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20話 末恐ろしい

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街の門へ向かうと、マーヤさんを説得していた門番さんがいた。

「おはようございます」

「キミは…ドラスを助けた子だったね?」

「はい!」

「その節は助かったよ!あそこの夫婦は仲悪そうに見えて街でも有名なおしどり夫婦でね。ドラスに何かあれば、マーヤさんは立ち直れないと心配してたんだ」

「門を離れるのは禁止されてるんですか?」

「門番の仕事中はね。離れて街に魔物が入ればおおごとだから。ドラスは僕の幼馴染だし、行けるなら行きたい。が、街を放り出すわけにも行かず仕事とはいえ辛いものがあったよ…」

「そうだったんですか…。今はお二人にお世話になっているので、助けられて本当に良かったです!」

「あぁ。こちらこそ本当にありがとう。俺の名前はアースだ。気軽に呼んでくれ」

「僕はハヤトです!アースさん、よろしくお願いします」

「ハヤトだな!こちらこそよろしく頼むよ!ところで門に来たってことは依頼をこなしに来たのかい?」

「はい!」

「そうか。無理せず出来る範囲で頑張ってこいよ。お嬢ちゃんも無理せずにな」

「はい!」

「ピィ♪」

アースさんに見送られて街の外に出る。ゴブリンとホーンラビットはちょこちょこ出てきてたし、この辺歩いてれば出てくるのかな?

「ルピ、ゴブリンとホーンラビットを見つけたら倒してくれるかな?それ以外にも襲ってくる魔物がいて倒せそうなら倒してもらえる?」

「ピッ!」

「あっ!僕にまわすのも忘れないでね!」

「ピィ!」

それから見つけるゴブリンやホーンラビット、出てくる魔物を倒していくけどルピが倒しても僕が倒しても魔石しか出てこない。魔石はあまり出ないようだしどうしよう…。

時々ルピが魔物を1匹ずつ僕に流してくれたので、最初はビビりながら倒していったけど、慣れればどうにか対処できるようになってきた。

ただ…僕が倒すとなかなか倒れず魔物も向かってくる。すごい顔でくるので、やっぱり怖い…。
何度かゴブリンの木の棒やホーンラビットのツノがかすってしまい、頬や腕に切り傷や擦り傷ができてしまった。

僕が傷を負うたびにルピが僕の傷を治しつつ、ピッ!ピッ!と魔物を倒していくため呆れるしかない。お昼が近づいてくる頃にはやりすぎたなと思うけど、魔石の数にして34個集まっていた。

「ルピ、そろそろお昼にしようか?」

「ピィ♪」

考えても仕方がない。魔石しか出ないんだし。めったに出ない魔石が出るんだし良いよね!うん!大丈夫!ポジティブ最高!
適当な場所に座りお弁当を広げると、本日のお弁当は食パンに焼き色をつけたサンドイッチ。

シャキシャキとした野菜にハムとチーズのサンドイッチ。衣をつけて揚げてあるお肉を挟んだボリューム満点のサンドイッチ。飲み物はお茶が付いていた。

「いただきまーす!」

「ピィ♪」

やっばい!なにこのカツサンド的なやつ。噛むと肉汁が溢れて、サクサクとした衣の食感が良いアクセントになってる。
野菜サンドは野菜サンドで、シャキシャキとした野菜をマイルドに包みこむチーズ。そこに塩漬けのハムが顔を出してくる。

ルピもとても美味しいらしく、無言で頬張っていた。頬張っていたんだけど魔物は待ってくれない。
けれど出るたびに食べながらピッピッと倒してくれるおかげで、問題なく昼食をとることができた。
途中申し訳ないので僕も数匹戦って見たけど、ルピのようにはいかなかった…。



「さてと、食べたし少し休んだら午後を再開しようか!」

『そうするー!』





…………………。

……………………………。

………………………………………ハイ?


『どうしたの?ハヤト?』

ルピを見ると首をかしげて僕を見てくる。
今僕の頭に響いてきた声は、まさかルピ?どうなってるの?なんか僕もう付いていけないよ…。

「ルピが話してくれてるの?」

『会った時からお話ししてたよ?』

うん。そうだね。会った時から、たくさんお話ししてくれてたよね。それが、なんでこうなるの?

わからない時にはステータスを見てみよう。説明書的な役割を期待して、ステータスを開く。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

名前:クボハヤト
レベル:25
種族:人族
年齢:14歳

HP:700
MP:450
攻撃:250
防御:230
魔力:230
速度:70
幸運:250

スキル
言語理解・異常状態無効化・健康な体・アイテムボックス・従魔経験値分配(小)・従魔念話・ギフト(レベルごとに解放)

加護
ルルの加護

従魔
天鳥族:ルピ

所持金
ギルドカード・現金

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

うん。ステータスに従魔念話ってある…。うんうん。きっとこれのおかげなんだよね…。しかも幸運がすごいことになってる。

でも、従魔念話はギフトではなくテイマーのスキルとして付くのもしれないなとも思う。じゃないと意思の疎通が難しいだろうしね。異世界だし不思議でもないかもしれないな。

ルピのステータスも気になるけど、すごい事になってそうだし僕がもう少し強くなるまで見るのをやめておこう。心が折れるかもしれない…。今は純粋にルピの気持ちがわかることを喜ぼう!

「ルピ、今までもたくさんお話ししてたけど、ルピの気持ちがわかるようになってとても嬉しいよ!」

『ルピも嬉しい♪』

「お弁当美味しかった?」

『うん!とってもとっても美味しかった!お肉のパンがとっても好き!』

ルピは肉派なんだな。
天鳥族って鳥が付くぐらいだから、鳥=野菜なイメージだったけど、鳥だっていろいろ食べるんだし固定概念は良くないよね!

ルピの頭を撫でてあげると嬉しそうに笑顔を向けてくれ、その天使のような笑顔でルピが恐ろしいことを言ってくる。


『早く魔物倒そうー?』

「え?そんなに倒したいの?」

『もっと強くなって、ハヤトを守るの!』

うん…もう十分強いんだけどね…。魔王を倒す勇者の仲間の従魔より強いんだから、どこまで強くなりたいのか末恐ろしいよ…。
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