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39話やってしまった…

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『人間…あたしの言葉がわかるの!?』

「そうみたいだねぇ…。なんでだろう?」

『ハッ…‼‼さては、人間!人間じゃないな!』

「いやいや、僕はれっきとした人間だよ…」

この子ちょっと抜けてるのかな。悪い子じゃないみたいだけど、ここで何してるんだろ?ただいただけって感じもしないよね。
いただけなら討伐依頼は出てくるのはおかしい。

「キミはここで何しているの?」

『人間に関係ないわ!』

「でも、キミの討伐依頼が出てるんだよ…。理由があるなら話し聞くよ」

『ハヤト!こんなやつと話さなくていい!』

ルピが僕と赤目ネコの間に立つと、話さないでと僕にしがみついてくる。
これはヤキモチ…なのかな?それとも、赤目ネコが悪い魔物なのかな?そんなふうには見えないけど…。
いい子いい子よ撫でてあげても僕の身体に顔をうずめたままのルピ。

「ルピ、ちょっとだけお話し聞きたいから少し待ってて?」

『ルピが1番?』

ん?1番も2番もルピしかいないのに、でもこれはヤキモチなんだろうな。

「ルピのことがとっても大好きだよ。でも、僕はこの人は好きこの人は嫌いって順番付けるのは好きじゃないな」

『ルピいっぱい大好き?』

「もちろん!いっぱい大好きだよ」

そういうと、うずめていた顔をパッとあげてルピもハヤト大好き!と最高の笑顔を向けてくれる。
ルピさんや、僕は鼻血が出そうだよ…。それは攻撃力高すぎな笑顔とセリフだよ…。

『イチャイチャするなら、あたし行ってもいいかしら…』

「ごめんごめん。理由を聞かせてくれる?」

『あんたたち、人間に話したくない。勝手に奪って勝手に殺しに来るなんて、人間なんて最低な種族よ!』

赤目ネコが頑なに話しをするのを嫌がってくる。
勝手に奪ってってことは、ここにある何かを僕たち人が取りに来ていたのか?殺しに来るって言うのは、僕が言った討伐依頼の事だな…。

「キミは殺すつもりなんて今は思ってないよ。でも、ここで僕たちが帰っても新たな人が来るだけだよ。その人に言葉が通じる保証もないでしょ?それなら話してくれる方がキミのためにもなるかもしれない」

『ハヤトは悪い人間じゃない。それにこのままだと死んじゃうよ』

ルピが赤目ネコに話しかけてくれる。死んじゃうよって、僕たち以外が討伐に来たらってことだよね。
そう考えているとルピがリンゴとリンゴのお薬を出してと言ってくる。リンゴはあるけど、リンゴの薬なんて僕持ってないよ。

「リンゴはあるけど、リンゴの薬は持ってないよ?」

『リンゴで作ったお薬』

「ポーションのこと?」

『うん』

ルピがリンゴとポーションを出してと言ってくるため渡すと、赤目ネコにルピがあげると渡していた。なんていい子なんだ…。
でも、さっき回復用のポーションかけてあげたけど、あれじゃ足りなかったのかな?

『この赤い実…と薬。人間が作ったの?』

「正確にいうとリンゴは僕じゃない。ルピが作ってくれたんだよ。お腹減ってるなら食べて?毒は入ってないよ」

『そんなの見ればわかるわ…』

ルピが早く食べなよと言ってくれたのもあり、スンスンと匂いをかぐとバクバクと食べていく。お腹減ってたんだな…。器用にポーションが入っているビンも両手で持つとゴクゴクと飲み干していった。
ビンはポーションにならないかなと思った時に、液体で出てきてしまいフワフワと水風船の風船ないバージョンで浮いていたので、ゲーハさんがこれに入れとけとあの時くれた。

『助かったわ。魔力切れで倒れそうだったから』

「それで、理由は話してもらえる?」

『助けてもらったし、いいわ…』

ポツリポツリと、この泉は魔力が高いらしく泉の周りに赤目ネコのエサとなる魔力が高い実がなっていたそうだ。
それを人が魔力が高いからとどんどん採取していってしまい、食べるものが少なく無くなった赤目ネコはその数を減らし、今はこの子だけになってしまったそうだ。
それ以上は聞いても関係ないと話してくれなかった。

「ここに人が来ないよう、僕に討伐依頼を出した人に相談してみるよ」

『そうしてくれると助かるわ』

「さっそくゲーハさんに相談しに行こう」

『一緒に行かないの?』

「え?なんで?」

『だって、ルピと一緒だよ?』

ルピがそう話すと、赤目ネコの嘘でしょーーーーーーーーー!と叫び声が聞こえてくる。え?なに?どうしたの!?

『あたしまで…従魔に…従魔になってる!!!!』

「ルピ気が付いてたの?」

『うん』

いつから気が付いてたの?というと、回復ポーションをあげた時に半分従魔になりそうな気配があったそうだ。
そのあとリンゴと魔力ポーションをあげたことで従魔になったらしい。それでなるんだ…。今後気をつけなきゃな…。
でも、リンゴとポーションをあげてほしいと言ってきたのはルピだ。従魔にしたかったのかな?

「ルピは、この子と一緒にいたかったの?」

『ハヤト、ルピ大好きだから。それに1人は寂しい』

本当になんていい子なんだうちの子は…。いい子いい子とルピを撫でてあげると、満面の笑みでルピが恐ろしいことを言ってきた。

『今日からルピの下僕だからね』

「ちょっと!意味わかって使ってる!?そんなこと言っちゃダメだよ!!」

ルピが、マーヤさんに絵本を読んでもらっている時にネコにこき使われるねずみが出て来たそうだ。最後は仲良くなってネコに守られるお話しだったらしい。
マーヤおばちゃんになんでいじめられてたの?って聞いた時に、弱いから下僕として扱っていたのさね。弱い子は守ってあげなきゃね。
そこでルピは弱い子=下僕となってしまったみたいだ…。
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