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44話対峙、そして枯渇

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ルピはその後、僕と目を合わせようとせず出てくる魔物を討伐していった。お腹減ってない?と聞いても、食べたくないと返されてしまい困ってしまった。重症だ…。僕がもっとちゃんと説明できればいいんだけど…。

その日はルピは一日中なにも食べなかった。僕に結界を張り続けてる以上、魔力も減ってお腹も減ってるはずだ。
ロッソも少しぐらい食べなさいよ!食べなきゃ力出ないわよ!と言ってくれたけど、いらないと丸まってしまった。

仕方なくロッソと僕でお弁当を出すけど、ルピが食べない姿を見ると僕達も食べる気にもなれず、ロッソがリンゴだけで良いわとリンゴをかじってその日はテントで就寝。

翌朝もそのお昼も、ルピはご飯を食べなかった。食べるようきつめに言ってみたけど、食べたくないのになんで食べさせようとするの!と頑なに断られる。
このままだといけないと思うけど、なんて言えば食べてもらえるんだろう…。

『あるじ、この先に襲われている人間がいるわ』

「だいぶ先?」

『ここから走って20分ほどよ』

「急いで向かおう」

『ルピが先に行く!ルピが守れる!!』

「ルピ、ちょっと待って!!!!」

僕の言葉を聞かずにルピは行ってしまった。きっと僕に守れることを証明して、ドラスさんとマーヤさんの側にいれると言いたいのかもしれない。
ロッソにここら辺に出る魔物なら僕でもどうにかなるから、ルピが無茶をしないように見てきてほしいと後を追いかけてもらった。

僕が見える場所まで付くと、馬車の周りに3人の遺体。そしてそれを囲むように首輪をつけた魔物が複数いた。ルピとロッソは攻撃してくる魔物から馬車を守っている。

ロッソが『近づいちゃダメ!近くに魔物を操ってる人間の気配を感じる』と念話を飛ばして来る。
ルピが肩で息をしているように見えるため、相当無理をしているんだろう。ロッソにルピに結界を解くよう伝えてくれと言うけど、ロッソが首を横に振るためルピが聞くつもりはないようだ。

ふっと後ろから気配を感じ振り向くとフードを被った男らしき人影が剣を振り下ろしてきた。
ガキンッ!とルピの結界に阻まれて男はよろめく。

「お前だな。お前があの従魔達の主人か…。あれらは良い値で売れる。悪く思うなよ!」

咄嗟にナイフを出すがナイフと剣とでは差がありすぎてしまい、ほぼルピの結界に守られている状態だ。これではまずい…‼︎ルピに相当な負担がいってるはずだ…!

ロッソからルピが限界に近いと念話が送られ、操られてる魔物を殺しても良いかと確認してくる。
人に害をなさない魔物なら解放して上げたいけど、こうなれば仕方ない…。馬車に人がいれば守って欲しい。それ以外は任せる。
ルピに結界を解くよう強く伝え、僕はその間にもフードの男と対峙する。

「何が目的だ!」

「あの馬車にいるのはな、今後俺たちの仕事をやりやすくできるかどうかの要が乗っててな‼︎殺させてもらいたいんだよ‼︎」

ルピが結界を解除しくてくれたので、ナイフで剣に応戦する。間合いが違いすぎて腕や足に血が滲むが、やれないわけではないなと距離を取りつつ話しかけてみる。

「お前は、あの馬車の中にいる人間が目的なのか⁉︎」

「当初はその予定だったが、それよりも良いおもちゃを見つけてな…。今はそのおもちゃが頂きたいのさ!」

振り下ろされる剣をかろうじてナイフで受け止める。

「お前みたいに弱いテイマーには勿体すぎるおもちゃだからな!俺たちでうまく使ってやるの…っさ‼︎」

ガキイィィンという音ともに、僕の手からナイフが落ちていた。しまったと思う時には、首筋に相手の剣が光っており動けない。

「お前の従魔なら命令しろ。俺たちに危害を加えるなと」

「するつもりはない‼︎あの子達を危険な目に合わせるつもりは僕にはない‼︎」

「なら死にやがれ‼︎カッコつけた死に損ないがぁぁああ‼︎」

剣が振り下ろされた。腕を上げガードをする。が、特になにも起こらず目を開けると、そこには首がない男の死体ーーーーーーーーーがあった。

『早くきて!ルピが!』
慌ててルピのそばに駆け寄る。ルピは魔力が限界にきていた。その最後の力を絞って僕と対峙する男を倒してくれたようだ。声をかけてもうずくまり肩で息をするルピ。ポーションを鞄から出し抱き上げる。

「ルピ…ルピッ!魔力回復用のポーションを…ッ!これを飲むんだルピ!」

飲む気配がない。無理やり体を起こして口につけるが、ダラダラとポーションが地面に吸収されて行く。体にもかけてみるがダメなようだ。
ロッソがこれだけ枯渇しているんだから、体にかけても意味がないわ‼︎早く飲ませなきゃ本当に危ないわ‼︎

「飲んでルピ!お願いだから飲んで‼︎」

「私に貸しなさい!」

いきなり女の子の声がしたかと思うと、その子はポーションを奪い取ると口に含みルピに口移しで飲ませる。
ルピの喉が揺れているので飲んだんだな…とホッとする。 
しばらく待つと顔色と呼吸が落ち着いてきて、安堵で座り込んでしまった。

「ありがとう…助かりました」

「あなたは…ッ!従魔の主人なんでしょう⁉︎なんでこんな状態になるまで…‼︎」

セミロングの青い髪の女の子が僕に向かい叫んでいた。
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