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76話殻にこもる成長期

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マーヤさんの家に着くと、盛大にご飯が準備されていた。もちろん唐揚げも。何人前なの⁉︎ってぐらいに。
それをペロッとルピは食べてしまい、マーヤさんも残すかと思ったんだけどねぇ…ってビックリされる食欲だった。

「これ家にいる子に持って行っておあげ」

「いつもすいません。ありがとうございます。でも、4つで大丈夫なんです。あれ?ルピ?」

ルピが僕に寄りかかり眠たそうにうっつらうっつらしてる。まだそんな時間じゃないよね?

「お腹いっぱいになったら眠くなったさね。泊まって行くかい?」

「家でご飯待ってると思うんで帰ります。明日また来ます!」

よいしょとルピを抱えて、家に戻りベットに寝かせた。





「ロッソー!まだ起きてる?僕そろそろ寝るね」

尻尾を振ってお休みとロッソが泉から挨拶してくれる。ルピの盛大な寝相をなおして布団に潜り込まなきゃな。

ガチャッ

あれ?思ったよりも静かに寝てる?いつもなら、バッサーと布団めくれてるのに。よっぽど疲れてたんだなと布団をめくり

「え……」

ガタン…ガタ
ダダダダダッ!
ガダンッ!

「ロッソ‼︎ロッソー‼︎」

「なに?大声出さなくても聞こえてるわ。靴も履かずにどうしたの?」

「ルピが‼︎ルピが‼︎‼︎」

僕の様子に慌ててロッソが付いてくる。靴下は土まみれだけど、そんな事を機にする余裕が僕にはない。

「ねぇ!これなに!?ルピの中で何が起こってるの??」

『落ち着いてあるじ。この膜はなに…。あたしも初めて見たわ。でもこの感じって』

「ねぇ⁉︎この中でルピどうなってるの⁉︎」

落ち着いてというロッソの声が耳に入ってこない。どうしよう…どうしよう…ルピが。
やっぱりあんなに食べて良いって言うんじゃなかったんだ。僕が止めればよかったのに…。
それとも、ドラゴンで無理しすぎたのかな…。どうしよう…。

『何事じゃ。騒がしいの』

『ルピが…』

『ほぉ…。間も無くだとは思っていたが、今日じゃったか。ドラゴンが効いたかの』

僕の後ろでロッソとコリーの話し声が聞こえるけど、僕には内容が全く耳に入っていない。殻のような膜の中にいるであろうルピに寄り添う事しかできない。

ごめん…ごめんルピ。僕が無茶させ過ぎたんだ!精霊が時々新しいタオルを持ってきてくれ、僕のためにと飲み物を置いてくれていたけど、飲む気にはなれない。
気づけばすっかりと夜になっていた。この膜は破って良いの…?中の様子が全くわからない…。  

ーーー
ーーーーパリッーー
ーーパリッペリペリーー

殻のような薄い膜が破れ、中からルピがフアァと屈伸をして出てくる。

『…ハヤト?おうち?』

「ルピ!!苦しくない!?痛くないの!?」

『苦しくない。お腹空いた…』

「今日は食べちゃダメだよ!このまま寝てよ?ね?」

お腹減ったからご飯食べたいというルピ。食べたいって、でも万が一食べ過ぎでこうなったなら食べちゃダメな気もするし…。こんな時どうすればいいんだろう…。

『あら、ようやく起きたのね。やっぱりそうだったのね。そろそろだって気づいてなかったの?』

『んーー、変なモヤモヤはあったよ』

『次からは感じとりなさい。森にいる時になったら襲われるわよ』

何の話し!?モヤモヤ?感じとる?意味が全く分からない。

「ロッソ、話しが全く分からないんだけど…」

『何度も説明しようとしたのに、聞かなかったのはあるじじゃない。コリーもほっとくしかないって地下に行っちゃうし』

「そうだったんだ…ゴメン…」

『ルピね、大きくなったの!』

ごめんルピ。全く意味が分からない。大きくなったのって何が?見た目全然変わらないんだけど…。元気になったのはわかるんだけどさ。

『ルピ成長期だったのよ。異常に食べてたのもそのせいね。コリーが言うにはドラゴン倒したことで、それがきっかけになったんだろうって』

「成長?」

『そっ。成長。生きてるんだもの。成長するわよ。あたしは50年目に大きな節目があったわね。次はまだ感じないからもう少し先ね』

ルピやロッソ達は経験値を経て成長していくにつれ、魔力量やそれにあった力を受け入れる準備をするらしい。それがルピは今日だったみたいだ。

膜のような殻に覆われ成長を遂げる事は、特定の種族にはみられるらしい。ロッソは見た事なかったらしいけど、コリーは見たことがあったため慌てていなかったようだ。

「えっと、体は無事なんだね?苦しくないんだよね?」

『全然平気!』

『この感覚覚えてなさい。次あったら、またあるじがパニック起こすから。でも、今までそれを感じずにその強さって、あんたどれだけ強くなるつもりよ』

『いっぱい!』

確かにどれだけ強くなるんだろう…。いっぱいと笑顔で話しているけど、ドラゴンを簡単に倒すルピだ。それがまだまだ強くなるなら、ルピは最終的に何を倒すんだろう…。ドラゴンより強そうな魔物って何?

『で、ルピはどれぐらい強くなったのよ?あたしも負けられないわ!』

『比べっこする?』

『良いわよ!』

外に出て行こうとするルピとロッソを止める。いやいや、2人にとっては普通の事だとしても僕には普通じゃないんだって。

『ハヤト、ルピが強くなったのみたくないの?』

「そんなわけじゃないんだけど…。あ!明日教会に行こう!ね?教会に行って見るから、だから今日はおとなしくしてて」

『今出せるよ?』

「それはわかるんだけど、ほら!前コリーがギルドカード登録しに行った時にルピもまたやりたいって言ってたでしょ?ね?」

1番はルピが心配なのがある。でも、今の2人が外に出て行ったら、大量の魔物をどっちがどれだ狩るかになるか、夜中に手合わせされても心配になる…。
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