上 下
51 / 84

49話リリーの話①

しおりを挟む
「私がわかってることは話したわ。今度あなたのばんよ。それをどこで手に入れたのかしら?」

「言えません。助けてもらったことに対するお礼なら金貨でお支払いします。冒険者が簡単に情報を漏らすわけにはいきません」

「それもそうね。いいわ…。私の話しを聞いて、言うに値する相手だと思うなら教えなさい。もちろん、情報料は払うわ」

この子僕より少し年上に見えるのに、なんかすごいやり手な感じがするよ…。僕苦手なんだけどな。こういった類の話し。
僕の気持ちは無視されてリリーが話しを続けてくる。

「私のお母様はSランクの冒険者で、商用ギルドエリアで商売を成功させた立派な方よ。けど、そんなお母様は体の中に病気を患い、血を吐いて最期を迎えられたわ…」

リリーの母親はSランクの冒険者か。すごいな!冒険中にリリーの父親と出会い、お腹の中にリリーを宿した。
妊娠を機に冒険者を止めて商売人へと鞍替えしたらしい。元Sランクがやってるお店と宣伝にもなった。
売っているものも良いものを揃えたことで、冒険者に評判上々店も徐々に大きくなっていったそうだ。

そんな中、体の中にできた病気により帰らない人になってしまった。父親は母親が死んでから腑抜けてしまい目も当てられない。
今までは少しでも街を良くするためにと動いていたのに、今ではただの木偶の坊だと。父親にそれは言い過ぎだろうと思ったが黙って聞く。

1年も経つと段々お店の評判も落ちてきて、お母様が頑張って作ったお店をお父様はたたもうとした!自分の役割さえこなせてないのに!
大きくなるリリーの声に、そっとルピがお水を出してあげる。

「え?水?なにこれ?でも、貰っとくわ」

この子空中に浮いてる水を躊躇なく飲んだよ。さすがSランク冒険者の娘なのか…。まだまだ話しは続く。
お父様がたたもうとしてるのを知って、私は奴隷を買って外に買い出しへと行ったの。その帰り道に僕達に会った。

「買い付けたのは、店で売るポーションや防具よ。南の大きな街に行けばある程度お母様の名前で融通は聞くしね。それから、魔石を売ってもらったのよ。闇で買うより安いだろって吹っ掛けられたわ!」

なんで魔石が必要なの?狙われた理由は魔石が原因なのか?

「魔石って何に使うの?闇で取引って聞いたことはあるけど、そんな重要性あるものなの?」

「はぁ!?あんたバカなわけ?」

「いや、まぁ、無知ではあるけどバカではないんじゃないかなって…」

ロッソにも初めって会った時にも、バカって言われたことを思い出す。
リリーが魔石の使い道は街での明かりや水といった生活基盤を支える動力を送るために必要なものだと教えてくれる。

討伐したばかりの魔石では使えないらしく冒険者ギルドが買い取った後、生産ギルドに送り魔石を浄化する。
浄化後操石へと作り変え、装置にはめ込めば水や明かりが使えるようになるそうだ。後は街へ来る魔物の探知装置や、他の街のギルドの通信装置の一部としても使えるみたいだった。

逆に言うと浄化をしなければ、魔物を操るための首輪の部品として。ゴーレムに入れれば戦争で仕える兵士に。
死んだ遺体に埋め込めば、腐りはて動かなくなるまで動くアンデッドの出来上がりらしい。
魔石を埋め込んだだけでは見境なく襲ってくるため、操る術者の情報は書き込まないといけないけどね。と教えてくれた。

戦争をしている国は数多くあり、どれだけ魔石があっても足りないそうだ。

逆に街でも永久的に使えるものではないため、動か無くなれば交換が必要になってくる。
しかし、魔石が毎日手に入るわけでもなく買取できない日もあり、足りなくなれば冒険者ギルド同士で融通しあうらしい。そのため手放したくないギルドも多いとのこと。

「でも、その魔石を何でリリーが買いに行かなくちゃいけないの?」

「買いに行かなきゃ街に明かりも水も通らないじゃない。ずっとロウソクと井戸から水を汲み続けるなんて無理よ」

「いや、それはギルドの人が行けばいいんじゃないの?」

「万年人手不足のギルドに買いに行く余裕なんてないわ」

「なら、他の冒険者に依頼として頼むとかさ」

「お父様が冒険者を受け入れないようにしてるから私が動いてるんじゃない!私はお母様のお店の事だって考えなきゃいけないのに!」

はい??さっきSランク冒険者の娘で商用ギルドエリアにお店出してるって言わなかったっけ?それだけでもすごいと思ったのに、この子どんな娘なの?

リリーのお父さんは普通に見えたけど、この子は無茶言ってくるというか…。ゲーハさんと意気投合しそうだなと思ってしまった。

「私はこれで話せることは話したわ。それを聞いてあなたはどうするの?」

「うーん…大変だなとは思うけど、僕が知ってる情報を話すのには、ちょっと合わないかな」

「それなら、あなたが仕入れてくるポーションを売値の倍以上出して買うわ!お母様が残してくれた莫大な遺産があるから問題ないわ」

「僕もお金には困ってないからねぇ…。それにポロッと言われたら僕には割が合わなさすぎる」

「それなら、制約の指輪に誓うわ」

吹き出しそうになる。なにこの子まで、こんなけったいな指輪つけてるの!?まさかご先祖様が勇者関係云々のくだりがあって、お母様が亡くなった翌日手元にあったのとか言わないよね?

「私のお母様の先祖は勇者パーティーの剣士で…」



はい言ったーー!

想像通りの答えが返ってきました。創造主、こんなにほいほいとけったいな指輪をあげるの止めた方が僕はいいと思うよ…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました

桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。 召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。 転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。 それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...