僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

文字の大きさ
上 下
44 / 84

42話僕の思い

しおりを挟む
 歩き始めてまだ1時間と少し。景色はガラリグラリと変わり、今はマグマが煮えたぎる火山の中。
 見上げれば火山口で、空も少しだが見える。だが、さっきまでは青空だったのが、今では藍色の夜空になっていた。

「おいおい、どうなってやがんだ?」
「なぜか、この空間の時間の流れは長いようっすね」
「で、これは幻だから暑くないんだよね。助かる~」
「そういうわけじゃなく、ここは塔の中だ。温度も塔と同じってだけだ」

 俺はこういう暑苦しいものは、見るだけでも汗が出てくるぜ…。そうだ、試しに触ってみるか。

「よっと…」
『ジュワァ!』
「ドワっ⁉︎ なんだこりゃ、生きてんのか⁉︎」

 マグマに俺の指を近づけた途端、その指をマグマが飲み込もうとした。偶然かと思われそうだが、今のマグマの流れから、微かに脅威のような感覚がした。
 てことは、「俺たちにとって有害な物質=脅威」と考えて良さそうだな。

「おいオメェら! 危険なものに触るんじゃねぇぜ! このマグマみてぇに、俺たちを喰らおうとしてくるぜ!」
「スッゲェ! 体張って実験するなんて、流石父ちゃんだぜ!」
「ニャハハ! やっぱ俺ってスゲェだろ!」
「ただ単に、危機管理能力が低いだけだろ。で、課長。ノールさんは見つかりそうですか?」
「いや…何も感じられない。まだ遠いのかも知れねぇな」

 おいおい、まだ遠いのか? いや待てよ、このドロドロとした流動性のないマグマが脅威ってことは、コイツらはもう死にかけている…っていうことになるよな。
 ニャルほど、面白そうなことができそうだな。

「分かったぜ、この偶像がどういう場所か」
「本当⁉︎」
「分からねぇか?」
「あぁ…ハッキリ言おう、分からない」
「へっ。なら、そのまま分からねぇままで良いぜ。知るだけ無駄だ」

 俺は、分かっちまった。この世界を形成するものが何かを、な。それは、なんとも言えねぇくらい俺には似合わねqqけ結末が起こった証だ。
 なによりコイツらの前では絶対口外できねぇ。こればかりは、何が何でも秘密だ。

「あの…もしかしてっすけど、ノールって-」
「よし、行くぞ! こんな場所、早く抜けてぇしな」
「ドンボ…。そうだな、早く抜けるぞ。キールも、早く会いたいだろ?」
「もちろん! ねっ、早く行こうよ!」

 フォールの一言で、キールは調子に乗って目を閉じて駆け出した。しかし、キールの前にはエルゴがいたためにぶつかった。もちろん、俺の教育で育ったエルゴだ、そう簡単に許すわけはないぜ。

「ちょ、テメェ! 前見て走れや!」
「ご、ごめんね。でも、エルゴのウロコって案外柔らかいんだね。ほら、プニプニ~」
「ちょ、やめ! ダッハハ、くすぐってぇよ!」
「おいキール、はしゃぐのは良いけどよ…その、エルゴが困ってるからその辺にしておいてくれ」
「それもそうだね。アハハ、蛙の子は蛙だね。ホントにそっくり」

 当たり前だろ、そんなことに今更気づくなんて、理解力なさすぎだろ。そう言う俺は、状況把握だけは誰よりも早い自信あるしな。理解力とは、ちっと違うが。
 それはさておき、ズンズン進ませてもらうか。俺の口から語るよりも、そっちのほうが断然マシになるだろ。それに、ただでさえこの空間は時の流れが早い。そうなると、頼りになるのは空だけだ。満月のときまで、残り14日。つまり14時間か。
 辿り着くかが不安だが、辿り着かなきゃなんねぇんだ。やるっきゃねぇ、ってのは楽しみだぜ。
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄?それならこの国を返して頂きます

Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国 500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー 根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

処理中です...