38 / 84
36話リンゴと薬草
しおりを挟む
ゲーハさんが勇者の末裔だったことにもビックリだけど、でも以前教会で勇者のステータス見た時に制約の指輪なんて書いてなかったな。
冒険者のやる気を上げるように置いてあるものだろうし、こんなえげつないもんつけてたのかってなるよりは良いのかな。
わからないことは考えても仕方ない。
「それで、お前の結界と鳥の魔力の問題はどうするんだ?」
「昨日出した鳥は、自分でエサを食べるから大丈夫って言ってました。あと、ドラスさん達に危険があればわかるらしいです」
「分身が自分でエサを食べる?んなわけあるか。魔力で動いてるもんだぞ」
『リンゴ食べれば力になるの』
「え?そうなの?ルピが出したお水で育てたからかな?」
『それもあるけど、昨日土にも少し力をあげたから』
「へぇー。普通に耕しているように見えて、ルピはいろいろ考えてたんだね」
『うん!』
ルピは可愛くてすごく賢いんだね。またいい子いい子と撫でてあげる。それが嬉しいのかスリスリとしてくるのが可愛い。
「水?耕す?話が全く分からん」
ゲーハさんにドラスさんの家の庭を借りて、生産ギルドで貰った種とリンゴの種を植えたこと。
植えてルピが耕したら翌日には実がなっており、鳥は自分でその実を吸収して動いているらしいと伝えた。
「んなわけあるかぁぁぁぁ!どこの世界に植えたら一晩でリンゴの木が育って実がなって、それを分身が自分で食べて動くなんて非常識なことが起きるんだ!」
「ここにあるじゃないですか」
ルピにドラスさんの側にいる鳥を呼んでもらって、アイテムボックスから出したリンゴを渡すとついばむように吸収していった。
「ほら」
「……………」
「ゲーハさん?」
固まっちゃったよ。どうしよう。
「あ、食べます?味も美味しいんですよ!今朝みんなで食べたら、甘くてすごくおいしかったんです!まだありますから」
「お前はバカか!この状況で、あ、食べます?なんて聞かれて、旨そうなリンゴだななんて言えるかぁぁぁぁ!」
もう、固まったと思ったら叫びだすなんだ忙しい人だな。
ゲーハさんはありえないとブツブツ言っていたけど、ありえるものはしょうがない。
僕もビックリしたけど、きっとこれが日常になっていくんだろうから。鞄から出したリンゴは取り合えず机の上に置いた。
「それで、その恐ろしく魔力が高そうなリンゴをお前はどうするつもりだ。鳥のエサ用か」
「リンゴは全部鳥が食べるわけじゃないので、売れるなら売りたいです。薬草もリンゴも」
「リンゴがリンゴなら薬草も同じようもんだろうな。で、どこに売るんだ?」
「え?薬草採取の依頼で買ってもらえないんですか?」
「こんな非常識な魔力含有量含んでそうなもの買えるか!どこで取ってきたんだと大騒ぎになるわ!」
そうなの!?薬草栽培で生きていく道もありかなって考えていたのに…。売れないものが大量に出来上がっても仕方ないしな。
腐るわけじゃないみたいだし、当分は鳥さんのエサかな。
「せめて、これが通常の薬草かポーションならな…。売る方法もあるんだが」
「ポーションなら売れるんですか⁉でも、個人売買なんてして良いんですか?」
「いや違う。売ってる店に卸すんだ。薬草をそのまま売るよりも、ポーションにして売る方が高いからな。だから調合ができる人間は、ポーションにして店に売るやつもいるんだよ」
「でもそれって、商用ギルド通さなくていいんですか?」
「商用ギルドに店舗登録して許可がもらえれば売れるぞ。個人的に作ってる人間から買うか、自分で薬草買って作って売ってるはずだ。商用ギルドは薬草の買取のみだからな。生産ギルドで作ってはいるが、あれは教会で使われるものになる」
教会ではよほど重傷でなければ毒やケガを負うと低価格で治癒してくれるらしい。
冒険者もギルド職員も街の人もケガをすれば教会に行く。冒険者はステータス添付のお金を払うことで、街の人やギルド職員は街内会費の一部としてお金を払うことで、教会での治療は低価格。
ただし、ギルドカードや街人カードに毎月の制限回数が表示されるので無制限ではないみたいだけど。
「お布施取るだけ取って自分達にまったく恩恵が無いのは嫌だろう。ただし、効果が高いポーションがあるわけじゃないから、冒険者は自分で効果が高いポーションを買っているがな。じゃないと外で負傷した時困る」
「でも、それならもし僕がポーション作れるようになったら、商用ギルドに店舗登録すればいいんじゃないですか?」
