二月。せめて野原で年越しなんていう目には遭いたくないものだ。
一応ヤマモトさんの話によると、アケミはカーマの神殿までの案内役的な役割だったが、俺には分かる。この流れはそう、「アケミが仲間にくわわった!」というやつだ。村人たちの反応を見る限り、アケミは終始誰彼なしに殴っていることは間違いない。マネキン専門店の店番を任せられていたのも、村においておくと危険だからだ。
そんな時、村にふたりの若者がやってきた。ヤマモトさんの与太話を軽く信じてバカを見たふたりなら、言いくるめてしまえばアケミを仲間に加えて旅に出るだろう。
あいつらに、押し付けたらよくね・・・?
ロメロと同じパターンだ。まあ、俺は押し付ける相手がいなかったから押し付けられる側に回っただけで、とどのつまり同じ穴のムジナだから、これはもう観念して仲良くするしかないのかもしれない。
アケミが言うには、もうすぐ国境が見えてくる。国境と言っても何があるわけでもないし、そこを無許可で超えたからと言って罰せられることはないが、国境の先の村が閉鎖的だった場合、ちょっと嫌なことをされるらしい。
その点なら大丈夫だ。ロメロは肉体面はともかく、精神面における防御力はもはや伝説の勇者クラスだ。
アケミにちょっと嫌なことをすれば躊躇なく殴られる。俺は何もないが、その後でニヤニヤしておけば、向こうが勝手になんらかの想像をするに違いない。
カーマの神殿までまっすぐ進めば、途中で四つほどの村や街を通るらしい。俺の勝手な予感だが、たぶんひとりかふたり、仲間になる。もとい、勝手についてくる。
もちろん旅の仲間は歓迎だ。一応これは魔王を倒しに行くための冒険だから、仲間は多い方がいい。ゲームなんかでは一度に闘える人数が限られているが、俺はそんなシステムは採用せず十人なら十人みんなで一斉に闘うシステムを採用したいと思う。つまり、馬車は買わない。
なぜこんなことをいきなり言い出したかというと、ロメロが既に欲しがっているのだ。確かに徒歩の旅は疲れるが、今は馬もいないから、つまりは単純にバカでかいリヤカーみたいなもんだ。買わない。
「ほら、村が見えてきたわよ」
アケミが言った。
最初の村は、俺の村と同等の大きさだった。この村での目的は休息だ。と言っても、のんびり歩いているだけで別にモンスターと闘ったりはしていないので、さほど疲れているわけではない。しかし、ずっと野宿というのも辛いので、たまにはベッドで寝たいのだ。ここちよければ二泊くらいしてもいいかもしれない。
「なんだか暗い村ねえ」
入口に立って村を眺めていると、アケミが言った。たしかに、どんよりしていて暗い。俺の村と同じくらいの大きさでも、活気という点では比べ物にならない。俺の村も活気あふれる村ではなかったので、ここはもうシケシケだ。
「ここに泊まるの?宿屋なんかあるのかね」
アケミの心配はごもっともだ。ロメロまで心配している。
「《本当にあるのか泊まれるホテル。調べたくなる大島てる。不安をあおるその相貌、でもぶちかますぜ俺は速攻。事故物件でもかまわねえから、もしも無念が晴らせてねえなら、そうさ俺がゴーストハンター。韻で韻踏む能力〈ラッパー〉。霊を恐れぬタローは〈勇者〉。とどめはアケミのパンチで撃破!》」
つまり、不安だけどベッドで寝たい。おばけが出たらアケミが殴ってくれ、ということだ。俺も怖いが、いざと言う時はアロメロの言う通りケミがいるからと自分に言い聞かせ、俺たちは村へと足を踏み入れた。
村に入るとさらにどんよりしている。人の姿は見えるものの、やはりどんよりしている。
「ちょっと二、三人殴ってみるね!」
元気に言うアケミに、とにかく今は宿屋を探しましょうと説得し、俺たちは宿屋を探した。
宿屋は村の隅っこにぽつんと存在していた。なぜだか樹木や草で覆われ、周りの自然と一体化しようとしている。だが、造花まるだしの安っぽさだから結構目立つ。
「ごめんください」
宿屋に入ると、主人と思われる老人が出てきた。
「宿屋をお探しかい?」
「じゃなきゃ宿屋に来ないわよ」
「こりゃ一本とられたねえ」
老人は全身迷彩服に覆われている。宿といい老人といい、隠れる気満々だ。客商売をやる気があるのか。
「しかし、今はこの村の者しか泊めることができんのじゃよ」
「この村のものは自分の家で寝るから、それじゃ客なんか来ねえだろう」
「もちろんじゃ。だからおぬしらは三年ぶりの客じゃ」
意味不明な老人だ。アケミが握りこぶしを作ったのが視界の端っこに見えたので、俺は慌てて言った。
「なあじいさん。俺たちはただ寝る場所が欲しいだけなんだ。迷惑をかけたりしない。じいさんだって、三年ぶりの客ならありがたい話じゃないのか?」
「わしは土地持ちじゃからな。別に宿屋が儲からんでも家賃収入だけで十分食っていける」
「そんなこと言わずにさ」
「やれやれ・・・」
俺の後ろでこれ見よがしに拳を見せつけシャドーボクシングしているアケミを見て、観念したように宿泊を了承してくれた。
「だが、夜が更けたら宿から出てはいかん。これが条件だ」
「出たらどうなるんだ?」
「ダメだもん!」
いろんな意味でダメそうだ。
まあ、俺たちはベッドで寝たいだけだし、こんなどんよりした村を夜間に出歩こうとは思わない。俺たちは絶対に出ないと約束し、部屋のカギを受け取った。
「出たい訳ないじゃない、こんなシケた村。頼まれたって出ないわよ。わたしゃ布団にくるまって、お天道様があがるまでそりゃあぐっすり眠らせていただきますよぉ。ねえ?」
アケミが憤慨していると、ロメロがそうだそうだと頷いた。
「当たり前だろSis。俺たちの旅の目的はこんな村じゃない。そうだろ?Bro。言ってやれ!お前の目的は何だ!」
「魔王とやらを・・・」
「MCバトル優勝で候!Oh、Yeah!!!」
まあ、なんでもいい。
俺たち一行は部屋に通された。男女同部屋だ。本来なら問題になるところだが、アケミは大丈夫だろう。むしろ、この暴力ガールと一晩同じ部屋で過ごす俺たちの方が危険だ。
三人部屋と聞かされていたがベッドはひとつ。鞄をベッドの上に投げ出したアケミに文句を言うほど俺もロメロも根性はないから、自動的に俺たちは床で寝ることになる。
屋根がある場所で寝るのは数日ぶりだから、俺もロメロもそれだけで十分だ。風呂に入り横になると、ロメロはすぐに寝息を立て始めた。
アケミに蹴り起こされたのは真夜中だった。永遠に眠りにつくかと思うほどの衝撃で目を覚ました俺は、アケミに即され窓の外に目をやった。
「な、なんだYo!あれはYo!」
ロメロが変なアクセントで驚いている。しかし、驚いているのは俺も同じだ。目のまえに広がっている光景は、今まで話でしか聞いたことがない恐怖の光景だったのだ。
俺たちがビビっている横で、アケミが鼻息荒めに拳を握った。
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