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37話依頼確認

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あれ…リンゴがポーションになってる…。だってさっき、ゲーハさん調合がとか言ってたよね?
ゲーハさんを見ると、ポッカーンとした顔で僕の手元を見てる。
ルピは通常運転。

「これ、異常ですよね?」

「異常だな」

「なんで出来たんですか?」

「俺に聞いてわかると思うのか」

ですよね。あれ?なんでこうなったんだろう。ルピが作ってくれたの?と聞いてみたけど違うらしい。
薬草を取り出して同じように考えたら、こちらも無事ポーションになった。

『加工?』

「え?」

そういえば、確かステータスに加工ってあった。でもそれで作れるものなのかな?
帰ったらいろいろ試してみなきゃ。でも、これ使えるものなのかなぁ。

ゲーハさんに聞くと、貸してみろと諦めたように魔道具で鑑定してくれる。
普通魔道具は高くて一般には普及してない。

冒険者ギルドでは非常事態時に街を守ってもらう代わりに無償でポーションを負傷者した冒険者に使う。
そのポーションが紛い物では困るので、仕入れ時の確認のために使っているそうだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
魔力回復ポーション(特上)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
回復ポーション(中級・上)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「はぁ…リンゴが特上の魔力回復で薬草が上級に近い回復ポーションだな」

「それって売れるんですか?」

「売れるには売れるが、特上は金貨20枚出してようやく買えるものだ。弱そうなお前が売りに行けば目立つだけだな」

金貨20枚⁉︎日本円で20万⁉︎リンゴが一気に20万になっちゃったよ…。でも、確かに僕が売りに行けば目立つだけだ。

「冒険者ギルドでも置いてあるなら買ってもらえないんですか?」

「買えないな。街の活性化のために、満遍なく販売店舗から買っているしな。それに、買取関係は他のものに任せていて俺の一存では無理な話だ」

そうだよね。ゲーハさんが上司命令で僕のポーション買い取れなんて言われたら、街の人達だって生活があるし困る。権力は私利私欲に使うのはダメな大人がすることだからね。

「わかりました。当分はアイテムボックスに入れときます」

「そうしてくれ。俺にはどうしてやることもできん」

帰ろうとする僕達を、待て待てとゲーハさんが引き止めてくる。鳥の話もしたし何かまだあったっけ?

「お前忘れてるだろ」

「何をですか?」

「俺が依頼を選んでおくと言ったのを」

あ…。すっかり今朝のリンゴと薬草のことで忘れてた。

「忘れてました」

「だろうな」

やっぱりなと言いながら、ゲーハさんは3枚の依頼表を出しテーブルに広げた。

一一一一一一一一一一一一一一一一
【C】
南西にある森の中の泉で吹く風の原因依頼
冒険者より近づくたびに強い風で吹き飛ばされると数件報告あり
依頼料:金貨3枚
一一一一一一一一一一一一一一一一

一一一一一一一一一一一一一一一一
【C】
北西にある草原でのダークウルフの群れ討伐
行商人・冒険者よりダークウルフの群れの確認報告あり
依頼料:金貨3枚
一一一一一一一一一一一一一一一一

一一一一一一一一一一一一一一一一
【C】
ワイバーン討伐依頼
北西にある草原と森の境目で数件の確認報告あり
依頼料:金貨5枚
一一一一一一一一一一一一一一一一

ぜんぶCランクなんですけど…。僕Fランクだよ?わかって出してるのかなこの人。

「あの、僕Fランクなんですけど」

「あぁ。Cランクに上げておいた」

「はい?」

いや、私利私欲のために権力って使っちゃいけないものだ的なことを、さっき教えてくれなかったっけ?僕が勝手に解釈しただけなのか?
しかも、勝手にCランクって許可ないの⁉︎

「そんな変な顔をするな。お前の従魔が異常に強いんだ。その主人がFランクではいろいろ問題も起きる。Cランクでも低いぐらいだ」

「はぁ…」

「お前が強ければ上げやすいんだが弱いからな。これで我慢しろ」

これは、僕を守るためにやってくれたと思って良いんだよね?せめて事前報告は欲しかった…。

「今度から事後報告はやめてください。それに他の冒険者に変な目で見られないんですか?」

「悪かったな。ま、普通は徐々に上げて行くものだが俺の承諾と確認があれば可能ではある。それに今回ギルドでDランクの冒険者倒したりで、なんだかんだ目立ってるからな。問題ないだろ。従魔もいるしな」

あの中年男Dランクだったんだ。けっこうな人に見られちゃったからな…。その僕がFランクという方が問題になるのかもね。

「ちなみにお前が魔石をホイホイ出していたという報告は、従魔が氷魔法で倒したらしい。その氷が光に反射して魔石に見えただけだと、ゴリ押ししておいた。納得できない顔はしてたが、簡単に出るわけないだろと言ったら、確かにそうだなと言ってたから大丈夫だろ」

おー。なんだかんだ裏で手を回してくれる良い人だ。依頼表を覗き込みどれにしようか思ったけど、やっぱりこれだな。これしかない。

「これから始めます」
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