「今は無理だな。店舗登録のための講習を数回受けてもらって、筆記テストに合格が必須だ。あとは信用だな。買い取るなら品質の見極めも必要だし、なかにはまがい物を持ってくるやつもいる。冒険者がここの店のポーションは問題ないと思わなきゃ買ってもくれないしな」
「講習は良いとして、筆記テスト…。仮に合格した場合、無料で最初に配るのはどうですか⁉それでわかれば買ってもらえそうじゃないですか!」
「どこでそれ使うんだ?外で負傷した人間が、よくわからない店から貰ったポーションを危ない時に使うか?街の人間が、教会に行けば治る傷を怪しいポーションかけるのか?」
今は諦めろ。そのうち得策が出てきたら考えればいいと言ってくれたので、薬草とリンゴは当分アイテムボックスの中だな。
リンゴを片付けようと手を伸ばし、キミがポーションになれば良いのにねと思いしまおうとすると手もとが光り
ポーションがあった。
冒険者のやる気を上げるように置いてあるものだろうし、こんなえげつないもんつけてたのかってなるよりは良いのかな。
わからないことは考えても仕方ない。
「それで、お前の結界と鳥の魔力の問題はどうするんだ?」
「昨日出した鳥は、自分でエサを食べるから大丈夫って言ってました。あと、ドラスさん達に危険があればわかるらしいです」
「分身が自分でエサを食べる?んなわけあるか。魔力で動いてるもんだぞ」
『リンゴ食べれば力になるの』
「え?そうなの?ルピが出したお水で育てたからかな?」
『それもあるけど、昨日土にも少し力をあげたから』
「へぇー。普通に耕しているように見えて、ルピはいろいろ考えてたんだね」
『うん!』
ルピは可愛くてすごく賢いんだね。またいい子いい子と撫でてあげる。それが嬉しいのかスリスリとしてくるのが可愛い。
「水?耕す?話が全く分からん」
ゲーハさんにドラスさんの家の庭を借りて、生産ギルドで貰った種とリンゴの種を植えたこと。
植えてルピが耕したら翌日には実がなっており、鳥は自分でその実を吸収して動いているらしいと伝えた。
「んなわけあるかぁぁぁぁ!どこの世界に植えたら一晩でリンゴの木が育って実がなって、それを分身が自分で食べて動くなんて非常識なことが起きるんだ!」
「ここにあるじゃないですか」
ルピにドラスさんの側にいる鳥を呼んでもらって、アイテムボックスから出したリンゴを渡すとついばむように吸収していった。
「ほら」
「……………」
「ゲーハさん?」
固まっちゃったよ。どうしよう。
「あ、食べます?味も美味しいんですよ!今朝みんなで食べたら、甘くてすごくおいしかったんです!まだありますから」
「お前はバカか!この状況で、あ、食べます?なんて聞かれて、旨そうなリンゴだななんて言えるかぁぁぁぁ!」
もう、固まったと思ったら叫びだすなんだ忙しい人だな。
ゲーハさんはありえないとブツブツ言っていたけど、ありえるものはしょうがない。
僕もビックリしたけど、きっとこれが日常になっていくんだろうから。鞄から出したリンゴは取り合えず机の上に置いた。
「それで、その恐ろしく魔力が高そうなリンゴをお前はどうするつもりだ。鳥のエサ用か」
「リンゴは全部鳥が食べるわけじゃないので、売れるなら売りたいです。薬草もリンゴも」
「リンゴがリンゴなら薬草も同じようもんだろうな。で、どこに売るんだ?」
「え?薬草採取の依頼で買ってもらえないんですか?」
「こんな非常識な魔力含有量含んでそうなもの買えるか!どこで取ってきたんだと大騒ぎになるわ!」
そうなの!?薬草栽培で生きていく道もありかなって考えていたのに…。売れないものが大量に出来上がっても仕方ないしな。
腐るわけじゃないみたいだし、当分は鳥さんのエサかな。
「せめて、これが通常の薬草かポーションならな…。売る方法もあるんだが」
「ポーションなら売れるんですか⁉でも、個人売買なんてして良いんですか?」
「いや違う。売ってる店に卸すんだ。薬草をそのまま売るよりも、ポーションにして売る方が高いからな。だから調合ができる人間は、ポーションにして店に売るやつもいるんだよ」
「でもそれって、商用ギルド通さなくていいんですか?」
「商用ギルドに店舗登録して許可がもらえれば売れるぞ。個人的に作ってる人間から買うか、自分で薬草買って作って売ってるはずだ。商用ギルドは薬草の買取のみだからな。生産ギルドで作ってはいるが、あれは教会で使われるものになる」
教会ではよほど重傷でなければ毒やケガを負うと低価格で治癒してくれるらしい。
冒険者もギルド職員も街の人もケガをすれば教会に行く。冒険者はステータス添付のお金を払うことで、街の人やギルド職員は街内会費の一部としてお金を払うことで、教会での治療は低価格。
ただし、ギルドカードや街人カードに毎月の制限回数が表示されるので無制限ではないみたいだけど。
「お布施取るだけ取って自分達にまったく恩恵が無いのは嫌だろう。ただし、効果が高いポーションがあるわけじゃないから、冒険者は自分で効果が高いポーションを買っているがな。じゃないと外で負傷した時困る」
「でも、それならもし僕がポーション作れるようになったら、商用ギルドに店舗登録すればいいんじゃないですか?」
「今は無理だな。店舗登録のための講習を数回受けてもらって、筆記テストに合格が必須だ。あとは信用だな。買い取るなら品質の見極めも必要だし、なかにはまがい物を持ってくるやつもいる。冒険者がここの店のポーションは問題ないと思わなきゃ買ってもくれないしな」
「講習は良いとして、筆記テスト…。仮に合格した場合、無料で最初に配るのはどうですか⁉それでわかれば買ってもらえそうじゃないですか!」
「どこでそれ使うんだ?外で負傷した人間が、よくわからない店から貰ったポーションを危ない時に使うか?街の人間が、教会に行けば治る傷を怪しいポーションかけるのか?」
今は諦めろ。そのうち得策が出てきたら考えればいいと言ってくれたので、薬草とリンゴは当分アイテムボックスの中だな。
リンゴを片付けようと手を伸ばし、キミがポーションになれば良いのにねと思いしまおうとすると手もとが光り
ポーションがあった。
2
お気に入りに追加
3,366
あなたにおすすめの小説
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
神に愛された子
鈴木 カタル
ファンタジー
日本で善行を重ねた老人は、その生を終え、異世界のとある国王の孫・リーンオルゴットとして転生した。
家族に愛情を注がれて育った彼は、ある日、自分に『神に愛された子』という称号が付与されている事に気付く。一時はそれを忘れて過ごしていたものの、次第に自分の能力の異常性が明らかになる。
常人を遥かに凌ぐ魔力に、植物との会話……それらはやはり称号が原因だった!
平穏な日常を望むリーンオルゴットだったが、ある夜、伝説の聖獣に呼び出され人生が一変する――!
感想欄にネタバレ補正はしてません。閲覧は御自身で判断して下さいませ。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
異世界生活物語
花屋の息子
ファンタジー
目が覚めると、そこはとんでもなく時代遅れな異世界だった。転生のお約束である魔力修行どころか何も出来ない赤ちゃん時代には、流石に凹んだりもしたが俺はめげない。なんて言っても、魔法と言う素敵なファンタジーの産物がある世界なのだから・・・知っている魔法に比べると低出力なきもするが。
そんな魔法だけでどうにかなるのか???
地球での生活をしていたはずの俺は異世界転生を果たしていた。転生したオジ兄ちゃんの異世界における心機一転頑張ります的ストーリー
パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。
荒井竜馬
ファンタジー
『第16回ファンタジー小説大賞』奨励賞受賞作品
あらすじ
勢いが凄いと話題のS級パーティ『黒龍の牙』。そのパーティに所属していた『道化師見習い』のアイクは突然パーティを追放されてしまう。
しかし、『道化師見習い』の進化条件がパーティから独立をすることだったアイクは、『道化師見習い』から『道化師』に進化する。
道化師としてのジョブを手に入れたアイクは、高いステータスと新たなスキルも手に入れた。
そして、見習いから独立したアイクの元には助手という女の子が現れたり、使い魔と契約をしたりして多くのクエストをこなしていくことに。
追放されて良かった。思わずそう思ってしまうような世界がアイクを待っていた。
成り上がりとざまぁ、後は異世界で少しゆっくりと。そんなファンタジー小説。
ヒロインは6話から登場します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる